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【5000PV感謝】いつも不遇のオレンジ色と土属性を押し付けられての貴族転生だけど、いずれ魔王を倒す〜しかも一緒に転生した子は異世界で魔法少女を望む〜  作者: 赤嶺 利空
第二章 「青の国編」

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第二十話 「ルフ」








 ——目の前が、赤く染まる。






「……あ……ぁ……」




 崩れ落ちるルフの巨体。




 蒼銀の輝きは既に失われ、黒い光に侵されながら、その体は痙攣している。




「聖獣……様……」




 返事は、無い。





 あるのは、ただ荒い呼吸音と、焼け付く様な焦げ臭さだけ。





 震える手で、床に触れる。




 力が入らない。




 立ち上がろうとしても、膝が笑う。




 怖いのか?




 違う。




 ——分かってしまったのだ。




 自分では、敵わないと。




 魔法も使えない、銃も通じない。




 聖獣様にこんな大怪我を負わせて




 なら——




 ……俺は……何の為にいる……




 心拍数だけが上がり




 ぐちゃぐちゃに混ざり合う感情





「あ、はっはっはっは!とんだ拾い物だ!まさかこんなガキを護る為に聖獣様が飛び出して来るなんてね!」





 下卑た笑みを浮かべるセドリックは、そのままゆっくりと近付いて来る。




 聖獣ルフの前に立ち、身構えるシグルド。




「あなたは、魔法も使えない!ただの狼だったのが、視界すらも失った!」






 警戒はしている




 筈だった——





 セドリックの蹴りが、間合いを潰すように踏み込まれたのだ。





 来る……ッッッ!!




 前世の記憶が、理屈より先に反応し、ガントレットでガードはしているが





 つ、強い……!





 急遽、攻撃を受けるのを止め、屈んで受け流し




 そのまま軸足を狙い蹴りを放つ!





 セドリックの身体は逆さまに宙に投げ出された





 が——




「……今の、悪くない」





 倒されながら





「ガキにしては、な!!」





 屈んだ姿勢のシグルドの首を




 床に叩き伏せたのだ!





「ガハッッッ!!」






 子供と大人の体格差と力の差は




 歴然だった。




 勝利を確信したセドリックは笑みを浮かべ




 剣での攻撃をしない。




 何度も




 何度も




 嬲られる。




 前世で格闘家であったが為に




 なまじ攻撃をいなし




 数発セドリックへと攻撃が当たるからこそ




 無情にも弄ばれる。




「あ、はっはっはっ!土の神童とは末おそろいガキだな!」




 ボロボロになったシグルドへ、遂に剣を抜くセドリック。





「やはりお前は殺しておくか!」





 剣を構え、ただ見下ろされる。




 だがそれは




 殺気——




 明確な殺意に時が止まる。




 シグルドは、息を吐くことすらできない。





 音が消えたような錯覚だけが





 やけに長く続いた。



 迫り来るセドリックに当たらないと分かりながらも銃を放つシグルド。





「わぁぁぁぁぁぁッッッ!!!」





 いつもの様に冷静ではいられない。




 錯乱した様に何度も何度も銃を放つ。




「ははッ!死ね!」





 しかし、銃弾を防いでいた水の膜が





 僅かに、揺らいだ——





「……?」




 一瞬。




 ほんの一瞬だけ、防壁の密度が落ちた様に見えた。




 次の瞬間——




 水の膜は霧散し、銃弾がセドリックへと襲いかかる。





「……なッッッ!!!?」





 辛うじて全ての銃弾を弾いたが、驚きを隠せない。




「ハァハァ……さすがに肝が冷えたぞ……だが、なぜだ?魔法が切れるには早過ぎる!まだ、効果は持続している筈だ!」




 シグルドを視界に入れたセドリックは、腑に落ちた様に鼻で笑う。




「ハッ!闇の魔石か。このガキにも効いているなら、俺にも多少効果があってもおかしくはないか」





「水を司る精霊ルフよ。

我が魔力を糧に

青木清らかなる水面で

我を護る盾を顕現せよ!


『プロテクトザーム』」





 しかし——




 発動はしない




「く……くそ!何故だ!精霊ルフとの親和性すら感じない!闇の魔石が強力過ぎるのか!」






 その時——




 

 聖獣ルフは立ち上がり




 威厳ある佇まいでセドリックへと見据える。




「……精霊……ルフ……?いや、こいつは聖獣だ……名が同じなのは知っている。だからこそ皆が逆に崇拝していたのも……」




「……だが……精霊ルフとは大精霊だぞ……?四属性の大精霊は封印されている筈だ……まさか……本当にこの聖獣ルフが……水を司る大精霊ルフ……だとでも言うのか?」





 そして、ルフは静かに唸りをあげると、セドリックの青緑色の瞳の色はどんどんと濁り、灰色へと変わる。




「な、なんだ……目が……見えない……」





 ルフは、動かない。



 血の流れる瞳は閉じられたまま。




 それでも——




 視線だけはそこに在った。




 まるで、空間そのものを見ているかのように。





「貴様は、やり過ぎた」







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