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『朱里ちゃんの微笑み』短編小説集   作者: 健野屋文乃
12 ときのすきまの章

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でも、うちは♡しあわせ♡

うちの中学には、3つの小学校から進学してくる。

学区は大まかに、都会のお金持ち学区と貧乏な学区。


そして山奥の学区だ。

うちは、山奥の学区出身のくノ一。

そして、男子も女子も大好きな二刀流女子。


名はいろりと申します。


今うちは、

『貧乏地区の清貧美少女の絵里奈えりなちゃんを抱きながら、背後からお金持ちで上品な依之助よりのすけくんに抱かれたい』

と言う衝動に中学入学以来襲われ続けている。


文字にすると絵炉依えろい

絵里奈えりなちゃん『絵』と、うちの『炉』、


そして依之助よりのすけくんの『依』だ。

絵里奈ちゃんを愛しながら、依之助くんに愛されたいのだ。

絶賛二刀流だ。


その衝動の強さが、ついに、うちの理性を破壊した!


何故なら教室の席順が、うちの前に絵里奈ちゃん、そしてうちの後ろが依之助くんなのだ。日々ドキドキが止らない!理性崩壊もやもえないと言って良い。


清貧美少女の絵里奈ちゃんは、女子同士の特権で、いつも抱きしめている。

問題は、依之助くんだ!

生真面目な少年が並大抵の事では、女子を抱きしめたりはしない。


うちは作戦を練った。


そしてうちは、清貧美少女の絵里奈ちゃんと、お金持ちで上品な依之助くんに、告白を匂わせた文書を渡し、体育館に誘い込んだ。


うちは体育館の天井の鉄筋から、下を見下ろした。

最初に入ってきたのは、清貧美少女絵里奈ちゃん。


可愛い♪


そして、ちょっと遅れて上品な依之助よりのすけくんが入ってきた。


カッコええ♪


2人は目を合わせた。


ヤバい! なんかめっちゃ青春してる!

このままでは告白しあいそうだ!

そうではないのだ!


2人は、うちを挟んで、うちを愛するのだ!


うちは天井の鉄筋から飛び降りた。

突然、天井から降ってくる女子に、絵里奈ちゃんは悲鳴を上げた。

依之助くんは、絵里奈ちゃんを突き飛ばし、落下地点から遠ざけた。

そして、依之助くんの方は、うちを受け止める姿勢に入った。


男前!でも命の危険性を伴う危険な行為だ。


うちが、くノ一じゃなかったら死んでいた。


咄嗟に、突き飛ばされた絵里奈ちゃんを、投げ縄で捕まえた。

そして、うちは落下速度を落とし、ちょうど良い感じに、依之助くんにキャッチされ、投げ縄で捕まえていた絵里奈ちゃんを引き寄せ抱きしめた。


絵炉依えろいの完成だ!


うちは絵里奈えりなちゃんの柔らかい身体を抱きしめながら、依之助よりのすけくんに背後から抱きしめられていた。


「こらー山猿!」

怒声をあげながら体育館に入ってきたのは、山奥小学校出身の連中だった。

人を山猿扱いするなんて失礼な連中だ。


「ごめんね、迷惑かけちゃって」

山奥小学校時代学級委員長だった女子が謝った。

「もう都会の子たちに迷惑かけないでって言ったでしょう」

そして、うちは山奥小学校の連中に連行された。


でも、うちはしあわせ

そしていろりは、現在進化中。



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