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【7000PV感謝】いつも不遇のオレンジ色と土属性を押し付けられての貴族転生だけど、いずれ魔王を倒す〜しかも一緒に転生した子は異世界で魔法少女を望む〜  作者: 赤嶺 利空
第三章 「出会い編」

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第十四話 「帰郷と報告」











 本日は、出発の正午まで茶会を開きゆっくりと過ごす予定だ。




 国境までは見送るつもりなので、夕刻までは一緒にいられるだろう。





 リオーネ城の庭で、侍女の用意してくれた紅茶を飲み談笑する2人。





「教会のお務めは大変ですか?」




「そうですね。最近は浄化を必要とされている方の数が急増しておりまして、正直、目が当てられない状況下なのです」





「浄化をしなければならない、人、ですか?」




「はい。浄化とは、心の穢れを祓う行為です。人は心を蝕まれると、狂気に犯されます。それを浄化するのは、聖職者の務めなのです。何も、アンデットだけが浄化をする対象では無いのです」




 ティナはそう言って、目を伏せた。




 そうか、結構ティナ様の仕事はハードなんだな。




 そんな野蛮人みたいな奴等に怪我でもさせられたりしないのか不安だ。





「そうですか。日々、献身的に務めていらっしゃるのですね。御多忙の中、リオーネ領にお越し頂きありがとうございます。ですが、くれぐれもご無理はなさらないよう願っております。しかし、お話を伺うに、狂気に犯された方が増えているという事でしょうか?一体なぜ?」




「お心遣い痛み入ります。いえ、私自身がシグルド様にお会いしたかったのです。今回のご訪問はとても有意義で掛け替えのない物になりました。それに良いリフレッシュにも繋がりました!お会い出来て嬉しかったです!お招き頂きありがとうございました!」





「こちらこそ、ティナ様との婚約が叶い大変嬉しく思っております!お会い出来て、本当に良かった」




 お互い見つめ合い微笑み合う2人。




 だがすぐにティナの表情が陰る。




「ただ、この件に関しては……原因は分かりません。ですが、狂気に犯された方の暴挙を防いで下さってる方がおられるのは確かです。毎朝教会の前に沢山の方が寝かされています。その全てが浄化を必要とされる方なのです。浄化を終えた方は、さっぱり何も覚えてらっしゃらないので」




 毎朝!?




 思った以上に深刻かもしれない……。




「裏を返せば、その防いで下さっている方なら何かを知ってるかも知れないと?」




「……可能性、ですが」




 優しいティナ様なら、危険な事でも首を突っ込んで行くかもしれない……




 それだけは、止めないと!





「無茶は止めて下さい!何かあってからでは遅いのですよ!!……私がすぐ駆けつけられる距離にいられれば、私が全て対処するんですが、今はそれが歯がゆいばかりです」




「すみません。シグルド様の事も考えずに……危険な事はしないと、約束致します」




「約束ですよ。そうだ、異国の地に伝わる約束の儀を行いましょう」




「約束の儀ですか?」




「ええ、《指切り》というんですが、こうやって右手の小指どうしを絡めて。『嘘ついたら針千本飲ーます!指切った!』はい!これで約束の儀は終わりです」





 シグルドはティナの右手を取り、指切りをする。




「針千本ですか!ふふっ、それは約束破れませんね」




 互いに見つめ合い、改めて約束を交わした。




 そして、自然と微笑み合う。






 なんという事だ。




 ぬくぬくと貴族生活を送って来たが、何かが暗躍しているのかも知れないな。




 しかも、正義の味方のようなヒーローもいるのか。




 本当にヒーローなのかも怪しいが。




 ティナ様が心配だ。




 せっかくの残りの時間が、暗い話になってしまったが、ティナ様に起きている事だ。



 知れて良かったとは、思う。




 くっ……






 正午になり、そろそろ出発の時間である。





 国境までの道のりも、楽しく過ごしていたが




 近付いて来る別れの時間に離れ難く思う気持ちも同じ様で




 次第に会話が途絶える。





 どちらからとも無く手を握り





 今はそれで良いと





 互いに思うのだった。





 国境に着き、別れ際





 不意にティナはシグルドに近付き





 耳元に顔を寄せる。





「次に会った時は、敬称も敬語も止めにしようね、シグ」





 ニコッと





 悪戯っ子の様に笑うティナの顔を見て





 ドキッとしたシグルドは





 フッ、と笑い





 ティナの頭を撫でる。





「ああ、ティナ。これからお互い大人になって辛い事や悲しい事もあるだろうけど、必ず、俺が支えるよ。幸せにすると誓う。どうか末永くよろしく頼む」




 コツンッ、と額に額を押し当てて




 将来を誓うシグルドに





 喜びの涙を流し





 微笑むティナであった。






「シグッ!沢山ありがとう!!凄く楽しかったよ!次は、是非メィリッヒ領に来てね!」




「もちろんっ!!是非行かせて頂くよ!ティナこそ、遠いのに来てくれてありがとう!!あと、くれぐれも、どうか気を付けてくれよ」




「ありがとう、シグは心配性だね!それじゃあ、身体に気を付けてね!また会える日を楽しみにしてる!」




 馬車から顔を覗かせるティナに





 どちらも見えなくなるまで





 手を振りあった。





——————






 その後、馬車の中。





 ティナは小指を見つめ呟く。




「指切り、久しぶりだったな。今度は守れたら良いな」






——————






 数日後、花の国に訪れたシグルド。





 受けた恩がある以上、きっちりと筋を通さなければならない。




「この、わたくしに時間を作れとは、一体何様なのかしら?シグルド」





 連絡はしたが




 先日の薔薇の庭できっちりと茶会の用意をして待っていてくれた友人に




 笑みが込み上げて来る。





「無事、ティナと正式に婚約する事になったので、その報告に来た。今回の件、本当に世話になった。心から感謝する。ありがとう、エイシャリア」





 不貞腐れるようにそっぽを向き




 破顔するエイシャリアは





 照れ臭そうに





「別に」





 とだけ、告げられた。




 その隣でニカッ、と笑うカルロスは




 エイシャリアを温かい目で見つめている。





 シグルドに向き直ったカルロスは




 今度はシグルドにも満面の笑みを浮かべる。





「おめでとう、シグッ!まさか、お前に先を越されるとはな!」




「カルロもありがとうな!本当に感謝してる!何も知らないままだったら、えらい失態をする所だったよ。2人は大恩人だ」




「だが、お前がそんなに惚れ込んでるとはな、人は少し見ない間にえらく変わるモノだな」




「本当にそうね。つい先日、ここで血相を変えていた人とは思えないわ。それがこんなにスカして戻って来るんですもの、どう見ても他人よね」





 ん?何を言ってるんだ?




 貴族なんだから好きな相手と婚約する訳じゃ無いんだし。




 今回ティナ様の事がかなり知れて良かったけど、まだ12歳だぞ?





「いやいや、ただの婚約だよ。まだ惚れた腫れたは俺には分からん」




「なんだ?自分じゃ、何も気付いてないのか?中身はまだまだ、お子ちゃまかー?」




「ん?ティナ様はまだまだ子供だから仕方ないだろう?」




「むしろ、お前の方がガキだろう……」




「何言ってるんだ?そーゆーなら、お前達も早く婚約しろよ」




「なっ、『何言ってる』はお前の方よ、シグルド!どうして私がカルロと!?」




 シグルドの思い掛けない言葉に目くじらをたて怒り出すエイシャリア。




「嫌なのか?」




「バカ!黙りなさい!!」




 初めてみる程の取り乱し様だな!




 顔を真っ赤にして怒るエイシャリアにシグルドは続ける。






 ここは俺のターン。





「カルロは公爵家だし、何より宰相の令息だ。婚約者の地位に関しては問題無いだろう?仲も良いし、お互い尊重し合ってる。お似合いだと思うがな」




 そんなエイシャリアにカルロスが続く。




「へへっ、俺は昔からエル一筋だからな、いつでも嫁に貰ってやるぞ」




「うるさいわね!もう話は終わったんでしょ!?この話は終わりよ!シグルド、もう帰りなさい!」





 赤らめた顔を見られたくないのか、そっぽを向くエイシャリアを




 嬉しそうに眺め、ククッ、と楽しそうに笑うカルロス。




 きっと昔からこんな調子だから、エイシャリアは逆に怒るんだろうな




 と、2人を呆れて眺めているシグルド。






 そして、帰宅の馬車に揺られ、夕焼けを見ながら不思議に思う。





 そういえば、初めて会ったお披露目会で、カルロは鼻の下を伸ばしてたもんな。




 仲良くなって気付いたけど、侍女だろうと何だろうと、暇さえあればチョッカイをかけてる女ったらしの一面がある。




 エイシャリアの態度はきっと、それが原因だと思うけど。




 確かに、公爵家であるコルベラーナ家は、帝国の宰相の家系である為




 今代、同じ年に産まれたカルロは早々にエイシャリアの専属の従者になっているんだよな。




 だが、従者とは名ばかりに、行動を共にしているだけで、公爵令息であるカルロは特に下働きはしない。




 男である為当然だが、着替えも湯浴みも手伝わないしな。




 まぁ、これは恥ずかしいだろうから当たり前か。




 だが、食事の準備もしないし、何なら一緒に食事をするし、本当に不思議だ。




 そんな2人を見ているので、カルロはエイシャリアの虫除けであり、実は内密にしているが、婚約者なのかと思っていたけど、どうやら違うらしい。



 しかしカルロがエイシャリアを特別視しているのは見ていて分かるし、エイシャリアもまた、カルロが特別なのも確かだ。




 側から見れば、早くくっ付けよと呆れる程に。




 まぁ、色々な事情があるんだろうし、初めてこの話題を2人にぶっ込んではみたが




 これはしばらく様子を見ておくのが賢明だろうな。ふふふッッッ。




 また表情筋に負けながら、帰路に着くシグルドであった。





————————





 シグルドが帰宅した直後、まだ顔の赤いエイシャリアとカルロスの元へ




 皇帝の近衛騎士が現れた。





「皇帝ジアス様よりお二人に伝令です。シャルク様並びにローサ嬢への謁見を」




 それを聞き、少し顔を曇らせた二人は、席を立った。














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この物語は日・水・金の19時に更新します。

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