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『朱里ちゃんの微笑み』短編小説集   作者: 健野屋文乃
14 かなうの章

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中学の時、誰が誰を好きだったか解る図【起】守銭奴と苺大福



わたしは、通称「アキナイ」小学校の時から学校で、



商いをしていた守銭奴に会うために此処に来ている。



その守銭奴に用があるのだ。




和菓子屋に入ると可愛い少女が店番をしていた。



目当ての人物の妹だ。高校生だったような。



守銭奴の妹なのに、目がギラギラしてなく、純粋な目をしていた。



うん、可愛らしい。




「いらしゃいませ」



「あきなりくんいますか?」



「お兄ちゃんですか。多分、2階に、お兄ちゃ~ん、メグミさんだよ」




可愛い妹は2階にいるであろう、アキナリに声を掛けた。



甘い声だ。例え兄が守銭奴だとしても、兄妹の絆は強いのだろう。




数分後、2階からアキナリが降りてきた。



完全に私服のだらけた格好だ。




ちゃんと見たのは七年ぶりだ。



「久しぶり」



わたしは愛想の良い表情を作った。



「・・・」



アキナリは七年ぶりの再会なのに、何の感動も示さなかった。



寝起きなのか、目がギラギラしてない。



寝起きはさすがに、守銭奴ではないらしい。




妹ちゃんの情報だと、小さな商社に内定が決まったらしい。



小学校から商いをやったいただけあって、商才は凄まじい。




アキナリは、じっとわたしを観察しながら、



「久しぶり、妹から常連だって聞いてたけど」



「うん、まあ」



「いつもありがとうございますって感じ」




アキナリはそう言うと、ぼーとわたしを見つめた。



中学の時の感覚に戻るかのように。




「それでね、ちょっとモモカの件で用が」



「モモカ、百合友の?」



「百合友ちゃうわ!ちょっと仲が良いだけ」




中学の修学旅行の時、モモカとのゆりゆりな禁断のシーンを、アキナリに見られたのを思い出した。その禁断のシーンは守銭奴とは言え、中学生男子には衝撃的だったに違いない!




そして、その口止め料の額は、中学生女子のわたしたちにとって衝撃的だった!




修学旅行に舞い上がり、大胆になってしまったわたしたちのミスではあるが、結果、わたしたちは禁断のシーンを見られた上に、お年玉を全額巻き上げられた。




そう奴の守銭奴感は半端ない。




でも、その後、誰にも知られずモモカとのゆりゆり生活を楽しめたのは、奴の口止め料のオプションのお蔭だ。あのオプションは良かった。



モモカとのかけがえのない素敵な思い出が出来たし。




アキナリは意味深に笑うと、和菓子屋のカフェ風のフードスペースに誘った。



ちょっと前はなかったスペースだ。



わたし達が中学の頃は、古臭い和菓子屋だった。




「あっあの苺大福、持ってきて、俺の付けで」



アキナリは妹に告げた。



アキナリは守銭奴だけど、人に奢るのが好きだ。



基本、金は天下の回りモノなのだと言う。




お洒落な椅子に座るとすぐに、



「お待たせしました」



と妹が苺大福と緑茶を持ってきた。




妹は去り際、微笑みながら意味深に兄の肩に手を置いた。



兄はすぐに「違う!」と首を振った。




「何が違うんだよ!」と心の中でつっこんだ。




仲の良い兄妹を見ながらわたしは苺大福を食べ、緑茶を飲んだ。



妹が去ると兄は話し始めた。




「妹がさ、和菓子屋を手伝うようになってから、少しだけど繁盛し始めたんだ。



和菓子作りの才能があったんだよ。なんか味のレベルが違うって言うの?」




妹の自慢をするアキナリは嬉しそうだった。昔から仲の良い兄妹だった記憶はある。



そして和菓子の味は、確かにレベルが変わったのは事実だ。



わたしが美味しく食べたのを確認した後、彼は言った。




「で?モモカちゃんが、どうしたの?」





つづく



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