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【9000PV感謝】双極の花紋〜転生しても、君を必ず護ってみせるから〜  作者: 赤嶺 利空
第四章 「仲間編」

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第十四話 「チームワーク」

この回からやっと本格的な戦闘が続きます







 Bランクのフロアに到着した一行は、早くも、Bランクの魔獣であるリーンレパード2匹に襲われていた。





「リーンだ……みんな慎重にな」





 そう言って始まった戦闘。




 2匹のリーンの相手など、本来正気の沙汰ではない行為なのだから。






 確かに、先読みを駆使しながら前衛を担ってくれているカルロスに、もしもがあっても念動力で対応が出来るエイシャリア、そして、後衛のシグルドとティナの援護射撃もある為、安全マージンはかなり高い。






 その為、個人としては難しくとも、チームとしての実力でなら、リーン相手でも通用するとシグルドは判断していた。





 ——だが、リーンレパードとの戦闘が続くに連れてほころびが生まれたのだ。





 カルロスは、敵の攻撃の数手先まで読み、最善の動きで魔獣たちを翻弄する。





 ——しかし、避けた筈の位置が悪かったのか、豹の魔獣リーンレパードの爪が襲う!





 リーンレパードの爪攻撃は斬撃波を生み、空を切り裂き一直線に飛んで来たのだ。




 咄嗟にエイシャリアはカルロスへと鞭を絡め念動力で即座に移動させる!





「やめてくれッッッ!!!」





 更に同時にシグルドが『プロテクトサラス』でカルロスを護っていた!






 なんとか爪の斬撃波はカルロスの身体ギリギリを通り過ぎた。





 ——しかし、避けた筈の斬撃波の対角線にはエイシャリアと、シグルドがいたのだ!




 シグルドは、すかさず斬撃波の対角線から身をかわしたが




 シグルドの魔法の詠唱とは違い、鞭を放ったエイシャリアには技後硬直がある。




 そして、何より戦闘体系として中衛に位置するエイシャリアは、物理的に敵との距離が近い。





 この一つ一つのほんの少しの差がシグルドとの明暗を分けてしまったのだ。





 迫り来る斬撃波に動く事の出来ないエイシャリア。




 すかさずティナが速射で矢を射るが




 そもそも爪の斬撃波は4本ある。




 いかにティナの速射であっても3本同時が限界。





 なんとか3本の爪の斬撃波の軌道を逸らせたものの




 

 残る一つの斬撃波は





 エイシャリアの右肩を深く切り裂いた。




 もう少し逸れていれば、肩から腕が切り離されていた程に





 深く、大きな斬撃。

 




「ッッッ痛ぅッ」





 赤い鮮血が舞う中





 その光景に、目を見開いたカルロス






「ッッッうぅぅぁぁぁぁぁぁッッッ!!!!」






 突如リーンレパードへと向き直り





 一目散に駆け出した





「やめろッッッ!!!やめるんだ!!!」






 シグルドの静止を振り払い





 カルロスは一心不乱に駆け続ける。





 このままだと、カルロまでやられる!!!




 無詠唱で良い!!!





 バレたらややこしいなんて関係ないッッッ!!!





 絶対カルロを護るんだッッッ!!!






 カルロとリーンレパードの対峙を





 危機的場面を


 



 絶対に見逃しはしない!ッッッ!!






 そう、強く意気込んで





 一挙手一投足を逃すまいと食い入る様に見詰める。






 ——しかし





 カルロスの素早さが異常な程に速い!





 属性付与の今までのスピードより




 数倍速い斬り込みで





 無数の乱舞を打ち込んだのだ!!





双牙裂空乱舞斬そうがれっくうらんぶざん





 幾重にも放たれる二つの剣撃は、止まることを知らない





 斬撃波を繰り出したリーンレパードの身体は鋭利な傷跡を無数に刻み込まれる




 特に爪はボロボロに砕かれ、斬撃波を繰り出した右の前足を中心に




 牙を砕き、目を潰し、腹を裂いた






「す……すごい……」






 それでも止まらないカルロスは




 一直線に襲い来るもう一体のリーンレパードへと方向を変えた





 ——しかし




 カルロスの攻撃は空を切った





 もう一体のリーンレパードはカルロスをかわし通り過ぎたのだ





 そして、向かった先は





 見るも無惨に腹が裂け、鮮血が飛び散るリーンレパード





 その傷口へと顔を埋めたのだ




 すかさず、不可解極まりない動きを見せるリーンレパードへと切り掛かったカルロスだったが






 顔を血で真っ赤に染めたリーンレパードは、そのまま彼方へと走り去って行ったのだ。





 去り際に笑顔を残して——





 不気味な光景に我に返ったカルロスは、エイシャリアの元へと駆け寄った。





「エルッッッ!!」





 エイシャリアの右肩の服が裂け、鮮血で滲んでいる。





「エルッッッ!大丈夫なのか!?」




「ポーションで傷口は塞いだよ。でも……完治までには至っていないね……あの傷だったんだから……本当に良かったよ……」





「悪いわね。かわせるつもりだったのだけどね。まぁ、大丈夫よ。この指輪の効果でいずれ治るわ」




「エル……嬉しいが、アレは俺の判断ミスだ。数手先まで読めてなかったのが悪い。それでお前がこんな怪我を負うのはやめて欲しい」




「かわせるつもりだった。そう伝えた筈よ、カルロ。それこそわたくしの判断ミスだわ。何より、貴方が数手先まで読んだ上でかわせない方を最後まで選び続けているのは、それを選ばざるを得なかったという事。貴方は個人の戦闘では怪我をしないのだから、それは必然的に、わたくし達を守るための行為だわ。その上でわたくしに愚かな選択をしろと言うのなら、それこそ話にならないのだけれど」





「……エル」





「いや、悪いのは俺なんだよカルロ。俺がもう少し視野が広ければ魔法でエイシャリアを護れたはずなんだ」




「シグルド、お前は黙っていなさい。あの時シグルドはもしもを考えてカルロに防御魔法をかけていたのは知っているわ。同時に展開出来ないのだもの、わたくしが自身で魔法を使う選択肢もあったのよ」




「いや、それこそ無理だろう。エイシャリアはあの時カルロを護る為に技を使っていたんだ。それこそ父様みたいな同時詠唱が出来ないと無理な芸当だし、あの一瞬での詠唱じゃ間に合わない」




「それより、ありがとう。ティナの速射に助けられたわ」




「ごめんね。ちゃんと助けてあげたかったんだけど」




「いや、本当に助かった。ティナがいなかったらと思うと本当に肝が冷える。本当にありがとう」




 ティナへと礼を言ったカルロスは、エイシャリアへと向き直った。




「エル……これからはもう先読みを読み間違えない。悪かった、ありがとう」




「それで良いのよ、カルロ。わたくし達はチームなのだから、これからもどうしようもない事はあるわ。だからこそ、自身を犠牲にすることよりも、どうしようもない事が分かっているなら、ちゃんと共有しなさい。貴方が倒れることはわたくしが許さないわ」




「ああ。ありがとう」




「……それにしても……1人でリーンを討伐するなんてな。本当に……ビックリしたよ……」





「……本当にそうね。事後だけれど……話を聞いた時には本当に驚いたわ……。逃げた1対が何故か攻撃をやめていたのもあったでしょうけど……近接のリーンレパードと先読みは相性が良かったのかしら」




「ああ、無我夢中だったのもあるが、思い切り飛び込めたのは大きいな。一対一なら超近接の先読みは、かなり有利だからな」





 そうか。




 確かに、双剣の届く間合いでの超近接まで間合いを詰めていると、相手の動きが分かるカルロの優位性が格段に上がるのか。




 怒りでその間合いに一気に飛び込めたことで勝利を勝ち取ったんだな。




 俺には出来ない芸当だ。





 もちろん相性もあるだろうけど、リーンを単独撃破は本当に凄いことだ。







「だからカルロは近接なんだね!私は遠距離じゃないと、やっぱり不安だよ。状況把握も絶対遅れちゃう」




「それはそうだよ、ティナ。先読みが出来るカルロほどの対応はSランクでも難しいかもしれない」





「そうよ、ティナは後衛に向いているのだもの。わたくしたちは、チーム。それぞれを補い合えれば良いのだから」





 4人が互いに見つめ合い




 ニコッと笑顔で讃えあう。







 話が終わったタイミングで、リンリンがシグルドたちへと距離を縮める。




「話は終わりましたか?さっきのリーンレパードの動きが気になります。恐らく奴ら奇行種です。並のリーンの強さより力が強いでしょうから、警戒を怠ってはいけませんよ」





「奇行種……」





 確か奇行種はレイドボスと呼ばれるユニーク個体だったはずだ。




 現エリアボスよりも強い事が確実で更に強さも未知数。



 当然試験官が対応出来ないと死ぬ可能性すらある極めて危険なモンスターだ。




「奇行種の相手をするのは私たち試験官なので、ご心配なく」





 副団長2人も警戒する。




 アシュリーが、いつの間にか展開している水魔法により半径100メートル程の水の膜で辺りを警戒している。




「あの岩陰の向こうにいますよ!こっちを見てる!」




「ほう、これは来たかいがあったと言うものですな」








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この物語は日・水・金の19時に更新します。

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