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【9000PV感謝】双極の花紋〜転生しても、君を必ず護ってみせるから〜  作者: 赤嶺 利空
第四章 「仲間編」

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第二十話 「対抗策」











「『ダ、ンス……サラス』」







 ——その時、ドームの外では降り頻る豪雨の中に、砂塵が舞った。






 当然驚いた雷牛は、突進を止め、勢いを横に晒しながら、サイドステップで距離を取り警戒をする。





「グルルルルルルルル」






「シグッッッ!!!」





 起き上がれはしないまでも、目を覚ましたシグルドへと駆け寄るカルロス。





「良かった!大丈夫なのか!?」





「指、輪の……解毒、効果と……回復、効果のお陰、らしい。焦る、な……時間、は稼ぐ……」






「そうか、じゃあ……エルたちも……」






 実は、雷牛がドームを踏み抜こうと何度も攻撃をした当たりで意識を取り戻していたシグルドは




 動けないながらも、途切れそうになる意識を必死で保ち、現状を把握していた。







 しかし、長くは持たない。あの牛は確実にドーム内に俺たちがいると確信してる。





 何より、空気の残量が気になる。





 このドームは、ある程度の広さはあるが、密閉空間だ。それに、焦りからか、みんな呼吸が荒い。




 何ヶ所か空気口を開けても良いが、確実に雨が侵入してくるだろう。




 いや、離れた場所に数カ所穴を開けて水が溜まる深さを確保した上で、塀も作れば雨の侵入はかなり防げる筈だ。




 しかし、それもいつまでも持たない。




 何より、電撃が入ってきた時点でニ時災害が起きてしまう。




 だが、この指輪の効果なら俺が動けるまでは時間を稼げるか。






「『プラ、ウ……サラ、ス』」






 よし、空気口は出来た。これで——






 ——ズガァァァァン







 ……なッッッ——







 ——意を決して決行したシグルドだったが、雷牛はそれ以上に狡猾だった。





 丘からは離れているが、地面に数カ所の小さなの穴が開いた。





 その、少しの変化だけで






 小さな穴に目掛けて、落雷を落とす程に——





 ドームからは距離もあり、まだ水も溜まっていない穴ではあったが





 落雷の影響で水をせき止める為に用意した塀は、砕けてしまい





 雨がドームの中にどんどん侵入してきたのだ。






 なんて奴だッッッ!





 間髪入れずに攻撃してきやがった!!





「『プラ、ウ……サラ、ス』」







 穴は塞いだが、ドーム内が雨で濡れてしまった。






 ——ズガァァァァン






 ——今度は先程出来た数カ所の穴全てに、次々と落雷を落としていく。






「『プラ、ウ……サラ、ス』」





 まずいぞ、空気口が全部なくなった。





 まさか……音じゃない。




 雷牛は、水に流れた微かな電気の変化や、魔法を行使した際の魔力の揺らぎを感じ取っているのか?




 用心深い……





 こいつ、思った以上に執念深いぞ!嫌な性格していやがる!





 くっ、それなら——





「シグ、お、坊ちゃま……落ち、着いてくだ、さい」





「……リン、リン」





「恐、らく……気功、で……あと、数分……も、すれば……私、は……回復、します……シグ、お坊ちゃま……たちも……同じ、頃には……回復、する……はずです……それ、までは……出来る、限り……待ち、ましょう……敵、を……刺激……して、は……いけ、ません」







 気功には麻痺を治せる様なことも出来るのか。





『気功とは、一般的には体内に流れる魔力以外の気の巡りを整えて、人の持つ本来の治癒力を高める健康法ですね』

 



 そうか。リンリンはそう言ってたな。





 本来の治癒力を高める。





 達人にもなれば数分で麻痺まで治るのか。




 これは良い誤算だな。





 確かに、敵はかなり殺気立っている……下手な事を繰り返しても余計に刺激するだけだ。





「だ、けど……そん、なに……こいつ、は……待って、くれ……ない……」





 突進されたらさすがにこのドームは崩れるだろう。




 何より、空気がもたない可能性が高い。





「……何分だ?」





 カルロスが不意に問いかける。





「……出来、れば……10分。いえ……5分、あれば……なん、とか……」





「シグ。出来るだけ遠くに穴を通してくれ。そこから俺が出る!!」






 ……!!





 突然の言葉に、一瞬言葉を失うシグルド。







「……ば、か……やろ、う……死に、に……なん、て……行か、せ……られる、かよ……」





「じゃあ、どうする?ドームに突進されたら、確実に全員死ぬ。あいつはすぐにでも突っ込んで来るぞ」




「ダメ、だ!!!そんな……こと出来る……わけ……」





 ——その時





 耳を疑う言葉が聞こえた。





「いい、え……いい、考え、よ……わたくし、たち……チーム、で……時間、を……作る、わよ」





「女神、よ……我が、歌が……届くなら

我が、声に……息吹に……生命の、向上の、力を……与え、賜え

我が、身は……女神、の……御使い

聖女で、ある……我が、歌を……聴く、者に……力を!


『セイク、リッド……レゾ、ナンス』」






 エイシャリアが鼓舞をする様に言葉を綴り、それに応える様にティナが一同に身体強化を施す。






「エル、ティナ……」





「なに、も……真っ向、勝負だけが……戦闘、じゃあ……ない、わ。作戦、を……伝える、から……みんな、よく……聞きな、さい」






——————






 作戦を聞いたリンリンは、感嘆の意を告げる。





「確か、に……それで、あれば……なん、とか……なるやも、しれません……頼み、ました。どう、か……ご無事、で……」





 リンリンのお墨付きだ。これなら、俺たちで時間が稼げるぞッ!







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