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『朱里ちゃんの微笑み』短編小説集   作者: 健野屋文乃
11 きわみの章

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『深紅の空と愚者の優しさ』と『パラレルワールド旅行のしおり』

『深紅の空と愚者の優しさ』


「そちらに行くと地獄ですよ」


十数人の一行に向かって愚者は言った。

一行のリーダーらしき人物は、愚者を一瞥した。


目の前の愚者は、どう見ても愚者に見えた。

「はっ地獄だって?馬鹿馬鹿しい!」

「そちらに行くと地獄なんです。私には解ります」

「じゃあ、論理的に説明してみろよ!」

論理的にと言われて、愚者は論理的に考えてみたが、困惑するしかなかった。


何故なら彼は愚者なので、

「私は鬼を見た。あちらには鬼がいるのです」

「馬鹿か!この世界に鬼なんているわけないだろ。

逝きますよ。こんな馬鹿相手にしている暇はない!」


十数人の一行は、愚者を無視して足早に歩いて行きました。

愚者は、論理的に考えられない自身の愚かさを嘆いた。


空が深紅に染まると、一行が歩いて行った道の方から、亡者を狩る鬼の雄叫びが聞こえた。

そしてまた愚者は自らの愚かさを嘆いた。

この世界には鬼がいて、地獄があった。






『パラレルワールド旅行のしおり』



無限にパラレルワールドがあります。

あるパラレルワールドではチョコレートが塩味だったりします。

だからと言って、驚いては行けません。

驚くとパラレルワールド旅行者とばれて、パラレルワールドによっては秘密機関の人がやってきて捕まってしまう場合があります。

どんなものも「これもありだね」と思う習慣を付けて置くと安全です。 

ふと意味なく楽しい気分や悲しい気分になった時は、パラレルワールド旅行が終わった可能性があります。


尚、パラレルワールドによっては、記憶を持ち帰れない場合がありますので、予めご了承ください。   


パラレルワールドヲーカーより抜粋。





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