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【7000PV感謝】いつも不遇のオレンジ色と土属性を押し付けられての貴族転生だけど、いずれ魔王を倒す〜しかも一緒に転生した子は異世界で魔法少女を望む〜  作者: 赤嶺 利空
第三章 「出会い編」

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第十一話 「晩餐会」








 


 その後暫く移動した2人は、少し古びた工房に来ていた。




「次は陶芸体験をして頂こうと思います!ティナ様、土器を作ってみましょう!」




「わぁー!楽しみです!」




 良かった!公爵のお姫様だからな、



 ちょっと難しいだろうとは思って不安だったが、幼い頃から自然と触れ合って来たティナ様だからか、喜んで貰えて嬉しい!




 思いもよらない好感触にほころぶシグルド。




「わぁー!!ここが工房ですか!ドワーフさんも初めてお見受けします!お会い出来て光栄です」




 中に入ると、ドワーフの職人達が出迎えてくれる。見慣れたシグルドとは逆に、初めて見る工房に感動するティナ。なかでも、数ヶ所並ぶろくろは初めて見たのだろう。お互い作務衣に着替え、2人隣に並んでろくろを回す事になった。




 職人から丁寧に指導を受け、さて何を作ろうかと思考していると、頻りにシグルドの回すろくろをティナは観察していた。





「ティナ様は何を作るか決まりましたか?」




「えっと、あまり馴染みがないものですから悩んでしまって」





 そうだよな。




 貴族が使う食器は土器じゃ無いし、高級志向の貴族には手作りの物は好まれないから馴染みもなくて当然だよな。





「では、こうしましょう!私がティナ様の物を作りますので、ティナ様が私の物を作って下さい。皿でも何でも良いですから」




「え!シグルド様の物を私が!?初めてですから上手く出来るかどうか…。あっ!、あと、私、作りたい物を思い出しました!」




「私は、ティナ様に作って頂いた物ならどんな物でも嬉しいので、ご安心下さい!それで?何を作りたいんですか?」




「先程お昼に頂いた緑茶?の入っていたカップを作りたいのです」





 へー!緑茶が気に入ってくれたみたいだな!確かにティナ様はあの時、反応が良かったな!




「あっ、湯呑みですね!では、一緒に湯呑みを作りましょうか!お揃いと言うやつです!」




「えっ!?………お揃い……嬉しいです」




 顔を赤らめながら、そう呟くティナ。




 やっぱり、女の子だなぁ!まだ婚約もしてないけど、恋に恋したりする時期だろうし、こういうのに興味があるんだな。




 って言ってみたは良いものの……




 聖女様との……お揃いだと……!?




 けしからん、けしからん!




 いや、待て待て!




 ……獣よ鎮まれ。





 スンッ、と大人しくなったシグルドは改めて作業に取り掛かる。




 湯呑みは、回るろくろの真ん中に親指を中に入れ作るのだが、ティナは少し気を緩めた時に、飲み口が薄くなり、ぐちゃーと原型を無くしてしまった。





「えっ、えっ、どーしましょう!?」




 ぐちゃぐちゃに原型を無くした粘土を触り、何とか修復させようとするティナ。




「初めては、誰でもそうなります!職人!新しい粘土を」




 原型を無くした粘土を退け、新しい粘土を設置する。





「えっ?修復は出来ないのですか?」




「残念ですが、新しく作り直しになります。ですが、ティナ様は筋が良いです!とても綺麗な湯呑みがほぼ出来上がってましたから!」




 残念そうにしていたティナだったが、嬉しそうに、再チャレンジをする。




 そして——





「完成っ!!とても上手に仕上がりましたね!」




「わー!ありがとうございます!」




 お揃いの湯呑みを作り、満足のいく出来に2人で微笑み合う。




「焼き上がりには時間がかかる為、またお送りします」




「あっ、そうですね!今から焼くのですね!うわぁー、すっごく楽しみです」





 ティナが大変喜んでくれたのが嬉しい。




 この世界じゃ湯呑みはほぼ使われないけど、昼食で飲んだ時に気に入ったみたいだし、緑茶も一緒にお送りしようかな。





 日も傾いて来たので、リオーネ城に帰る一行。




「今日はシグルド様のお城にお泊りなのですね!なんだかドキドキします!本日は重ね重ねよろしくお願い致します!」




「いえいえ、こちらこそ、ティナ様が我がリオーネ城に御宿泊なさるのが夢のようです!もうメィリッヒ公とメィリッヒ公爵婦人がお待ちだと思いますので、楽しんで頂けると幸いにございます」




 初日は、まずまずだったんじゃないか?




 いや、だがこれからだ!




 両親と過ごす晩餐!ここで失敗したら、今までの事がパーになっちまう!




 抜かりなくだぞ!シグルド!






「そうですわね!お父様もお母様も、先にシグルド様のお城におられるなんて、なんだか不思議な気持ちになります」




「本日は、リオーネ家でパーティーを開き、メィリッヒ公とメィリッヒ公爵婦人共々、両家で晩餐を楽しんで頂きます」





「わぁ!両家でパーティーですのね!とても楽しみです!」




 ティナ様はとても素直で可愛い。確かに俺は自分で言うのもなんだが、なかなかの優良物件だろう。




 だがそれはティナ様も同じだ!末子だが公国の姫!




 だが末子だからこそ婿入りしないで関係性が築け、更に緑の聖女と謳われる稀代の天才!




 しかも容姿も良ければ性格まで良いなんてな!




 こんなの、同じ優良物件の俺じゃなくても、引く手数多だろう!




 わざわざメィリッヒ公御夫妻まで来て頂いたんだ!




 この際——




 必ず婚約まで決めるしかないっ!!






 リオーネ城に到着した一行は、一度別れ正装に着替える為、湯浴みをした後改めて晩餐会が開かれた。




 お色直しをしたティナは、少し高めのヒールを履いている為、大人っぽい。




 シグルドもまた、キチッとジャケットを着こなし、前髪を上げ、かなり凛々しくなった。




 ヒールのせいか、目線が近いな。




 髪型や化粧もさっきまでのティナ様より、ぐっと大人っぽい。




 12歳の女の子には、見えないな。



 




 2人が登場すると、家族団欒の筈が、ワァーッと盛り上がりを見せる。



 確かに、両家の従者達を合わせれば総勢200人は下らないだろう。




 数十人は囲える豪華な大テーブルに両家が向かい合う。



「本日はどうだったんだ、ティナ?楽しかったかい?」




 メィリッヒ公は、少し膨よかな体躯に優しい緑の目をした御仁で、聖職者らしい、とても穏やかな方である。



「はい!お父様!私、本日は初めてを沢山頂きました!」




「まぁまぁ、シグルド卿にはとても良くして頂いたのですね!それは良かった!」




 メィリッヒ公爵婦人もまた、とても穏やかな貴婦人である。




 お二方がにこやかに笑って下さる為、お二人を見ていると、ティナ様が素直に育った事が頷けるな。





 晩餐を嗜み、皆盛大に笑い合う。




 両親を見る限り、今日の外交はとても良い結果になったのだろう。




 食事も終わり、音楽が流れる。





「ちょうど良い、2人のダンスを披露してはどうかな?」



「それは良い、リオーネ侯は粋な計らいをされますな」




 続きの大部屋の天井には、豪華なシャンデリアのフロアがある。



 そこでティナとダンスを披露する事になったシグルド。




 えっ、ダンス久々なんだよな。



 最近は父様のハンドガンの指導と繁忙期前の畑の魔法と筋トレと狩猟と娯楽施設での新企画立案と各種の勉強とでかなり多忙だったから、ダンスの練習が少し出来てなかったんだよな。




 ダンスは、踊ってないとすぐに劣化するって先生がうるさかったんだよ。ここで失敗する訳にはいかないし。






 隣を見ると、恥ずかしそうにするティナ。





 しゃーない。




 男を見せますか。






 ティナの前に片膝を立てて座る。





「私と、踊って頂けますか?」





 あの時と同じ姿勢と言葉で誘うシグルドを





 一瞬目を見開いた後





 少し微笑んでくれるティナ。






「はい、喜んで」





 ちゃんと覚えて覚えていてくれた事が




 嬉しい。





 2年前の自分達の身長差




 リーチの長さ




 角度




 それがピタリと来た2人だが





 それは2年も前の事。





 成長期の2人が、今回も、と言うのは調子が良過ぎる話だ。





 だが、変わらない物もある。




 リズム感や、ターンのタイミングだ。





 長年に渡り染み付いたこの感覚は





 不変な物。





 やはり、2人の息はピタリと合っていて





 このしっくりくる感じは





 誰とも変えがたい感覚だ。





 踊り始めた直後から





 互いにそう、理解し





 自然と微笑み合う。





 とても、心が高揚し




 だが、同時に穏やかでもある。





 そんな、有意義な時が流れた。








 ワァァーッ!!







 ダンスを終え、歓声が上がる。




 二人は達成感も重なり、自然と笑みを浮かべ、また微笑み合う。





 皆の前で踊るダンスは





 少し気恥ずかしくもあったが





 不安を他所に、大成功を収めた——






 あー、緊張した!!




 だけど、やっぱり、ティナ様とのダンスはしっくり来るな!




 盛り上がる両家の歓声がこんなにも心地良いなんて。




 なんか、ゾクゾクする。




 変な感覚だ。






「2人共見事であった!なかなか良いモノを見せて貰ったぞ!」




「お疲れ様!本当に綺麗だったわ!」




「うむ!2人の息の合ったダンス、噂以上であったぞ!」




「素晴らしかったわー!感動しましたわー!」




『見事だ、シグルド』





 両家の両親から口々に賛辞が飛び交う。最後にルフからも褒められた。




「さて、良い雰囲気になった事だ!本題に入るとしようか!リオーネ侯よ、シグルド卿は幼き頃より土の神童と謳われ、難問だった土の娯楽施設を見事に繁栄させ、深く皆の心に根付いた土魔法に対するマイナスの印象さえ変えて見せた素晴らしき少年だ。そして我が娘のティナもまた、稀代の天才と謳われる緑の聖女。正直、娘の婚約者にと立候補する者は数知れぬが、妻が優秀過ぎると後が辛くなるのが心情だ。見合う相手がなかなか決まらなくてな。だが、シグルド卿なら話は別だ。娘を宜しく頼むぞ」




「我が息子を高く買って頂き、誠に有難うございます!シグルド共々、我がリオーネ家がティナ様を必ずお幸せにさせて頂きます!」





 仲良くなった子供達に




 いよいよ、正式な婚約を





 と言う話になり、話が盛り上がる。





 もちろんそのつもりであったシグルドと





 顔を赤らめるティナは





 共に了承し





 2人は婚約する事になった。







「ではここに、リオーネ家嫡男、シグルド・アトリビュート・リオーネとメィリッヒ家末子、ティナ・アトリビュート・メィリッヒによる、正式な婚約を認める」




 子供同士の婚約であるし貴族では幼少の頃には婚約者が決まっている事など当たり前なので案外あっさりしている。




 だが、シグルドの心情は爆発寸前だ。





 よしッッッ!




 まさか、こんなに上手く行くとはさすがに思わなかったぞ!




 しかも、初日じゃないか!




 これで2年越しの失敗がやっと拭える!





 というか




 聖女様だぞッッッ!!




 憧れのティナ様との婚約ッッッ!?




 あぁ、女神様……




 ……こんなにワタクシが幸せでよろしいのでしょうか……




 ……あぁ、召されたい……





 パーッ、という効果音と共に





 天から光が差し





 召されていく情景まで思い浮かぶ程に





 内心穏やかではないシグルド。




 しかし彼は思い留まり




 真剣な表情でティナを見つめた。




「どうぞ、よろしくお願い致します」





 膝を降り、ティナの手を取る。






「こちらこそ、末永くよろしくお願い致します」




 そう言ったティナは、顔を赤らめながら笑顔を見せてくれた。





 ——そうか。





 初めは、どうしても成功させてやるぞって気持ちが先行していたが




 婚約って、こーゆー物だもんな。





 周りを見渡すと




 涙を拭う両家の母や




 従者達もまた





 涙を見せている。





 まさか、憧れていた聖女様と婚約するなんてな




 これも、女神様の加護のお陰かな。




 まだ2度しか会った事がないティナ様との婚約だけど




 初めて会った時から不思議と馬が合ったのも確かだったし。




 何より良い子だし、可愛いからな!





 うん、獣を抑えていたらちゃんと冷静でいられるし……





 そうだよ、見た目とか性格とかが無理な奴との婚約だって貴族では当たり前だしな!良かった良かった。






 ふいに、ルフと目が合うと、フッと微笑み、口元で『おめでとう』と言ってくれた事が、なんともこそばゆかった。





 シグルド・アトリビュート・リオーネ、並びにティナ・アトリビュート・メィリッヒは共に12歳で婚約する事になった。







お読みいただきありがとうございます!

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評価★も励みになります!続きもぜひ読んでくださいね。

この物語は日・水・金の19時に更新します。

次回もお読み頂けると嬉しいです!

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