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【7000PV感謝】いつも不遇のオレンジ色と土属性を押し付けられての貴族転生だけど、いずれ魔王を倒す〜しかも一緒に転生した子は異世界で魔法少女を望む〜  作者: 赤嶺 利空
第三章 「出会い編」

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第八話 「医療従事者」







 青の国での戦闘から5年。




 あの後すぐに




 この世界唯一の医療従事者に会い





 研究を開始して貰っている。





 あの不可解な遺体の胸の穴





 何よりシグルドの寿命の事。





 医療がまったく進歩していないのだ。





 難航して当たり前である。





「どうだいウォット、進捗は」




 彼の名はウォット。シグルドより10歳年上の常に目の下にクマを絶やさない冴えない男である。





——————




 当時、本来シグルドが目をつけていた医療従事者オルタナは、もう10年近く前に忽然と姿を消していたらしく、当時のシグルドの落胆ぶりは相当なものだった。




 しかし、そんなオルタナには義理の息子がいた事が分かった。



 更にはオルタナを師と仰ぎ、医学を習っていたのだと。




 薬学のみで人を癒し、ポーションが全てのこの世界で、病に対抗すべく医療を突き詰めようとしたオルタナは、1冊の本に出会った。





 『ウルテの著書』それは古の魔法使いが記したとされる世界の心理が記されているとされる著書。



 ありとあらゆる分野のこの著書が世界の至る所から発見されている。




 そして、この本を見たオルタナは、歓喜した。




 その後の彼は取り憑かれた様に、病死した者の身体を調べる為、禁忌とされる解剖に手を出したのだ。




 元々肉の解体は、猟師の家系であった為お手のもの。



 同じ症例の動物の解剖から始め、肉体の構造はほぼ理解し、人間の身体を解剖する事で、何かを発見したのだそう。




 だがその時、忽然と姿を消し、更には人の肉体構造についての文献も残ってはいなかった。




 当時10にも満たないウォットにとって育ての親であり、師でもあるオルタナを失った悲しみは計り知れなかったが、父の意思を継ぎ、医学の道に進んだ。




 しかし、その道は茨の道より険しい。




 全てポーションで賄える世界である。




 風当たりも厳しい。




 ましてや、解剖など、理解される訳がなかったのだ。




 何年も何年も、誹謗中傷の嵐。




 窓は破られ、壁には落書き、歩けば罵倒や石を投げられる。




 挙句





 ——家を焼かれた。







 あぁ、終わりだ。




 父の意思を継ぎたかった。




 父の見た景色を見たかった。





 父の残した資料も何もかも




 全てが




 無くなった。





 赤く揺れる暴力の前に膝を折り、




 ただ、呆然と見ている事しか出来ずにいるウォット。




「君の野望はそんなものなの?」





「……は?……なんだ……ガキか……見せ物じゃねぇよ……」




「君の研究は立派だよ」




 不快に感じながらも、上質な衣服に身を包んだ少年に、うんざりしてしまう。



「……あぁ、お貴族様か……なんだよ……放っておけよ……見たらわかるだろ……何の為に近付いて来たかは知らないが……見ての通りだ……今……全てを失ったんだよッッッ!!!」





「君の事は知ってる。失踪した父の後を継ぎ、ほぼ0から独学で学び、菌やウィルスにまで辿り着いた天才だと」




「……そんな事分かっても、ポーションで治るから意味ないじゃないか……」




「おかしいな。君は知っている筈だよ。ポーションで菌やウィルスは死滅しない。弱った体力や免疫力をポーションで回復させているから、治ったように見えているだけだと」




「……お前、なんでそこまで。そんな事まで公表されてないはず」




「諦めるな。投げ出すな。君の行いは素晴らしい」






 初めての賞賛に





 時が止まる。




 それが






 得たいの知れない幼な子だとしても——





「医療の進歩は世界を救う」





 そう





 告げられ




 ウォットの目からは





 涙が流れた。





 それは止めどなく溢れ




 流れた涙の分だけ





 シグルドへの




 敬意へと変わったのだ。





 その後、リオーネの別邸へと拠点を移したウォットは、頭の中にある知識をフル稼働させ、わずか数ヶ月で失った文献を修復させた。




 そして5年が過ぎた今




 わずか20歳の彼を師と仰ぎ、多くの者が功績を称えている。





 伝染病の治療、肺炎、結核、敗血症、破傷風、壊血病、赤痢




 もちろん一筋縄ではいかなかったが、ポーションのお陰で、回復しながら研究が出来たお陰で、治療法が確立されたのだ。




 延命の為のポーションではなく、治療可能になった功績は人々をどれだけ救った事か。




 ウォットは医学を急激に発展させていったのだ。




 もちろん表向きの功績である。何よりこれは、薬学との結び付きが非常に強いのだから。




 だが、色んな症例を知り、医学に発展したのも事実。




 それにより、1つの発見があったのだ。





——————





「えぇ、どうやら動物にはポーションは効かないようです」




「ん?人の為に作られているから?いや、魔獣とは違って、動物と人の構造はそんなに変わらないよね?」




 動物と、魔獣の違いは角にある。この世界では動物には角がない。牛や羊なんかもいるが、角があるのは魔獣だけだ。



 そして、瘴気を帯びている。



 魔石の魔力により、瘴気が出て、凶暴化している。動物には魔石がない為、凶暴化しない。




「ルフには効くのかな?」




 一緒に来ていた聖獣ルフへと話をふると、鼻を鳴らされる。




『傷などそもそも、勝手に治る。そんなものは必要とせん』




 確かに、青の国での戦いの後、ルフの傷はたちまち癒えていたな。



 ただ、欠損部位は再生しないらしく、眼は見えていないとの事だ。



 しかし、空間を把握できるので、ハッキリ分からないまでも、認識だけは出来ているらしい。




「ふーん。それなら魔獣もそうなのかな?今度生け取りにしてこようか?あと、ついでにルフが怪我した時にポーションかけてみる?」




『……シグルドの治療の為ならば仕方がないな』




 そう言って、牙で腕に噛みつこうとするルフを慌てて止める。




「いや、待って!やめてくれ!」




『何故だ?お前の治療の為に知っておいて損はない』




「それでルフが傷付くのは絶対嫌だ!そもそも……俺のせいで目が見えないんだ……やめてくれよ。……耐えられない」




『フッ』




 そう、鼻で笑い、尻尾でパシパシッと叩いてくれた。








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― 新着の感想 ―
はいルフ好き! この場面イメージできすぎて!好きです〜
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