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【5000PV感謝】いつも不遇のオレンジ色と土属性を押し付けられての貴族転生だけど、いずれ魔王を倒す〜しかも一緒に転生した子は異世界で魔法少女を望む〜  作者: 赤嶺 利空
第二章 「青の国編」

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第九話 「歴戦の年輪」








 

「チェダー老師ッッッ!!!」




 チェダー老師と呼ばれる老人は、腰は曲がり、手や顔に深く皺は刻まれているが、鍛え抜かれた筋肉は一切の衰えを感じさせない。




「あの御仁は、まさか……!?」




「ええ!青の国の伝説の武人、チェダー老師です!!」




「おおッ!あの御仁が高明な気功師のチェダー老師か!!」





 気功とは、体内に宿る生命エネルギー「気」を操り、肉体・精神・外界の力を増幅・制御する技術。




 この世界の魔法には、身体強化の類いは存在せず、この気功を用いて身体強化をする事が可能である。



 そして、気功の達人は、自身に流れる気だけではなく、他のものの持つ気さえも操る事も可能なのだ。




 そう、こんな風に——。





 老師は軽く手を振るだけで、蜘蛛の関節を一点に集めるように気を流す。




 すると、リーンスパイダーの脚が不自然に曲がり、逆に反転。金属音と共に弾け飛び、周囲の糸も振動で千切れる。





 さらに老師は体内にまで気を送り込み、敵の筋肉が暴発するように痙攣する。蜘蛛の胴体が小刻みに震え、鎌を振る動きが狂う。六つの頭が互いにぶつかり、咆哮が混乱に変わる。





 リオーネの騎士たちは息を呑み、感嘆の声を漏らした。




「ま、まさかリーン相手に……次元が……違いすぎる……」






 しかし、リーンスパイダーの再生能力は圧倒的だった。切れた関節は瞬時に復元され、弾け飛んだ脚も元通りに生え揃う。体内の爆発的痙攣も、あたかも筋肉が勝手に修復されるかのように収束したのだ!




「そ、そんな……」





 老師の氣功は確かに蜘蛛を翻弄し、動きを乱すことはできる。しかし、決定打には届かない。攻撃はすべて通らず、巨体は再び威圧的に突進してくる。




「ふむ、さすがはリーンと言った所かの。だがそれだけよ。気とは、動かしてこそ生きる」




 体術と気功を融合させ、老師はリーンスパイダーの攻撃をいなし、崩し、流す。



 鎌や牙が当たろうと、まるで水を切るように避ける。





「ふむ、そろそろ時間のようだの。貴様との時間もこれで終いじゃな」





 ちらりと何かを横目にした後、チェダー老師の体から蒸気のようなものが、可視化出来るほど溢れだした。




 すると、気の流れが空間を震わせた。






「『虚空震流滅裂破こくうしんりゅうめつれっぱ』ッッッ!!!」






 老師は、可視化できる程の気の塊を掌から放つ!すると、リーンスパイダーの内臓や筋肉は、ブチブチと音を立てて千切れ、破裂していく!




「キィィィィィィィィィィッッッ!!!」





「断末魔には、まだ早い!再生されぬうちに殺れッッッ!!!」





 その声の先には、先程チェダー老師が見据えた男、クラークが長い詠唱を唱え待ち構えていたのだ!

 



「御助力、感謝致します。



『ジオ・レンディング・スピア』」





 クラークから発動された魔法は、幾重もの魔法陣が展開された最上級魔法。



 轟音と共に大地を裂き、現れた巨大な土の槍は、リーンスパイダー目掛けて突き上がり、その頑丈な外骨格に激突し、表面を砕き散らした。






「そんな……見事な連携だったのに……や、やはり……如何に最上級魔法でも、土魔法では、リーンは倒せないのか……」




 本来なら貫きたかった所である、騎士団の喪失感は言うまでもない。どれほど力を尽くしても、最上級土魔法の一撃は、決定打にはならなかったのだ。





「よく見ろ童が。砕いたなら、それで充分じゃ」




 チェダー老師の目は、まだ戦いを終えぬクラークに注がれていた。彼の銃口は光に包まれ、意志が研ぎ澄まされていたのだ!




「そうか!同時詠唱ッッッ!!!」





「『連鎖爆裂弾チェインバースト』」






 クラークの銃口はリーンスパイダーの砕けた外骨格一点に集中砲火される。




 蜘蛛の体内で、弾は次々と分裂する。



 爆発の衝撃波が連鎖し、蜘蛛の外骨格は粉砕され、砕けた破片が飛び散る。体内で生じた衝撃は、蜘蛛の再生速度を一瞬だけ鈍らせ、完全な制御不能に陥った。




 更に砕けた外骨格の隙間を狙った百発の弾丸は、蜘蛛を貫き、巨大な脚や鎌を吹き飛ばしたのだ!



 そして最後の一発が炸裂すると、リーンスパイダーはもはや形を留めることなく散り散りに飛び、炭化した破片が四方へ散った。




 辺りには静寂が訪れる。煙と粉塵の向こうに立つクラークの姿は、土魔法では決定打に届かない現実を補い、戦場を制した英雄の威厳を漂わせていた。




「こ、これが、土魔法でありながら、帝国騎士団副団長へと登り詰めたクラーク様の実力か」




「ほっほっ、クラークの坊主もなかなかやる様になったもんじゃ」




「おやめ下さい、チェダー老師。久々の再会早々に、我が騎士団の前で坊主だなどと」




 リーン討伐の英雄である筈のクラークの威厳が損なわれる程に子供扱いを続けるチェダー老師だが、救われた両騎士団員たちは誇らい思いで、二人を見つめている。



「で?戦況はどうなんじゃ?東が騒がしいようじゃが?」




「東にはコバルト騎士団長とリンリンがおります」



「ほう、リンリン師匠が来ておるなら、安心じゃの」







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