第十九話 「青の国の秘密」
目の前の光景に、カーン前大公の言葉を思い出すシグルド。
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「全てお話しましょう。この青の国の隠された秘密を」
「青の国は1000年前から、大公には本物の主君が君臨しているのです。彼は、『ノーブル・アジュール』と呼ばれる絶代な力を有する天才です。しかし、ノーブルとは歳を取らない。その忌むべき存在を君主として表に立たせるリスクは憚れたのです。そこで我らウィニキートスの分家であった一族で表の大公を演じて参りました」
ノーブル・アジュールと呼ばれる青の国の本物の大公レヴァの強さは本物で、伝説の4戦士の名に連なる程の偉人なのだそうだ。
しかし、20年前。女神の神託により、氷塊と化し、眠りに着いたレヴァは、そのまま目を覚ます事はないのだとか。
「本来は、15年で目を覚ますと……仰っておられたのです」
しかし、この5年間は、聖獣を介し、レヴァの言葉は告げられているのだとか。
目が覚めないのには何か理由があるらしいが、原因が分かっていない。
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「愚かな。我がいる以上貴様がレヴァの元に辿り着く事は叶わない」
「準備は終わったと言っただろう」
ニヤリと不敵な笑みを浮かべるセドリックは、黒い魔石を掲げ、床に叩き付けた。
黒い魔石は
粉々に砕け
床の魔法陣が黒く輝く
「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッ!!!」
魔法陣から放たれた黒い光は、バチバチと稲妻の様に蒼銀の狼ルフに纏わりつき、悲痛な叫び声をあげる。
「あ、はっはっはっは!!!やったぞ!これで貴様はただの狼だよルフッッッ!!!
「き、貴様!!」
「如何に聖獣でも、この闇の魔石からは逃れられない!!」
「闇とは厄介な……」
「闇の……魔石……?」
闇の属性までこの世界にはあるのか。確かによく考えればそうか。光を付ける魔石があるんだ。四属性だけな訳はないか。
「そうだ。闇属性とはその名の通り闇を操るだけではない。真に恐ろしいのは力を奪う効果だ」
「力を奪う……?」
「そう、文字通り奪うのだ。どうやらこの魔石には、魔法を封じる効果があるらしい」
デバフ効果か!つまり、ゲームとかにあるサイレント的な一時的に魔法が使えなくする魔法!?
聖獣って事は魔法が凄く強いって事じゃないのか?
それを封じられたら、ヤバいじゃないか!
「シグは、子供たちを護るのだ!私は参戦する!」
一時——
シグルドに目を移したその瞬間——
視界が揺れる——
「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
クラークと子供たちはセドリックの魔石から放たれる黒い光の餌食となった。
「邪魔をするな!チッ!一人逃したか!」
そしてシグルドは、黒い光が放たれる瞬間に、年長の男の子に突き飛ばされていたのだ。
床に投げ出される瞬間、受け身も忘れ、その一連の流れを見るしかなかったシグルドは、起き上がり、怒声と共に銃をセドリックへと放つ!
「止めろーーーーーッッッ!!!」
だが、セドリックには届かない。
水の膜が銃弾を飲み込んだのだ。
「なッッッ!?」
「ガキの出る幕は無い!死ね!」
剣を振りかぶり、セドリックが迫って来る!
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「セドリックは今年23になります。残念ですがレヴァ様を直接知らないのです」
5年前。レヴァの復活は当然のように待ち焦がれられ、青の国全土でお祭り騒ぎとなっていたそうだ。
今か今かと連日の宴は続き
セドリックは日に日に
苛立ちを隠さなくなっていったという。
どれだけの武勇を聴いていたとしても、セドリックにとっては、自身の体験が全て。
物心着いた時から、父であるカーンが大公であり、この国は父のものであった。
しかし、父はレヴァの事だけを大公と呼び、自身で国を掌握しようとは微塵も思わないお人好し。
セドリックの苛立ちは、日に日に積み重なっていったのだそうだ。
だが時が来ても、目を覚さないレヴァ。
如何に聖獣を介し、発言をされても、苛立ちは募るばかり。
世が世なら、自身がこの国を支配出来た筈。その想いに囚われたセドリックは、遂には、大公位をカーンから奪い取ったのだそうだ。
眠り続ける本来の大公など、恐れる事はない。これで、青の国は、自身の物だと。
だが
民衆は、そうは思わなかった。
レヴァこそ全て。
この青の民たちの心は
表向きの大公への忠義など
元から有りはしなかった。
そこからのセドリックの荒れ様は見るに耐えなかったと、カーン前大公は語った。
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つまりは、ただの自己顕示欲……
民たちを殺したのも
全てこいつが裏で手を引いていたんだ
こいつだけは許せない!!
全てをこいつが!
こいつのせいでみんなが!!!
「土を司る精霊ラゴンよ
橙に煌めく粒子の恐怖を
我が魔力を糧に顕現し敵を侵食せよ!
『グラインドサラス』」
しかし——
何も起きない
「……な……ぜ……?」
そして
血飛沫が舞う
衝撃で吹き飛ばされるシグルドは、目の前の光景に叫ぶ事しか出来ない。
「聖獣様ーーーーーッッッ!!!」
首を刎ねる様に振るわれた
セドリックの剣撃は
横一線に振るわれ
ルフの両眼を奪ったのだ。
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