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【5000PV感謝】いつも不遇のオレンジ色と土属性を押し付けられての貴族転生だけど、いずれ魔王を倒す〜しかも一緒に転生した子は異世界で魔法少女を望む〜  作者: 赤嶺 利空
第二章 「青の国編」

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第十七話 「それは救いなのか」








 少し前に遡る——






「おやぁー?そろそろ君たちはなかなかやるねぇー。やってやり返してって状況だよぉー。本当に早く行かなくても良いのぉー?君がうだうだしてるからそろそろ終わりかもねぇー。お仲間さん。」




 光の一切入らない瞳で、リンリンに笑みを浮かべる屍使い。



「これはあれだねぇー。君が殺したのと同じだよねぇー。だってそうでしょー?ノーブルの君なら助けられたのにさぁー。助けようとしないんだものぉー」




 そろそろ陽も歪む。夕焼けと夜の境——それだけの時間が過ぎたのだ。シグルドへの心配はとうに焦りへと変わっている。



 しかし、敵を倒す事は愛するコバルトの死を意味するこの状況で、操られるコバルトを放って行く事も出来ない。




 決断出来ない状況が、シグルドの命を縮める事は分かっていても、動けないリンリンは、自身の無力さにどんどん心拍数が加速する。




「あーぁ、つまらないなぁー。飽きちゃったよぉー。動けないなら動かしてあげる」




 すると、先ほど無惨にも首を刎ねられた騎士や民たちが何十人も起き上がり、リンリンへと向かっていく。



「やっぱり死んですぐだとさぁー。筋肉が固まってなくて良い動きをするよねぇー」




 だがその言葉以上に、生前の動きとは比べ物にならない程可動域も広く、俊敏な動きの屍たちは、四方八方からリンリンへと切り掛かる。




 しかしその瞬間、陽も沈み、闇夜と共にリンリンの姿が消えた。




 激しい金属音と共に、屍たちが持つ武器は宙に投げ出されたのだ。



 そして、全ての屍の腱は切断され、崩れ去る。




「……へーぇ?」




 屍たちの中心で、ただ一人立っているリンリンは、屍使いを睨む。



「……余計なことをしなくても、もう……終わらせるわ……」




 コバルトと見つめ合い、円月輪を構えるリンリン。



 それを、愛おしそうに見つめるコバルト。




「……ありが、とう……」




 どれだけ涙で瞳が曇っても、目を背ける事はしない。




「……愛しているわ、コバルト……」




 その言葉に目を丸くした後



 満面の笑みを浮かべるコバルト




「……ハハッ……やっと……言い……やがって……幸せに……なれ……」



 もっと早く素直になっていたら



 この満足そうな笑顔にもっと早く



 出会えていたのに——




 後悔と、覚悟を胸に駆ける足に力を入れる。




 最愛の人の首を跳ねる為




 一直線に——





 その時——





 全てが凍り付いた——




蒼氷グラシエス終焉カエルレア結界エグジティー




 青い光と共に



 地面も



 建物も




 屍も




 全てが——




「な、なんなんだッッッこれはぁー!!!」




 辛うじて頭だけは氷漬けにならずに済まされている屍使いは、あまりに突然なことに苛立ちを隠せない。




「あまり虐めてくれるな」




 声のする方に辛うじて頭を動かすと、そこには、月夜に輝く蒼銀の体毛をした蒼い瞳の美しい狼がいた。



「魔獣!?いや、聖獣か!?」




 全てを察した屍使いは恨めしそうに笑う。




「……まさか、大公城から出てくるなんてねぇー」





 そして——




 唯一氷漬けにされなかったリンリン。




 その刃を




 コバルトを覆う厚い氷が防いでいた。






「……ルフ……ありが……とう」





 カランッ——




 円月輪が凍った地面に跳ねる音が




 静かに響いた。

 





「……あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッ!!!」




 目の前で氷塊と化したコバルトに擦り寄り、悲鳴にも似た涙を流し崩れ去る。

 



「お前さえ生きているなら、コバルトは死なないんだろう?だが意識を断てば死ぬかもしれないんでな」



「ハッ……だから生かしておいたと……」




 力の抜けた屍使いは、突如無表情になる。



「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死な死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね」




 まるで呪詛のように、ぶつぶつと紡ぐと、やがて諦めたように項垂れた。




「あーぁ、萎えた。ボクの楽しみの邪魔をするなんてねぇー」




 聖獣を恨めしそうに睨み付ける。




「ほんとつまらない」




「睨んだところで何も出来はしない。お前にとって俺は最悪の相性なのだから」



「そうだねぇー。だからボクも観念して」




 ニヤリと笑みを浮かべる。




「退散させて貰うよ」




 その直後、カクンッと力が抜け




 そのまま



 動かなくなった。



「……そん、な!?自殺!?こいつが死んだらコバルトが……!!?」




「落ち着けリンリン。どうやら逃げたらしい。奴の手の甲を見てみろ」



「……本当だわッ!花紋が消えてる!どういう事なの!?」



「そいつは、奴の本体じゃなかったという事らしい。思えば昨日コバルトと戦ったのも、奴が乗り移っていたのかも知れないな」




「じゃあ、初めからコバルトを狙っていたとでも言うの……?なんの……為に」



「愛が壊れる所が一番美しい……だったか。奴の考えそうな事だ」



「……そん……な……」



「陽が沈むのがもう少し早ければな。悪い」



「……あなたは助けてくれたわ……!絶望の中から救ってくれたじゃない……あいつさえ生きているのなら、コバルトは死なないわ!」




「ナルディアなら治せるかも知れないな」




「そうか!!そうだわ!!ナディお嬢様の力ならきっと治せるわッ!!!」



「あぁ。ナルディアは精霊界で頑張っているらしい。心を強く持て」




「……ええ……」







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