第五話 「ギルド」
「な……んて事だ。最上級魔法を習得してる間にエイシャリアにも、カルロスにもレベルが追い付かれてるなんて」
——現在、共に最上級魔法を習得した知らせを聞いた4人は、再度帝都に集まっている。
そこで、改めてステータスを確認し合った一行。
レベルキャップであろうLv.44の壁に阻まれたシグルドのレベルに、エイシャリアもカルロスも追い付いていたのだ。
当然シグルドが、ショックを受けている。
「当たり前でしょう?わたくし達は最上級魔法の訓練の傍ら、戦闘の指南までして頂いていたのよ」
「そーだぜ!頭打ちでレベルの上がらなかったお前とは違ってな!」
したり顔の二人に恨めしそうな目を向けるシグルドは、頭を抱える。
「くそー!この指輪の成長速度上昇がここまでの効果だなんて!しかも本当にレベルキャップは外れたのかよ!俺まだレベル上がってないんだが!?」
「シグ、頭打ちが外れたんだし、ここからの経験でレベルが上がるよ!」
ん?そうか、そういう事か
俺はてっきり頭打ちになってる間の経験値はキャップが外れたら大量に入ってくるものかと思っていた
そうか
ソシャゲとかの優しいゲームは、キャップ解放でそれまでの蓄積経験値が一気に入る事が多いけど
オンラインゲームのMMOとかだと、キャップ解放イベをクリアしないとその間の経験値を捨てる事になる
く、くそ!甘く見ていた!
オンラインゲームのMMO的要素だったか!!
「あぁ、萎えた。なんだったんだ、今までの苦労は」
天を仰ぎ、全ての力が抜けるシグルド。
「何言ってんだ?面倒な事をクリアしたんだろ?これからが楽しいって事じゃねーか!」
「あのな!4レベルだぞ!4レベル!こんな数週間で差を縮められたんだぞ!」
そんなシグルドに、ふと疑問が湧いたティナは告げる。
「シグ、そうとも限らないよ?もしかしたら、二人はすぐに4レベル上がって、その後二人共頭打ちになっていたのかもよ?」
確かに……
この指輪の恩恵がどこまで作用するか分からない以上、成長速度が、それ程までの効果がある可能性は充分考えられる。
「だって、みんなが授業中負担通りだったのに私のレベル3も上がったからね」
そうか。ティナは今Lv.54なのか。
シグルドはそんなティナの声に励まされ、目を輝かせたのだが、二人もまた同じ顔をしている事に気付いた。
「くっそぉ!勝負だ!同じレベルなら誰が上なのか勝負しようじゃないか!」
「あら、以前泣きべそかいていたのを忘れたの?今は関係値が変わったのだから、本気で行くわよ」
「そうだせ?シグ。元々俺たちは勝負したかったんだ。お前がその気なら、願ってもない好奇でしかない」
——今回、同レベルに達していると分かった彼等は
自身の実力がいかほどか
誰が一番強いのか
仲が良くても、昔からそんな腹の探り合いをしていたのだ止められる訳がない。
だが、ある意味当然である。
仲が良いからこそ
互いを知り強さを認めているからこそ
負けられない
だからこそ、誰の実力が上かが気になる
バチバチと火花が飛び散る音が聞こえる程に臨戦体制の3人に、頭を抱えるティナ。
「あのね、そもそも強さを知っても畑違い。土と銃闘術使いのシグと風と先読みと二刀流使いのカルロと土と念動系魔法と鞭使いのエイシャリアだよ?せめて同じ武器を使うなら強さの優劣はつくけど、お違いに高めた技巧は戦略戦にしかならないよ」
そんなティナの言葉に、シュー、と蒸気の様な闘志が抜ける三人。
「た、確かに早計だったわね」
「そうだな。単純に徒手空拳でやり合っても、本来は武器がメインだしな」
「そうか。武器なしだと、俺やエルに先読みと念動系魔法がある分シグには不利か」
「いや、それ込みで丁度良いハンデかなって」
「「なんだと(ですって)ッッッ!?」」
ハァ——
ティナは更に頭を抱えそうになる
が——
「それなら!ダンジョン都市に行ってギルドに登録をして、ランクを測ろうよ」
「「「ギルド???」」」
この世界にもギルドがある。王侯貴族こそが魔力に長け、優秀である事は確かであるが、平民の中にも魔力に長けた者は生まれる。
魔力が無くても剣術に長けた者の様に、武術に秀でた者は多い。
そんな若者たちが集う街、それがダンジョン都市だ。
花の形をしている大陸の六枚の花びらのうち、四枚は色の公国が納めている。青の国が滅びた今は三枚ではあるが。
だが残り二枚のうちの一枚。そこに、ダンジョン都市がある。
それはギルドが納める国であり、強さだけが権力である荒くれ者の街。
巨大ななダンジョンが数多く存在する、そんな大穴だらけの危険地帯。
当然管理されていないダンジョンからは魔獣がひっきりなし現れる。
そんな場所に何年も何年もかけて、都市を建設したのだ。
今では余程の事がない限りは安全であり、ランカー達が数多く存在する程、武力に特化した街なのだ。
「ギルドのランクってね、普通は低ランクから徐々にランクを上げないとダメなんだけど、最初の登録時だけ、実力にあったランクを与えられる試験を受ける事が出来るんだよ!だからそのランクで勝負したらどうかな?」
そんなティナの提案に武者震いをする三人。
「あら、おあつらえ向きなイベントがあったものね」
「それぞれの武器でちゃんと実力を測って貰えるんだ。これで実力がハッキリするな」
「人前で無詠唱は使えないんだから、実力が発揮出来なかったとかは無しだからな」
「だから、丁度良いハンデだって」
「「なんだと(ですって)ッッッ!?」」
ハァ——
ティナの心労は積もるばかりである。
——数日後。
ダンジョン都市に着いた一行は、あまりに活気のある街並みに驚くばかりだ。
シグルドには既視感のある光景だが、異世界もののアニメでは定番の街並み。
宿屋や、飲食店、武器屋や、酒場、薬屋色々な店が至る所に建ち並ぶ。
そして、そんな道を往来するのは筋骨隆々の荒くれ者のたち。
おお!みんな、凄い装備を整えて、自身に溢れた強者の風格が漂ってるな。
いや、中には見掛け倒しも多い様だけど。
でも中には、本物の強者が何人もいるのは確かだ。
——そして、他の建物とは違い、巨大で一際目立つ建物に視線を送る一行。
「ここが、冒険者ギルド」
「そうだよ!ギルドって言っても薬師ギルドとか、建築ギルドとか他に色んなギルドがあるけど、ここは冒険者の為の街だからね!だから、一番大きなギルドなんだよ」
聖地巡礼で各地を回る聖女であるティナは、このダンジョン都市にも来た事があるのだろう。さすがに知識量が違う。
——そして
いざ、登録へ!と勤しむ四人は
「なりません!」
まさかの、登録拒否を喰らったのだった。
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