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【7000PV感謝】いつも不遇のオレンジ色と土属性を押し付けられての貴族転生だけど、いずれ魔王を倒す〜しかも一緒に転生した子は異世界で魔法少女を望む〜  作者: 赤嶺 利空
第三章 「出会い編」

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第九話 「お茶会」









 あれから更に1年が経ち12歳になったシグルドは、カルロスとエイシャリアと何度か一緒に狩猟をしているのだが




 2人は、シグルドの心情を汲み取り、無詠唱の事は、内密にしてくれている。




 そんな彼等の優しさに次第に心を開いたシグルド。




 帝国城にも幾度も足を運び、親交を深め、最初はぎこちなかったものの、次第に敬称などは全くない友人になっていた。




 そんなある日、帝国城からの手紙が届く。




 ん?エイシャリアからの手紙か?珍しいな。何度か約束の為に手紙は交わしてたけど、いつもカルロからなのになぁ。





 手紙を開封するシグルドは、今日も狩猟の誘いかと思っていたのだが、今日はエイシャリアにお茶会に誘われたのだ。




 茶会とは更に珍しいな




 と思いながらも、シグルドは帝国城に向かった。




 帝国城に着くとお披露目会でガーデンパーティをした中庭に通され、エイシャリアとカルロスと共に侍女が用意をしてくれた豪華な茶器と高価な茶葉と、花の帝国自慢の薔薇の風味の洒落た菓子で持て成してくれた。





「お話がありますの」




 いつもの凛とした姿勢で紅茶を一口飲み、挨拶も早々にエイシャリアがシグルドに口を開く。





「シグルド、あなたティナの事を放っておいてるらしいわね?」




 なんだかいつもと違う雰囲気はしていたが、突然の事に、何事かと驚愕してしまうシグルド。




「エイシャリア、突然何を急に言い出すんだ?ティナ様を俺が放っておいているだって??そもそもだ、俺とティナ様には何の関係も——





「無いと?」




 シグルドが言い終わる前に、エイシャリアが遮った。





 うっ、言葉を遮ってきた。





 礼儀に重きを置く貴族らしからぬ事、普段のエイシャリアは断じてしない。




 ただ、俺は何度かされているが、それは決まってエイシャリアの機嫌が悪い時だ……。




 瞳を閉じて紅茶を飲んで澄ましてるけど、これは相当お冠のようだな……。





「シグ、それはティナ様があまりに不憫だぜ?」




 助けに入ってくれたと思ったらカルロスも敵陣にいるようだ。



 珍しく、今日はいつもの笑顔は無い。





「2人共何を言ってるんだ?ティナ様とは、あれ以来お会いしていない。つまり、お会いしたのは、1度きりだぞ?まぁ、確かに、またお会いしたいとは思っているけど。そもそも会話をしてダンスを踊って頂いただけだ」




 そうだ!俺だってお会いしたいさ!




 だが崇高な聖女様だぞ!




 1回きりしか会った事ない俺なんかとの関係なんて




 無関係に等しい。




 かけがえのない思い出だとは思ってるけど




 俺の存在なんてその程度だ。





 俺は俺の中の獣を封印したのだ!




 放っておいているなんて責め立てられる謂れは無いだろう!





「その『ダンス』だよ。お前、公の場で何曲もティナ様と踊ったんだろ?」




「あ、ああ。お互いあんなに踊り易い相手は初めてだったって事で、何曲か踊って頂いたが」





 なんだよ。何が言いたいんだ!




 まさか俺、聖女様に何かやらかしたのかッ?!





「この国では、同じ相手とダンスを踊るのは1度まで。婚約者がいるなら尚のこと。居ないなら複数回踊るのはプロポーズの証よ」





 はぁッ!!?




 なんだって……!?




 シグルドは青ざめ頭を抱えだす。




 知らないぞ




 そんなローカルルール知るもんかよっ!!!





 母様もなんで教えて下さらなかったんだ!!





 確かにあの時




 まだ踊り足りなくてティナ様に俺からダンスに誘った。





 そうだ、あの時ティナ様は顔を赤らめておられた!!





 帰りに国境まで馬車で御一緒したのも……





 そうだよ!





 アレもティナ様からのお誘いで……。




 そうか……





 これから婚約する運びになるって話だからこそ





 あんなに積極的に誘って下さったのか!!




 いや、婚約の為の言葉を言う為のお膳立てをして下さっていたのか!!?






 俺は至高の好奇を




 逃していたのか!?





 ……なんと言う、愚行を……!!





 あぁ……





 従者がやたらとジロジロ見てくるとは思ってたんだ……!





 あの時俺は何をしていた……!?




 確か……




 ティナ様が可愛すぎて緊張で何を話したら良いのか分からずに、へらへらと畑の耕し方の話をしていたんだ!!





 ん?待てよ!畑の耕し方!?





 そーか!




 結婚後についてを暗に述べてる感じが否めない!!





 そうだ……





 あの時ずっと感じていた刺々しかった従者の空気が……





 ……柔らかくなった気がしたんだよ……!





 ……そうだよ!





 ……やっと馬車の中も空気が軽くなって安心したんだ!





 アレは




 あの従者のホッコリした笑顔は





 ……そういう事かっ!?





 あぁ




 ……これは、マズイぞ……!!





 あれから2年たっている!





 2年だぞ!!?





 聖女様に恥をかかせるなんて……





 ……なんという罪を俺は犯してしまったのだ





 ……死のう。





 死んでお詫びをしなければ俺は償う事は出来ない。





 ……ハッ!?





 だがエイシャリアはティナ様を敬称を付けずに話してたから、仲が良い筈だ!!





 きっとティナ様と俺の話をしていたんだな。





 こっ、これはまさか




 死ぬ事ではなく




 俺をお待ちになっている、のか?





 おお




 我が聖女様は、なんと懐の深いお方な——





「シグルド」





「はっ、はい!」





 頭の中を駆け巡っていた思考をエイシャリアの喝が制止する。




「あなた、ダンスの事は知らなかったのね。だとしても、今あなたは知ってしまった。今回の事はお披露目会参加者の皆が周知の事実。ジュメイリッヒ家は公爵家よ。あなたと同じアトリビュートだとしても、公国だから実質は王族。家格の低いあなたが今出来る事は取り急ぎティナと接触をし、謝罪も兼ねて楽しい思い出で塗り替えなさい。幸いあなた達の婚約はまだ正式ではない。あなたの行動で主人であるジュメイリッヒ公とリオーネ侯も動かれるでしょうが、これ以上シグルド自身が動かないのはあなたに傷が付く。友人として忠告してあげるわ!シグルド、これは貸しよ」





 言い終わるや否や、エイシャリアはそっぽを向き、僅かに見える頬を少し赤らめていた。




 もしかして、今回の呼び出しは、ティナ様に相談されてエイシャリアが動いたんじゃなくて、俺を心配してくれたのか?




 友達として、俺を助けてくれたんだな。




 な、なんだよ!エイシャリア!!分かりにくいけど良いヤツじゃないか!




「あ、ありがとう、エイシャリアぁ!!」





「おっと、それ以上はダメだ。如何にシグでも、これ以上エルに近付くのは許さん」




 半泣きになりながら、エイシャリアの寛大な対応に感謝し握手を求めた所でカルロスに制止された。




「いいじゃないか!握手くらい何度もしてるだろう!」




「握手に感情を込めるんじゃねぇ!そんな気持ちでエルに触るな!」




「友情だろ!汚い物みたいに言うんじゃない!」




「シグはパーソナルスペースを大切にするんだな」




 ほんとに、今日のカルロは笑顔が無いし、いつも以上に俺に厳しい!




 良いじゃないか!エイシャリアに優しくされたのなんて、初めてなのに!!




 ははーん?




 こいつ、エイシャリアが俺を心配して動いてくれた事が気に食わないんだな?




 えー?カルロ君?





 ヤキモチですかな?




 従者なのにそんなんで大丈夫なのかい?




 そんなんじゃ、これからエイシャリアに良いヤツが現れて掻っ攫われた時どーするんだね?




 そーだな、そーだな、その時は俺が朝まで愚痴を聞いてやるよ!




 だって俺達友達だもんなー!




 そーかそーか、カルロ君もまだ12歳だもんねー、分かった分かった!




 ここはお兄さんが折れてあげような!




 にやぁ、と笑うシグルドを見たカルロスは嫌悪の気持ちを抑える事が出来ない。





「チッ、相変わらず顔に出過ぎなんだよ!お前、そんなんでティナ様の事、本当に大丈夫なんだろうな?」




「ハッ、そうだよなぁ。俺は本当に大丈夫なんだろうか」




 普段はキザったらしいが、少し突つけばすぐに百面相になるこいつは、本当に手がかかる弟みたいだと




 互いに思い合うシグルドとカルロス。





 そんな2人を見てため息を漏らすエイシャリアであった。








 その後も、ティナについての作戦会議は続き、シグルドが帰路に着いた頃には日が傾いていた。




 まさか、こんな大事な話だったなんてなぁ。リオーネ城を出た時は想像もしてなかった。




 あー、まさかあのダンスにそんな落とし穴があったなんて……。




 くそーっ!もう、悔やんでも仕方ないっ!!腹を括るしかない!





 なんとか希望を得て、助けられたシグルドは、橙色の夕陽を眺めながらしみじみと思う。




 ホントに良い奴らだよ。





 今世でも良い友人に巡り会えたのは、きっと女神様に賜った加護のおかげだな。





 シグルドは密かに感謝をしたのだった。







お読みいただきありがとうございます!

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この物語は日・水・金の19時に更新します。

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