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【7000PV感謝】いつも不遇のオレンジ色と土属性を押し付けられての貴族転生だけど、いずれ魔王を倒す〜しかも一緒に転生した子は異世界で魔法少女を望む〜  作者: 赤嶺 利空
第三章 「出会い編」

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第三話 「聖女」











「ご挨拶が遅れて申し訳ございません。お初にお目にかかります、橙の国の侯爵家が嫡男。シグルド・アトリビュート・リオーネでございます。お美しい緑の聖女様にお会い出来た事、心より感謝致します」





 男性用の貴族式の挨拶ボウ・アンド・スクレープを終わらせ顔をあげると




思った以上に可愛らしい顔があった。




 キラキラと輝く白髪が濃い翡翠色の大きな瞳にかからないくらいで切り揃えられたボブヘアーの女の子だ。




 こっ、これが聖女様!?




 なんともなんとも愛らしい御姿!




 はぁっ、召されたい、私は貴女様の聖なる光で召されたいッ!!




「ティナ・アトリビュート・メィリッヒです」




 緑の国の代表である緑のドレスを身に纏い、小柄な身体で綺麗にカーテシーをする。





「………」





 え?それだけ?




 いや、そうか、緊張してしまってるのでしょうね。



 俺だって名前が独り歩きして、変に面倒が重なってる訳だし、ティナ様も、もうクタクタの筈でしょう。




 気付けぬ下僕をお許しください。




 そう——




 前世で女神教の敬虔なる信徒であったシグルドは、今でも女神への崇拝は人一倍強いのだ。



 そんな女神教を崇める聖協会の聖女ティナは、シグルドの憧れてやまないアイドル出来てない存在なのである。






「良ければ、あちらに座りませんか」



 スッと出したシグルドのエスコートに、そっと手を重ね2人でソファーに腰掛ける。



 公国の姫でもあられるし、どのような方かと思っていたけど、恥ずかしがり屋なお方なのだな。



 下僕である身で申し訳ないが、妹にしたい!と思う程に可愛いし。なんて言ったらナディに怒られるかもだけど。



 はぁ、ナディは元気にしてるんだろうか。お兄ちゃん心配だよ。




 はっ!




 緑の聖女様と言えば、神聖力で浮いたりするって聞いた事があるんだが。こんな愛らしいお顔をされて魔力量は俺よりも多いのかもしれない。



 あれ?神聖力は魔力なのか?いや違うんだったか?母様は神聖力が強くて魔力は弱いんだっけ?




 ん?そういえば、女神様の加護を授かっているはずの俺は、もしかしたら神聖力があるのかな?母様の息子なんだし、神聖力も結構強かったりとか?





「どうぞ」




 思考を遮られ、侍女から2人分の飲み物を受け取り、ティナに渡そうとしながらも、まだ考え込むシグルドの目とティナの目が重なる。




「あぁ、いや…すみません。ティナ様のお噂をかねがね耳にしておりまして、少し疑問に思ったもので」




「……」




「神聖力とは魔力と反比例するものなのでしょうか?」




「神聖力とは神からの祝福です」




「それは、種降祭の?」




「違います。才能に近いものです」




「才能?では、ティナ様は神聖力とは別に、風の魔力持ちでしょうか?瞳が綺麗な緑色でいらっしゃいますし」




「さぁ。私には必要ないものなので、調べておりません」




「お調べになられてないのですか?」




「ええ。私は、聖女ですから」





 5歳で必ず測定される筈の魔力を測定していないなんて事があるとは驚いた。それ程、神聖力の優先度は高いのかもしれないな。




 となると、女神様の加護を受けている俺にも神聖力はあるんだろうが、使い方がいまいち分からない。




 毎日の瞑想で体内の魔力の流れを感じているが前世との身体の違いなんて、魔力以外無かったからな。もう少し探ってみ——




 ん?




 吸い込まれるように、何かに目を奪われているティナ。




 視線を追うと自身の胸元を見つめている事に気が付いた。




 視線の先は、これか。




 それは、5年前の青の国での虫人との戦闘の際




 浄化の光を浴び消滅した後に残った、不思議な緑の魔石のカケラを透明なガラスのロケットブローチに入れたモノだった。




 宝石のように光るように細工をされた、ガラスのロケットブローチの中で、緑の細かな輝きを魅せる為、とても美しい。




 シグルドも気に入っていたので、せっかくの金の刺繍がまったく映えないこの橙の衣装の差し色にと付けてきたのだ。




 そんな宝石のように美しいガラスのロケットブローチをスッと外し、ティナの掌に乗せてやる。



「綺麗ですよね。希少な魔石のカケラだそうですよ。先日偶然手に入れたんですが、キラキラしていたのでガラスのロケットブローチの中に忍ばせました」



「ありがとうございます。一つ一つの緑の輝きは細かなカケラなのに、とっても、キレイですッ!」




 透明な物を見て緊張が解けたのか、ティナの表情は先程とは比べ様もない程明るくなった。




「気に入ったのでしたら、差し上げますよ。貴女と出会えた記念に、プレゼントさせてください」




「えっ、いえ、そんな!頂けません!こんな貴重な石を!」




「どうか遠慮なさらないで下さい。一つ一つの緑の輝きは小さなモノですが、ティナ様の瞳と、とても良く似た翡翠色の輝きですから、私なんかより、よっぽどよくお似合いになると思います」




 希少な魔力石だったとしても、聖女様にここまで気に入って頂けるとはなんとも光栄な事だ!




 ……虫人の事もあったけど、




 見てたらなんか、穏やかになれて




 ナディの事や、ルフやコバルト




 そして俺の事も




 そういった不安が、なぜか和む




 まぁ、俺の気に入った物を聖女様がお召しになるなんてご褒美でしかない!




 何より俺の橙色より、ティナ様の方が似合うのは確かだしな!




「あ、ありがとうございます!」




 満面の笑顔のごり押しに根負けしたティナは、顔を真っ赤にして縮こまっている。





 な、なんだこれは!




 これを見れただけで充分な価値はある!




 シグルドの心は充足感で満たされた。



 気付けば、シグルド達の周りにあった2つの大きな取り巻きは重なり




 1つの巨大な取り巻きへと変化していた。





 シグルドは気付いていないが、土の神童と緑の聖女の会話は全て聞かれており、隠そうともしない歓声の嵐で大賑わいを見せていたのだ。




 所々に散りばめられた、初めての情報でざわめき、エスコートの為、手が重なれば、キャーっと悲鳴が聞こえる。




 なんだ、これ?やたらと注目を集めてるんだが?




 あぁ、そうか。





 さすがの女神様人気と言った所か——




 分かるよ、君たち!




 キラリと目を輝かせるシグルド。




 もちろん、黄色い歓声が沸いた。





 そして




 パーティーも終盤に差し掛かり、楽団の美しい音色が鳴り響いた。





 その曲が聞こえるやいなや





 いよいよか、と




 勇み顔になる子供達。




 それぞれが努力の成果を見せる為





 晴れ舞台へと歩き出し




 ダンスホールへと移動する。




 そこには降って来たのかと錯覚する程の大きなシャンデリアが吊るされ、




 先程までいた色鮮やかな薔薇の庭園とは真逆の




 黄金一色に統一された煌びやかな世界だった。




 そんなホールの中に、一人凛と佇むエイシャリア。




 唯一の紫色の装いが、彼女を更に際立たせる。




 そこにカルロスが歩いて行くと




 エイシャリアの前で片膝を立てて座り




 右手を出してこう言った。




「私と踊って頂けますか?」




 定型文のような誰もが知る一連の流れだが





 初めて言われるとやはり嬉しいようで





 優雅なエイシャリアの笑みが




 若干動揺した事を




 見逃さなかったカルロスが




 満足そうに笑った。




 だが




 それに更に気付いた




 エイシャリアの動揺は




 一瞬で消えた。





 そしてシグルドは一連の流れをちゃんと気付いていた。




 あー、この2人まだ仲直りしてないのか。





 皆が皆、公の場での初めてのダンスだ。憧れや期待や意気込みは相当なもの。




 そんな皆の思いを背負い大注目のファーストダンスを踊る2人を囲うように




 自然と参加者一同は、円になるよう移動する。



 互いに礼をし




 差し出された手を取り体を密着させ、曲に合わせて踊り出す。




 10歳である為か、女性の方が成長が早い時期なのもあり、エイシャリアの方が背が高い。




 だが、背は低くとも力強く大きく踊るカルロスは身長差を感じさせない程ちゃんとリードをし、優雅に踊っている。





 みんなに注目されて緊張してるだろうに、2人共凄く堂々と優雅に踊るのはさすがだな。




 いや、さっきの一件が逆に緊張をほぐせたのかもな。




 終始優雅にミスもなく、手本のように踊り終えた2人は共に向かい合い、礼をしてファーストダンスは終了した。




 拍手と共に見守り終えた一同は、散り散りになってペアになりダンスを踊り始める。




 さすがにみんなの意気込みが感じられるな。よし!俺もダンス習って来たんだ!成果を見せるかッ!




 シグルドはスッと立ち上がり、ティナの目の前で片膝を立て座り、手を差し出した。



 すると、ビクッとするティナが顔を強張らせている。




 あれ?やってしまったか!?




 そりゃそうだよな、さっきの見た後だし同じ事されたら確実に誘われると思うよな。




 いや、でもみんな誘ってる訳だし行動としては間違ってない筈だ。



 あれっ?まさか、土属性——





「おいおい、土の神童とか言われて調子に乗ってるようだが、気安く聖女様を誘ってんじゃねーぞ!」




「そうだ!いい加減にしろ!さっきから聖女様を独り占めしやがって!所詮お前は土属性だ!いい気になるんじゃねぇ!」













お読みいただきありがとうございます!

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評価★も励みになります!続きもぜひ読んでくださいね。

この物語は日・水・金の19時に更新します。

次回もお読み頂けると嬉しいです!

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― 新着の感想 ―
召されたい召されたい下僕シグルド最高です。
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