第四十二話 「崩れる音」
リオーネに帰還したシグルドたち。
「ジュメイリッヒ公も先程到着されたばかりです。クラーク様とのお話が終わるまで、応接室でお待ちになられますか?」
「俺、勝手に突然飛び出して来たから、父様心配してるかもしれない」
——ハンスが見守ってくれてたから良かったけど、きっと迷惑かけたんだろうな。
「実は、私もなんだよね。突然大聖堂から飛び出して来たから、きっと報告が行ってるだろうな」
そんな2人の申し訳ない顔を見たハンスは、クスッと笑い、助言をする。
「でしたら、一度ご報告をされてから、応接室で待機なさいますか?」
確かにな、報告が入ってからより、先にこちらから報告した方が、幾分か角も立たないかもしれない。
「そうだな。行こうか、ティナ」
珍しく人払いをされているらしいが、テラスにいるみたいだし、2人でなら行っても大丈夫だろう。
——そして
角を曲がってた先のテラスへと近付いた2人に話し声が聞こえた。
「——お久しぶりですな、リオーネ侯」
「ええ。お越し頂きありがとうございます。ジュメイリッヒ公」
「しかし、ラーハルト殿。君のせいで肝が冷えて仕方ない」
「おや、これは手厳しい。私も大変なのですよ。こうやって日陰者になってしまいましたからな」
——ラーハルト……!?
その声を聞いた2人の足はピタリと止まる。
血の気が一気に引き、心臓が鼓動を早めた。
互いに顔を見合わせる。
この角を曲がれば、ラーハルトがいる……のか……?
なぜ……父様たちが……
「それより、先に挨拶を交わそうじゃないか」
——ドクン
まさか——
〝ティナ……〟
〝……うん……。確認しよう……一緒に〟
——ティナにも意思は伝わっていたらしく、小声で確認をし合う。
——そして
角をから顔だけを覗かせた2人は
翼のタトゥーを見せ合う
父親同士を見てしまったのだ——
——ッッッ!!!
すぐ様顔を戻し、荒れる息を手で押さえる2人。
瞳孔が開き
混乱で思考が停止する——
「この挨拶はどうにかならんのか。見られたらと思うと、毎度肝が冷えていかん」
「まぁ、もし見られたら……掟に従うまでですよ」
——ドクンッッッ
ま、まずい
急いでティナの手を引き、その場を後にした2人。
音を殺し、一直線に走り抜けた先には、昔ナルディアが隠れる為に使った、隠し通路が見えた。
——あそこなら、誰にも見つからない!!
必死でその中へと逃げ込み、入り口を塞いだ。
——ハァ……ハァ……ハァ
なんだ……今のは……
なんで父様が……
翼のタトゥーを……
そんな……
ラーハルトもいた……
仲間だったんだ……
じゃあ……
帝都が陥落したのも……
カルロも……エイシャリアも……
父様……が……?
「……うっ……うっ……うっ……」
口を押さえながら、ボロボロと泣き崩れるティナ。
そう……だ……
ジュメイリッヒ公も……
俺たちの……父親……が……
なんで……
——ッッッハッ
同じ翼のタトゥーのビィクが、エイシャリアを殺そうとした
それを防いだカルロのことも——
何が、目的で……?
あいつは、何を言っていた……?
——いや、あの2人が、ラーハルトの翼のタトゥーを目撃したことが、バレていたとしたら……
——俺たちが……危ない……
離れないと……
でも、どうやって……?
——そうだ……もう時期学園が始まる……確か、入学前でも……寮には前もって入れたはず……
「ティナ……逃げよう……学園の寮に……」
「……う、ん……」
そして——
秋を目前にした夏の中旬。
まだ一月以上前倒しで、シグルドとティナは、学園へと移動した。
必死で真意を隠し、心配する家族の想いを跳ね除けて——。
4章完結しました!
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さて、次回、5章学園編まで少しお休み致します。
またお読み頂けると嬉しいです!少しだけお待ち下さい。




