第11話 イデム・ワールドです。
俺はやや緊張を胸にしながら、教会の中へ入って行くと──まず真っ先に、最奥の大きな像3体が目に入った・・・恐らく、あの像がさっき言っていた神像ってやつだろう。
「うぉー・・・って像でっかいな! 軽く2~3mはあるんじゃねぇか……?」
『本当に大きいのです〜!』
『そうだ、ね。……あとここ、凄く広い。……なのに、何故か……すごく、落ち着く』
『あ〜セレネちゃんもなのです〜? ワタシもすごく落ち着くのです〜♪』
ほほぅ……? マリナはともかく、セレネが落ち着くってのはなんか意外だな。……セレネって基本的に、家にいる時も広いところより狭いところにいるイメージがあるし。
まぁでも落ち着くのは多分、教会だからじゃないか? ほら、一応精霊とかってそういう神聖なイメージあるし。同じ神聖系列の教会とかと、相性がいいってことでしょ。
「──っと。とりあえずお前ら。気になるところもあるだろうし、見て回りたいってんなら回ってきてもいいが……どうしたい?」
『えぇ〜と〜。……はい〜なら折角なので〜そうさせてもらうのです〜♪ 多分〜ジークくんの洗礼が始まる前には〜戻るのです〜』
『・・・ジーク。ボク、も……ちょっと、見て、回りたい。……ぁ、ちゃんと、戻ってくる……から、捨てたり……しないで、ね?』
「ん、オーケー。2人とも見て回るってことでいいんだな。りょーかい。
……あ、あとセレネ。お前を──というかお前らのことを捨てるつもりはサラサラないから、そこら辺は安心しておけ。
──さて。じゃあ気をつけていってきな」
『はいなのです〜♪ 行ってくるのです〜♪』
『えへへ・・・うん、わかった。……それじゃあ、行ってくる……ね♪ えへへ……♪』
──ふぅ。よし、それじゃあマリナ達を見送ったところで。俺の方も適当に教会内を見て情報収集でもするか。
・・・なんかセレネが若干病みというかネガってた気もするが……多分メンヘラブームでも到来してんだろう。触れないでおこう。
えーと・・・まずザッと周囲を見渡した感じ、よくある真ん中を開けて左右に分かれた長椅子と、学校の体育館みたいに吹き抜けになった2階。それとさっき言った3体のデカい神像とかが目に入るな。
んでそのデカい神像達をさらによく見た感じ……何やら神像全員でサッカーボールサイズの水晶玉を掲げているのもわかるな。
多分、あの神像達全員に掲げられた水晶玉が、『記録閲覧』で言っていた加護とかを知らせるやつなんだろう。
でも神像も水晶玉もとても人間が作ったとは思えないくらいに美しい造型をしているから、恐らく神本人・・・神本神? が作ったのか、作らせたりかしたんじゃないかな?
まぁ神像について分かるのはそれくらいで……他にわかることは特にないかな?
材料とかも未知の物質で造られているみたいで、調べてみても『神像作成のために造られた、自然界に存在しない物質。神が関与して創り出した』としか書かれてないし……。
とりあえずこれ以上調べても特に情報はでなそうなんで、それじゃ次に……って言ってももう特に調べることもないのか……。
なら適当に歩き回ってみて、なにか気になるものがあるまで、カット。
◇◆◇◆◇
〜5分後〜
そして教会内を適当にぶらりと歩き続けていたら、はや5分が経過。俺は一際賑やかに騒がしくなっているところを見つける。
なにやら、長椅子の一部分に10人くらいの人集りができているようだ。・・・見たところ、俺と同世代の子供達のようだが……。
とりあえず俺も少し気になったので、適当にその人集りに近づき、会話を盗み聞いてみる……すると以下の内容が耳に入ってきた。
「──ねぇー? グレンくんは今好きな子とかいないのーっ?」
「──なぁグレンっ! どうやったらお前みたいに強くなれんだっ?」
「──どう? グレン。よかったら今度僕らと一緒に、どこか遊びに行かない?」
「──そういえば、グレンさんはどこに住んでいるんですか? この近くです?」
「グレン「グレンくん「グレンさん──」
・・・あーっと、うん。近づいといてなんだけど、なんかここにいるとイヤーな予感がするなっ。・・・よしっ、これは聞かなかったことにして、気づかれる前にさっさと……って、やべっ。これフラグじゃ──
「っ! あっ! ジークさ──」
──俺は咄嗟に思考を切りかえて、『思念通信』と『高速思考』を並列発動し、即座に命令の態勢に移る。
『命令だ。俺に様を付けるな』
『御意。ですが思念通信での様付けはどうしても治らないため、そこは御容赦ください』
『許可する』
(※この間0.3秒未満)
「──ん! やっと来てくれたんですね? 僕てっきり今日はもう来ないかと思っちゃいましたよ! まぁ聖誕式は今日しかありませんから来るのは当たり前ですけどっ! ふふふっ♪」
──っぶねぇー。……こんな大衆の面前で様付けとかされたら、弁明とかする前に変な勘違いされそうだったからな。こいつが言い切る前に間に合って、ホントよかったわ。
……あ、とりあえずみんなわかっていると思うけど、一応紹介しておくな。どうやら今回のこの人集りの中心人物は俺の幼馴染……もとい、グレンであったようだ。
・・・うん。まぁ見て分かる通り、相も変わらず俺のことを神格視してんな……というか、むしろ日に日に酷くなっているな。
……今だって下僕みたいに『御意』とか言っちゃってるしさ。はっはっはっはっ・・・はぁ。
……いい加減、こいつのコレも何とかした方がいいよなぁ。……もし俺のいない所で〜とか命令が間に合わなかったりしたら、色々とやばい噂が広がっていきそうだし。
・・・つーか今更だけど、なんでこんなにグレンの周りに子供が集まってんだ?
なんだ? もしかしてグレンって子供に懐かれやすいのか? ……いや、グレンも子供だから、どちらかと言うとモテ期的なやつか?
「あぁ、それよりもジークさん! 一応席取っておきましたよ! ……まぁ取っておく必要も無いくらい広いですけどっ! それで、僕の隣なんですけど……もし良ければどうぞ!」
「あ? あぁ、サンキュ?」
って、あっ・・・勧められたからとりあえず座っちゃったけど、こんな扱いされたら俺が様付け辞めさせた意味なくない……?
絶対ただの友人だとか思われない気がするんだけど……。多分、少なくとも親分子分みたいな関係だって思われそうじゃない……? 実際似たような関係ではあるけどさ……。
あと隣の席を勧める辺り、腐の方にも何か思われそうじゃない? ……まぁ流石に5歳児でそんな腐の道に行くようなやつなんか──
「席取ってたのは恋人じゃなくて、彼のためだったの? ……いえ彼が恋人って線も……」
「従属系男子に俺様系男子……ふふふ」
「どちらが右かしら……?」
「そこはやはり王道に……」
「いえ、リバもかなり……」
──いやいたわ。なんかそっち系の方々が湧いてたわ・・・えぇ。自分で言っといてなんだけど、5歳から腐の道進んでるって……マジでやばくない?
ってかこういうのって普通、〝いきなり割ってはいるな!〟とか〝お前何者だ!〟とか突っかかられるもんじゃないの? ……なんで周りのみんなも妙に納得してんのさ。
・・・あ、そういやさっき『席取ってた』って言ったよな? ……もしかして、既にそういう説明してたってことか?
うわぁどんな説明してたかとかすげぇ気になるんですけど……いや、別に聞きたくはないが。
──と言った感じに。俺が探索脳から雑談脳に変わっていったところで、突然教会内全域に、女性の声が響き渡った。
『──さて、お待たせしました皆様方! それではあともうしばらくで、聖誕式を行いたいと思います! 保護者の方々は2階フロアまで! 式を受けます子息令嬢様方は、そのまま御着席してお待ちください! また受付が済んでいない保護者様方は、付近の修道士、または修道女のところまでお越しください!』
と。どうやら、もうそろそろで聖誕式が始まるようだ。……多分、教会全体に響くこの声は魔道具によるものだろう。
とりあえず俺は、アナウンス通りにそのままグレンの隣に座っておくことにする。……なんか、若干グレンの鼻息荒い気がするけど、そこは気にしないでおこう。
・・・なんか『ジーク様ハァハァ。ジーク様ハァハァ』って声も聞こえるけど、そこも無視しよう……お願いだから、無視させて。
──そして少し身の危険を感じながら待つこと、数分後。大体の者が席に着いたところで、また教会内にアナウンスが響いてきた。
『それではこれより、聖誕式を開始します。名前を呼ばれたら神像の前まで向かい、片膝を着いてお祈りください!』
そのアナウンス直後。後ろで控えていた神父らしき人物が、前の教壇に立って名簿のようなものを掲げ、名前を呼び始めた。
「──ケヴィン・シュトラウスくん」
「はいっ──」
っといったところで。とりあえず俺らの所まで、全カット。
◇◆◇◆◇
〜10分と数分後〜
>スキル《祈りⅠ》を獲得しました。
──そんで他の子の洗礼も順調に進んでいって、漸くグレンの番。前に立っていた神父が、グレンの名前を呼び上げる。
「──グレン・リードくん」
「はい! ……ではジーク様。行ってきます」
グレンは俺にそう囁いて、背筋をしゃんと伸ばしながら、礼儀正しく神像前へと進む。
『グレンくん〜あまり緊張していないみたいです〜?』
『……多分、ジークで……慣れてる?』
あ、ちなみにマリナ達は最初に言っていた通り、もう戻ってきてるぞ。ちゃんと俺の順番が来る前に戻ってきてくれた。
・・・でもセレネ。それってどういう意味だ? まぁたしかにその通りだろうけど。
っと、今はそれよりグレンについてだ。
グレンはそのしっかりとした歩みで、神像の前まで赴くと……これまた美しい姿勢で軽く跪き、祈りのポーズをする。
>スキル《気品Ⅰ》を獲得しました。
>スキル熟練度が一定に達しました。スキル《祈り》《気品》のランクが上昇しました。
──そして祈りを捧げたその瞬間。神像の水晶が今までにないくらいに光り輝いたッ。
「なっ!?」
「おぉっ! あの光はっ!!」
「わぁ! ピカピカしてるっ!」
「すっごい光ってるー!」
その光景を目にして、大人も子供も関係なく、周りの者達は口々に驚きの声を上げる。
『ま、まぶ、眩しいのです〜!』
『魔力……うっ、これ、強すぎ……』
……なお、精霊的には少しきつい模様。
数十秒ほどの短い時間が経過して、やっと眩しすぎるくらいに光り輝いていた水晶が、おさまりを見せながら、薄れていく。
そして光が完全におさまる頃。グレンは何気ない顔で祈りの体勢を解いて、ゆっくりと立ち上がり、神父に向かって一礼する。
「ありがとうございました」
グレンが一言短くそう言うと、またゆっくりと歩いて、俺の隣へと戻ってきた。
・・・いや、グレンでこれって……俺の場合、一体どうなるんだ? ……大丈夫か? 目とか潰れない?
『うぅ……大変だったのです〜』
『……酷い目に、あった。……これ、ジークの番……耐えられる、かな……?』
セレネも同じ思考になったのか、少し不安がってるし……。先に謝っておくけど、絶対さっきより酷いことになると思うぞ……?
「──え、あ、あぁ……と。そ、それでは気を取り直して、つ、次の者に──」
軽く十数秒くらいして、やっと神父の人も正気を取り戻し、少し慌てたように次の者の名前を呼び始める。
・・・次の人もごめんね? あの光の後だと、かなり行きづらいでしょ……?
「──ジークハイル・ベネットくん」
って次俺かよ……ん、でもあれ? ……俺がグレンの次って、ちょっと順番おかしくない? 俺、たしか結構後の方に来たはずじゃ……?
・・・あ、そう考えるとグレンが呼ばれるタイミングも少し遅かったような? ……もしかしてグレンが教会になにか圧力を──
『ジークくん〜?』
『ジーク……行かない、の?』
『……と、すまん。少し考え事してた。今から行く』
危ねぇ危ねぇ。何か考える前に早いとこ洗礼を終わらせとかないと……とりあえず洗礼順については後でグレンに聞くとしよう。
一先ず、先程のグレンの動きを『模倣』改良して、最大限に『気品』や『祈り』を使用しながら、完璧な仕草、動作で魅せてみる。
「美しい……」
『ジークくんかっこいいのです〜♪』
『ジーク……良い』
誰か(+マリナ達)が零したその言葉を聞いて、俺は1人ほくそ笑みながら、流れるように祈祷のポーズをとる。
そして他と同様、神の祝福と賛辞を待つ。
──次の瞬間。恐らくみんなが予想していたであろう通りに、グレンの時以上の光が溢れ出して、教会内全体を包み込む。
・・・そしてそれと同時に、俺の意識は──精神は、どこかへと誘われていった。
◇◆◇◆◇
〜神界〜
──次に目を開くと、そこは真っ白な空間で、遠近感も掴めないようなふわふわとした場所であった。・・・俺はその光景にどことなく既視感を覚えて、軽く微笑む。
……しかし今回は前回と違い、なんにもない真っ白という訳でもなく、この空間内に、既に何者かが立っているのも見受けられた。
黄色い髪に、黒い瞳。ゆったりとした服を着た、童顔の少年。──紛れもなく俺を異世界へと送った張本人、運命神イーデンミールこと、イデムだった。
「・・・なんか、久しぶりだな」
「うんっそうだねっ! 5年ぶりくらいだね〜っ! それでどうだった〜? 転生した感想はっ? 今の生活は楽しいかな〜っ?」
……イデムのこの話し方も懐かしいなぁ。この何でもかんでも突っ切るような話し方。
「あぁ。まぁ見てて分かると思うけど・・・すっげぇ楽しいぞっ。……この世界に送ってくれて、マジでありがとうなっ」
「あはは〜。そう言ってくれるなら良かったよ〜♪ ──あ、君達も初めまして! いつもジーク君と一緒に見させてもらってるよ!」
『へぁ、は、はいぃぃっなのですぅ!』
『わ、え、と、ひゃ、ふぁい!』
あっマリナとセレネも来てたんだ。……何とかして欲しいとは思ったけど、なるほど。一緒に呼んでくれたのか。
「ふふっ。そんなに緊張しなくていいよ〜♪ ほら、落ち着いて。いつも通り話して〜」
『はいなのです〜』
『ん……わかっ、た』
『『え』』
あーこの反応も懐かしいなー。俺も最初普通でいいって言われた時、すぐに敬語無くなったの困惑したもんねぇ。
「ふふっ。混乱してるねぇ〜。まぁ運命の他に自由も司ってる神だからね〜。これくらい朝飯前だよっ☆」
あっこれ自由の権能でやってたんだ。それは俺も知らなかったな。・・・ってか権能ってモーションもなしに使えるんだ。便利ー。
「──あっ。と、こんなことしてる場合じゃなかった! ジーク君、少し待ってね!」
「お? あぁ別にいいが……なんだ?」
イデムは何か焦ったようにそう言って、何やら見えないキーボードのようなものをカタカタとし始める・・・マジで何やってんだ?
そして『えーとえーと』と口ずさみながら、そのよくわかんない行動を超高速で続けること、十数秒ほど。唐突に『完成っ!』 と大きく声を上げる。
「よぅしっ! それじゃあこれで──」
「なぁ? 何をしてるん──」
区切りがついたようなので、俺が何をしていたか訪ねようとしたところ……イデムの方が数瞬早く、エンターキーを押すように、見えないキーボードをターンッとした。
──そんな見えないはずのボタンを押した音が聞こえた直後。目の前に『支援補助』のアナウンスが流れ出した。
>運命神イーデンミールの介入により、個体名:ジークハイル・ベネットに〝神の因子〟が取り込まれました。それに伴い種族進化の限界解放、適応力が大きく強化されました。
>運命神イーデンミールの介入により、〈神の因子〉の説明が自動開示されます。
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〈神の因子〉
神を神たらしめる一部分の、その一欠片。取り込むことで、生物の域を超えて成長することが出来る。獲得経験値とスキル習熟度が2倍になり、全能力成長値が5倍になる。
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……俺は暫し、呆然とする。そして──
「はい? ……は? ・・・ハアァァァ!?」
──当然の如く、発狂する。
・・・まぁ無理もなかろう。誰だっていきなりこんなことされちゃ、わけもわからなくなって、叫びたくもなる。
『ジークくん〜? どうしたのです〜!?』
『ジ、ジーク?! ど、どうした、の?』
「あっはははっ☆ 何その顔〜超ウケる〜☆」
マリナとセレネは突然叫んだ俺を見て、アタフタとしながら心配し、イデムは困惑しきった俺の顔を見て、楽しげに嘲笑った。
「は、いや、おまっ、はぁ?」
「ふっふふ。くくくっ、と、とりあえずマリナちゃんとセレネちゃんにもわかるように、今僕がジーク君に何をしたのか、それとなんでそうしたのかの話をするね〜! ……ふふっ
ま、まず今ジーク君に何をしたかだけど、まぁ簡単に言うとジーク君に『神の因子』ってのを渡したんだっ。
『神の因子』っていうのは、成長限界の解放と諸々の強化してくれる凄いやつだよっ。
たしか、頑張り次第では神……あぁ亜神じゃないやつね? にだってなれる、すごいやつだったはずだよ〜っ。くくっ」
え。
「ふふっ……ふぅ。・・・あぁ、それで渡した理由の方は、この前──あぁジーク君が産まれる前の話ね? にね、話途中だったのに、ジーク君がこの空間から排出されちゃったことがあったんだよ。……覚えてる?
それで、それを無くすためにはどうすればいいかな〜って考えた時にさ。いっその事、ジークくんを神にすればって思ったんだ」
はぇ? ……えっ!?
「でも流石にいきなり神にしたら面白くないかな〜って思っちゃってね? なら成長も見込んで、神の欠片のほんの一部を分ければいいんじゃ?って思ったの〜」
あ、よかった。さすがにイデムもいきなり神はおかしいって分かってくれたんだ。
……いや、違うわ。改めて聞いたら配慮とかじゃなくて、面白くないって言ってるわ。
「一先ずその因子さえあれば、この世界に1年くらいは滞在して平気みたいだし? 応急処置としてはなかなかいいんじゃないかな?
みんなはどう思う〜?」
『・・・神様、マジやばいのです〜』
『……考え、方が……違い、すぎる』
「うん。俺ももう何も言うまい。
・・・結局はイデムを……神をどうにかするってのは無理な話だったんだ。そこら辺はもう諦めよう……」
マリナとセレネも驚きすぎて引いちゃってるし……ってかやっぱり、俺も十分頭おかしいって自覚あるけど、イデムの方がもっともっと頭おかしいんだよな……うん。
「まぁ僕、こんなだけど神様だしね〜。ジーク君が、というか生物の枠組みをはずれてない者が、どうこうできるわけなくな〜い?
劣化模倣体とかならまだしも」
……こんな目の前でお前をどうにかしようとしてたんだぞって言っても軽く流すようなやつだもん。ハナから無理だったんだよな。
「あ、そうだ。そんなことよりさ〜。せっかくこっちに来たんだし、少しこっちで遊んで行ったら〜? ジーク君に会いたいって神も結構いるみたいだしさ〜。800万くらい」
え? 俺に会いたい……って800万も!? ・・・いや、なぜそんなに? 俺、言ってもそんな神と接点なんて、な……あ、称号『八百万の神の寵愛』のやつか。
「・・・いやいやいや、さすがに無理。そんなに会えんわ……。せめて会えても10人とか20人が限度ってもんでしょ。
ってかそんなことしてる間に下界の時間とかが……って停止してるんだっけ?」
「うん〜っ! だからどのくらいここにいても平気だよ〜?」
「うーん……。いやでも俺、時間停止の無効スキル持ってるし……もしかして肉体とかが腐ったりする可能性とか……」
「いや、ジークくんの体も止まってるよ〜? 普通に考えて、人のスキルが神の能力に敵うわけないでしょ〜」
劣化模倣体ならともかく〜と、イデムは先程同様付け足す。
「うーん……うん。でもやっぱり今日のところはやめておくわ。また今度遊びに来た時に合わせて」
「そう〜? 残念〜。じゃあみんなにはまた今度来た時に会えるって伝えとくね〜」
・・・ちょっと待て、イデム。まさかその言い方的に、八百万全員に伝える気じゃないよな? ……さすがの俺でも、八百万全員に会う心の準備なんて出来ないぞ?
「ごめん。さすがに八百万全員は無理だから、十人……五人くらいに絞っておいて」
「え〜? う〜ん、まぁいいけど……じゃあそれも伝えとくね〜。……よし、と。それじゃ〜あとはどうする〜? もう帰っちゃう系〜?」
「あー……うん。俺も特にやることもないし、そうさせてもらおうかな? ……ん、でもあれ? そうなると俺、今日なんのためにここに呼ばれたんだ?」
「う〜ん……近況報告と『神の因子』渡しのため? まぁとりあえず、帰るならそれ用の穴開けるから。ちょっと待っててね〜」
──イデムはそう言って、地面に穴のようなものを作り出す。……多分これがあっちの世界に戻るワープホール的なやつだろう。
「……ってかさっきから無言だけど、マリナ達いるよな?」
『いるのです〜・・・ただ話が異次元すぎて〜ついていけなかっただけなのです〜』
『ボク、も。……さすがに、これ……ついて行くの、無理。……やっぱり、ジークも、普通じゃ、ない。……神様と、同レベルで……頭、おかしい』
あはは……神様と同レベルかはともかくとして、俺もそう思う。・・・自覚ある化け物ほどタチ悪いもんないよな。
「まぁ頭おかしいとかは置いといて。とりあえずイデム。今日は呼んでくれてありがとうなっ。それじゃ、またなんか面白いイベント起こすように、頑張ってみるわ」
俺は一言そう告げて、マリナ達を連れながら、なんの恐怖心もなしに穴の中へ落ちる。……すると、穴の上の方からイデムの声が聞こえる。
「あ、それについては別にいいよ〜。なんか2年後にジークくん学校行くみたいだから、その間に1つくらい挟む感じでいいかな〜? その時も僕が適当になんかするしね〜」
・・・えっ。
「ちょ、イデムっ!? 俺学校の話とか聞いてねぇぞー!?」
「あ、ごめ〜ん。これ未来の話〜。聞かなかったことにして〜」
いや、無理だろっ!?
──そんな俺の声は届かないまま、ワープホールへと飲み込まれていくのだった……。
『難儀なのです〜』
『ジークも……意外と、大変……なんだ、ね?』
マリナ達の慰めを聞きながら──
・次回2~5日後
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・説明
今回登場した〈神の因子〉というものについて
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〈神の因子〉
神を神たらしめる一部分の、その一欠片。取り込むことで生物の域を超えて成長することが出来る。獲得経験値とスキル習熟度が2倍になり、全能力成長値が5倍になる。
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経験値、熟練度の2倍や、全能力成長値5倍は、全ての強化系や補正系を合わせた上での倍化です。
また過去にこれを巡って戦争が起こったりもしましたし、現在これを作り出すことを念願にかけている宗教とかもあります。
ちなみに作るのは普通に無理です。絶対。
簡単に言うと、とにかくヤバいブツです。




