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【9000PV感謝】双極の花紋〜転生しても、君を必ず護ってみせるから〜  作者: 赤嶺 利空
第四章 「仲間編」

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第九話 「共通の境遇」










 コバルトが氷塊になる事で心が沈んだリンリンの感情は単純な話ではなかった。





 


 1000年間まったく歳を取らなかったリンリン。




 このノーブルの呪いで、リンリンはすっかり心を閉ざしていた。





 20歳の肉体のまま肉体が留まる事は、人々の欲の渇望としては当然と言っても良い。




 怪我もせず、病気にもならない。




 それを手にしているのだ。




 もしかすると、罰当たりかもしれない。




 周りが言う様に、幸せな事かもしれない。





 だが、孤独は計り知れなかった。




 仲良くなった者は当然先に老い、先に死ぬ。




 ノーブルだと気付かれる事で化け物だと言われた事も、当然数えきれない。




 住む場所を転々と変え、人と深く、長く関わらない生活も続いた。




 しかし、ノーブルは自身だけでは無かったのだと知り、レヴァと再会した。




 ウィニキートスの師範代である自身の技能を活かし、レヴァと共に青の国を発展させていった。






 ——だが、孤独は消えなかった。





 ある時、コバルトという弟子が出来た。




 幼い彼は、とても才能のある子供だった。




 だが何よりも、こんな化け物の自分に目を輝かせながら




「リンリン、綺麗な花が咲いてたんだ」




 と、摘んできた花束をくれたり



「俺が大人になったら、俺と一緒になってもらうからな!その為なら俺はどこまででも強くなる!もちろん、リンリンよりもだ!」





 そう、大人の男性の様にませた事を言ってのけていた。




 子供のくせに!と思う反面




 自身の心の孤独に寄り添ってくれるコバルト




 いつの間にか自身の見た目とそう変わらない年齢になる頃には




 目で追う様になったのは事実だった。




 


 こんな化け物との自分との恋愛は難しいから。




 何より彼も自分を置いて、先に死ぬ。





 互いに傷付くだけだから。




 そう、思っている間に





 いつのまにか自分の見た目より、幾分も歳をとったコバルト。




 このままではダメだ。




 ——コバルトから離れ、青の国から橙の国のリオーネに向かう事になった。







 


 ——しかし






 突然、髪が伸びて来た






 まさかと思い





 爪を確認すると





 伸びている






 ……まさか……呪いが解けた…?






 思い切って指を切ってみる





 血が出る





 久々に感じる痛み……





 涙が出るほど……嬉しかった。






 その後、大切なノーブルたちと連絡を取り合い喜びあった。





 ——そこから5年





 帰郷して再会したコバルト——




 仲間であっても、どれだけ仲が良くても、皆が一度は向ける化け物としての奇異の目。





 それを、出会った頃から一度も向けた事のないコバルトへの気持ちは、確かにあったのに——





 コバルトを氷塊として延命してる間




 リンリンは何度も考えた。




 何故、素直になれなかったのか。




 何故、早く伝える勇気が出なかったのか。




 何故、こんな事に——





 今度はコバルトが歳を取らない。




 いつの間にか、見た目がコバルトよりも歳を取ってしまった。





「早くしないと、おばさんになっちゃうよ」





 ——シグルド達に会いに来る少し前





 リオーネ城に寄ったリンリンは、氷塊と化したコバルトの前で、そう呟くのだった。










——————







 気功の修行から、数時間が過ぎ、受付嬢が修練場まで降りてきた。





「お待たせ致しました。お話がございますので、どうぞお越しくださいませ」





 喧騒は一段落着いたのだろうか。先ほどの円卓のテーブルまで戻った一向は、受け付け嬢とその隣にいる割腹の良い男から話を聞くことになった。





「お初にお目に掛かる。私はギルド長のガガントというものだ。今回の騒動の結果だが、さすがに互いに騎士団長を、という訳にはいかないのでな。互いに副騎士団長を一人ずつ、ということで話がまとまった」




 歴戦の戦士なのだろう、このガガントという男は身体のあちこちに大きな傷がある。




 何よりまとうオーラが凄まじい。





「まぁ、今日はもう遅い。宿でも取って明日副団長同士お披露目といこうや」





 そんなギルド長に捲し立てるのはエイシャリアだった。




「あら?わざわざこの街まできたうちの騎士団長に帰れというのね?何より、互いの副団長だけで責任が取れるのかしら?それに、クエスト中にまた小競り合いにでもならないか心配だわ」





 まぁ、もっともな意見ではあるな。




 対立する騎士団で、更にはさっきまで揉めに揉めていた間柄だしな。




 俺たちの安全面が保証されないなら、やっぱりティナたちを危険な目には合わせられないな。





 そんなシグルドの心配を他所に、リンリンが言葉を発した。





「仕方ないですね。まだ形だけの身体強化では心許ないので、私もクエストに同行しましょう。実戦での鍛錬が一番向上が早いですからね。何より同伴する予定の者たちで揉めているなら、それがスムーズでしょうし」





 チラリ、と横目でギルド長を牽制するリンリン。




「お、おぉ、まさか『アーツ』が!あ、いや。『帝級』の貴女に協力して頂けるならこれ程心強い事はない。よろしく頼む」





 青の国で猛威を振るったBランク魔獣のリーンスパイダー。



 ハンスは惨敗し、父様はチェダー老師との共闘でなんとか勝利した相手を、リンリンは瞬殺したと聞いた。





 やっぱりリンリンは相当な実力の持ち主なんだな。






 話がまとまりギルドを後にした一向は、近くの宿泊施設へと向かう。







 暗いな。もう夜か。




 それにしても真っ暗じゃないか?あぁ、そうか。月が出てないんだ。





 今日は、朔の日なんだな。





——————







 ——月も出ていない夜の闇。いつもより一層、闇が支配する暗闇に、2人の男女の姿があった。







「ごめんなさい、レヴァ。……やはり私が助けに入っていれば良かった。そうすれば、青の国も民も……貴方やルフだって……」






 女は顔を手で覆い、ポロポロと涙を流している。





「スフィア。その話はもう済んだ筈だ。あの場で君が正体を晒すことは許さない。そう言ったのは僕だ。その判断が間違っているとは僕は今でも思わない。何より今の僕のままじゃ、どの道ああする他なかっただろうからね」






 男は口以外の顔を布で覆っている為、定かではないが、少しだけ覗く鼻先や口元だけでも、端正な顔だと伺える。





 そして、顔を覆っていた手を下ろした女は、絶世の美女である。所作の一つ一つをとっても洗練された美しさが伺える。





「そんな事……あんな奴ら、貴方なら」





「スフィア。そんなに先生を困らせるものじゃないよ」





「まぁ!レヴァ!貴方の中ではまだ幼子のままの私でしょうけど、もう私は立派な淑女なんですからね!」





「それはすまない。この目では、今の君を見る事が出来ない。それだけは、悔やまれるね」





「あら、いつかちゃんと復活したら見られるのだから楽しみにしておけば良いんじゃなくって?」





「おや?また僕を誘惑するつもりなのかな?」





「ふふ、そうかも」





「楽しみにしているよ、スフィア。ところで例の物は?」






 そんな甘い声を発していた2人の空気は





 突然、冷たい雰囲気へと変わった。





「ええ。抜かりないわ」





「それは良かった。まだ君が持っていた方が良い。こっちはまだ一つも回収出来ていないからね」




「そう。やはり奴らの目的は変わらないようね」




「ああ。アイツの事も気がかりだから、そろそろ戻ろうか。くれぐれも気を付けて」





「ええ。貴方も」





「「また、朔の日に」」










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