第二話 「ステータス」
シグルドの話を聞き、皆が高揚する気持ちを抑えられない。
「これで、心置きなく強くなれるぜ!」
「あら、ある程度の怪我の回復なのよ。欠損部は再生しないのだから、油断したら承知しないわよ」
「私も、みんなみたいに強くなるよ」
そんな3人の想いを受け止めたシグルドは、改めて、良い仲間に出会えた事を感謝する。
「この指輪は、金魔法の効果で成長に合わせてサイズが修正されるらしいけど、逆に外す事が出来ないらしい。サイズ感が決まってないからどの指でも良いけど、どうせならチームとして、同じ指にはめないか?」
「いいじゃないか!でも、一度はめれば外せないなら、重大だな」
「そうだね!どこの指に付けようか?」
「それなら、左手の中指かしらね。確か絆や信頼を深める、と言った意味があった筈よ」
「いいね!」
「そんな意味があるなら左手中指に決まりだな!チーム感がかなり増す」
「さすが、エルだな!」
——そして、皆が宝石を手に取ると、ダイヤ型だった宝石は指輪へと形を変えていく。
色々な属性が付与されているからか、角度を変えると、ころころと色が変わる七色の宝石そのものの指輪。
「わぁ、綺麗だね。シルバーアクセとかでも無く、宝石そのものが指輪の形になってる」
「まさにこの世に1つだけって感じで、ここにある5つしかない、俺たちチームの象徴だな」
それぞれが覚悟を灯した目で
それぞれに目配せをし
一斉に
指輪をはめた。
——すると、電気でも当てられた様に
全身に駆け巡る今までに無い力を感じる
それは、マジカルクレストたちが施してくれた力の数々なのだろうか
あらゆる才能を刺激されているかの様に
ゾクゾク、と全身が敏感に反応する。
「……くぅッ」
——各々がそれに耐え、暫くすると
全ての経穴が開いた様に、身体が軽い。
まるで、血流の流れが良くなった様に、魔力の流れまでもが良くなった気さえする。
「す、すげぇぞ!身体が軽い!!」
「まさか、こんなに変化するなんてね」
「うわぁ!こんなに絶好調の状態をずっとキープ出来るなんて最高だね!」
「そうか!体調の悪い日が存在しないって事か!ヤバいな!それは!」
それぞれが高揚した気持ちを吐露し、大いに盛り上がる。
「さてと、それじゃあお待ちかねのステータスだな。今の現状誰が一番レベルが高いのか」
「そうね。今まで互いに研鑽を積んではきたけれど、レベルが可視化出来るなら誰の努力が一番実ってるのかが一目瞭然ね」
「でも、レベルだけじゃねーんだろ?熟練度?だっけか?それも判断材料になるな」
「ふふっ、楽しそうだね。私は魔法は関係ないから、レベルだけになるのかな?」
3人が火花を散らす中に、ちゃんとティナも混ざって来ていた。
そんなティナにシグルドは少し驚きはしたものの、弓を構えたと同時に獲物が落ちる、あの弓捌きを思い出した。
そうか。
ティナも、聖女として魔王との戦いに参加する為に鍛錬をして努力していたんだよな。
聖女って事で、何故か特別な気がしていたけど、俺たちと何も変わらないんだ。
「さぁ、ステータスを表示するわよ」
シグルドLv.44 カウントダウン()
土属性 初級魔法【熟練度Lv.10】中級魔法【熟練度Lv.10】上級魔法【熟練度Lv.3】
砂属性 初級魔法【熟練度Lv.5】中級魔法【熟練度Lv.4】上級魔法【熟練度Lv.1】
武術【Lv.7】 銃【命中率Lv.10】
エイシャリアLv.40 ??の支配者(卵)
土属性 初級魔法【熟練度Lv.10】中級魔法【熟練度Lv.8】上級魔法【熟練度Lv.1】
?魔法 初級魔法【熟練度Lv.10】中級魔法【熟練度Lv.7】
武術【Lv.5】 鞭【命中率Lv.2 操作性Lv.8】
カルロスLv.40 ??を託されし者(卵)
風属性 初級魔法【熟練度Lv.3】中級魔法【熟練度Lv.5】上級魔法【熟練度Lv.4】
?属性 初級魔法【熟練度Lv.10】中級魔法【熟練度Lv.9】
武術【Lv.7】 双剣【Lv.9】
ティナLv.51 女神の??(1)
神聖力 初級【熟練度Lv.10】中級【熟練度Lv.10】上級【熟練度Lv.10】最上級【熟練度Lv.3】
武術【Lv.6】 弓術【Lv.10】
「な、なんて事だ……ティナにレベルが負けている……だと……?」
「……あら?シグルドはわたくし達など眼中にも無かったと……?」
「……いや、そこは単純に嬉しかったんだ……けど、その直後にティナのレベルを見たからな……喜んだのは一瞬だったよ」
「悔しいが……受け入れるしかないぜ、エル。シグはあの青の国の戦争経験者だからな。だけど、この指輪があるんだ。すぐに追い抜いてやれば良い。そうだろう?」
カルロスが悔しがるエイシャリアの肩に手を当てて、諭すや否や
二人の燃えたぎる視線を浴びて、ビクッ、とたじろぐシグルド。
「しかし、ティナ。こんなにもレベルを上げてるって事は、毎日相当な鍛錬を積んでるんだな」
「んー、私は聖女としてのお勤めがあるからね。毎日のお清めとか浄化とか聖地巡礼の結界とか強力な神聖力を使う為の修行は必須なんだよね」
「確かに。この中で唯一、最上級を扱えるティナは相当な鍛錬を積んでいるんだな。最近自分の強さがなかなか上がらない印象だったから、この指輪を貰って本当に良かったよ」
「ていうか、シグは最上級を覚えてないから頭打ちになってるんじゃない?」
「……えっ?」
——どうやらこの世界にはレベルキャップがあるそうだ。
通常レベルは目に見えないものなので、気付かれにくいがぐんぐん成長していた人の成長がピタリと止まる時があるのだとか。
しかも、ちょうど俺くらいの中級レベルに多いらしい。まぁ、もっと上には上でレベルキャップはありそうだとの話ではあるが。
そして、そのレベルキャップの外し方が、最上級魔法の習得なのだそうだ。
「つまり、最上級魔法を習得しないと、Lv.45にはなれないのか」
「たぶんね。もしかしたら50の壁かもしれないけど覚えておいた方が良いのは確かだよ」
確かにな。父様に最上級魔法を教わらないといけないな。
「あと、この『?』ってなんなのかな?シグには無いみたいだけれど私達3人にはあるでしょ?」
「確かにな。名前の右の称号?これじゃ何が何やら分からん。それに、俺とエルの『?属性』ってなんなんだ?分からないのに熟練度がかなり上がってるのも訳がわからん」
確かに。
この名前の横の称号?に関しては分からない事だらけだな。
一番分かりやすいのはティナの『女神の??』か。
まぁ、多分聖女だし女神の祝福とかが妥当そうだけど。
俺のカウントダウンは不穏でしかない。
十中八九、寿命に関係してそうな気はするから()の中身は寿命が近付いたら刻まれるんだろうか。
しかし、エイシャリアもカルロも、この『?属性』の熟練度がかなり高いな。
二人とも初級をカンストして、カルロなんて中級もカンストしかけている。
「そうだな。分からないからこそ、上級すらも覚えられないもんな。二人とも戦闘中何か特別な事とかはしていないのか?」
そのシグルドの問いかけに、エイシャリアの顔に動揺が映る。
珍しいな。あの淑女の鑑のエイシャリアが動揺するなんて。
でもエイシャリアの戦闘で不思議な事なんて——
「エイシャリア」
何かに気付いたシグルドに、ハッ、とし罰が悪そうに目を逸らすエイシャリア。
「本当に、聡い奴だわ」
「お前、物を動かせる……のか?そんなに低いレベルの命中率で、なんでいつも100発100中なんだよ」
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