第11話 見学習得です。
そして、今。俺らは家の中庭に来た。
・・・どうでもいいけど、部屋にいる時には気づかなかったが、外はかなり暑かった。蝉っぽい鳴き声も聞こえる。……多分、今って時期的に夏なのかな?
……ってか暑い暑いって思ったせいか、新しく『暑寒耐性』ってスキルを手に入れた。まぁそのおかげで、だいぶマシにはなった。
・・・っと、話を戻すぞ。
まず、ここに来るまでの間に、一つわかったことがあった。……この家、まぁまぁ広い。例えるとしたら……下位貴族とか、有名商家の屋敷か?ってくらい。
……まぁ貴族や商家の屋敷がどのくらいの大きさか分からないから、それも飽くまでも想像なんだけどね。
つまりはアレだ。大きいっちゃー大きいが、アニメみたいに大袈裟じゃないくらい。まぁある程度豪華な御屋敷みたいな感じだ。
ちなみに、母さんに連れられてる間、廊下とかを隈無く見ていたからか、スキルを一つゲットした。あと二つのスキルがランクアップした。以下がそのスキル系だ。
───────────────────
>スキル《探索Ⅰ》を獲得しました。
>スキル熟練度が一定に達しました。スキル《視認》のランクが上昇しました。
>スキル熟練度が一定に達しました。スキル《気配察知》のランクが上昇しました。
───────────────────
んで、中庭にて父さんを探してみると……どうやら父さんは今、休憩してるみたいだ。水筒らしきものを飲んで汗を拭いてる。
……あと、今更だけど、父さんの顔はっきり見たの初めてだわ。・・・うん、思った通り、すげーイケメン。
あ、ちなみに。母さんだけじゃなくて、父さんも40代中盤だってのに、見た目は20代と全く変わりない。あ、でも童顔っていうより、若々しいって感じだ。
んで話を戻すが、父さんは訓練中だからか、最初見た時の真っ黒の鎧はつけてない。
黒い肌着にジャージみたいなズボンといった姿だった。
ちなみに、体型は肌着の上からわかる……というか、肌着の意味があるか? ってくらいに筋骨隆々のゴリマッチョだった。
……オズ兄が「訓練はするけど父さんみたいなのは目指してない」的なことを言ってたのを、たった今理解したわ……確かに俺も、アレはやりすぎだと思う。
>スキル熟練度が一定に達しました。スキル《観察》のランクが上昇しました。
俺がこんな感じに父さんを『観察』していると、父さんもこちらに気づいたみたいで、手を挙げながらよってきた。
「おぉ、メリー、来てくれたのかっ! それと、ジークも起きてたのかっ」
「ああぅっ!」
「おおっ! 見たかメリーっ! 今私の声に返事したぞっ!?」
「ええっ、そうなのよ。どうやらこの子、もう返事をすることを覚えたみたいなの」
「ほほうっ! まだ生まれて二日目だぞっ!? この子は天才なのかっ!」
・・・あ、この反応。この人も母さんと同類だ。
──父さんと母さんが話し合っていると、拳の素振り(シャドーボクシング?)をしていたキャロ姉が父さんに向かって声をかける。
「パパっ!! 素振り50回終わったよっ!! 早く訓練の続きしよっ!!」
「む、そうだな。そろそろ訓練に戻るとするか。……っと、そうだ。久しぶりにメリーもどうだ?」
父さんはキャロ姉の言葉で、訓練に戻ろうとすると、そのままの流れで母さんも誘う。
「そうねぇ。私も久々にやろうと思って来たのよ」
「おぉ、そうかっ! ……む、でも体調は大丈夫なのかっ?」
「えぇ。あれくらい、一日二日休めば回復できるわよっ」
・・・いや、ちょと待て。それはおかしい。……元々おかしいのも何個かあったが、そういえば母さん、俺を産んでからまだ二日じゃん。
普通、出産後って一日二日休んだくらいじゃ意味無くない? せめてもうちょっと安静にすべきでしょ。
・・・でもよく考えたらこの世界って魔法とかあるし、もしかしたら回復力が凄まじかったり、出産後の身体を一瞬で回復する薬みたいのがあったりするのか? ……いや、さすがにそれはな──
>スキル熟練度が一定に達しました。スキル《考察》のランクが上昇しました。
──あるのか……一瞬で回復する薬が。
「ふむ、ではメリーもやろうかっ。では、まず最初は……」
と、父さんが最初の訓練相手決めようとした時、キャロ姉が待ちきれないという様相で、父さんに向かって挙手する。
「はいはいっ!! 私からっ! 私からやりたいっ!!」
「はっはっは!! そうかっ! ではキャロから手合わせをやるとするかっ! キャロ、準備が出来たらかかってきなさいっ!」
「はぁーいっ!!」
──二人が立ち位置に着いたと思ったら、次の瞬間。キャロ姉は父さんに一瞬で近づき、その勢いのまま拳を突き出す。
って、はっ!? 何あれっ!? 今、初速だけで軽くスポーツカー並みの速度でてたぞ!? ってかそれを認識できた俺の目ヤバくね!?
>スキル《徒手Ⅰ》を獲得しました。
>スキル《強打Ⅰ》を獲得しました。
>スキル《拳術Ⅰ》を獲得しました。
>スキル《体術Ⅰ》を獲得しました。
>スキル《走行術Ⅰ》を獲得しました。
>スキル熟練度が一定に達しました。スキル《身体強化》のランクが上昇しました。
いや、こっちもなぜにっ!? ・・・あっ、『天性才能』の見るだけで習熟度得られるやつかっ!!
多分、それと『超越成長』と『最適進化』も関係してるんだろうなっ!
・・・どんどん俺のバケモノ化が進んでいくなっ。って言うか、なんか周りがスローになってね? ……あ、もしかしてこれが『考察』の効果か? あと『思考強化』も含まれてそうだな。
>スキル熟練度が一定に達しました。スキル《思考強化》のランクが上昇しました。
おぉ、やっぱりっ。
っと、元に戻すには……あ、思考を戻そうと意識したら戻った。
「ぬぉっ、いい攻撃だなっ!! さすがキャロっ! この短期間でさらに成長してるなっ!」
「むぅっ! でも全然パパに効いてないっ!」
キャロ姉は父さんに拳を受け止められると、すぐさま腕を引いてまた殴る。そして、また受け止められ、いなされ、流され、それでも何度もなぐるを繰り返す。
・・・って、段々とスピード早くなってきてねっ!? なんか、音が『ダァンっ!』とか鳴り始めてんだけど!?
>スキル《連撃Ⅰ》を獲得しました。
>スキル《防御Ⅰ》を獲得しました。
>スキル《加速Ⅰ》を獲得しました。
>スキル《手加減Ⅰ》を獲得しました。
>スキル熟練度が一定に達しました。スキル《気術》のランクが上昇しました。
>スキル熟練度が一定に達しました。スキル《体術》のランクが上昇しました。
>スキル熟練度が一定に達しました。スキル《防御》のランクが上昇しました。
>スキル熟練度が一定に達しました。スキル《手加減》のランクが上昇しました。
>スキル熟練度が一定に達しました。スキル《芸術》のランクが上昇しました。
んで、こっちもこっちでどんどん習得してくなっ!
……気術と体術が上がったところを見ると、キャロ姉の拳の衝撃を、父さんが威力とかをまとめて受け流したって感じか?
・・・なんか、『手加減』も上がってるんだけど……もしかしてキャロ姉本気を出してな──いや、本気だわ、アレ。
ってことは……多分、父さんが加減してアレなのか?
──そして、キャロ姉が殴り、父さんが防ぐといった攻防は数分続いた。・・・いや、キャロ姉よ。ずっと殴るんじゃなくて、いい加減なんか技使えよ。
>スキル《見切りⅠ》を獲得しました。
キャロ姉の動きが単純すぎて、試しに次に来るやつを予測してみたらこんなスキルを手に入れちゃったよ。
多分、俺が体を動かせるなら、キャロ姉の攻撃くらいは避けられる気がするよ。
「むぅっ! パパ、ずっと防いでばっか!! もっとちゃんと戦ってよっ!!」
「はははっ、そうかっ! それではこっちからも行くぞっ!!」
「わかっ──ひゃうんっ!?」
>スキル《威圧Ⅰ》を獲得しました。
わーお、父さんったら大人気ない。
「もーうっ!! それはずるいからダメだって言ったじゃんっ!!」
「はははっ! ではこういうのはどうだっ?」
すると、今度はその場で手をくいくいっとして挑発をすると、じっとそこに留まる。
>スキル《挑発Ⅰ》を獲得しました。
「むぅ、よくわかんないけど、えいっ!!」
キャロは訳も分からないで攻撃をした。
・・・そして、その攻撃がしっかりと父さんに当たった……と思いきや、攻撃をした瞬間にその父さんが飛散する。
>スキル熟練度が一定に達しました。スキル《威圧》のランクが上昇しました。
・・・? なんで『威圧』が……って、あ、もしかしてこれってぬ○孫の『鏡○水月』ってやつかっ?!
すっげぇー! 本物初めて見た……って言うか、現実で出来るんだっ!
「えっ?」
「ほら、これで終わりだぞっと」
そしてキャロ姉は攻撃を当てたと思ったら飛散した父さんに混乱して、その混乱中に後ろから本物の父さんに首に手を当てられた。
「えぇ!?」
「はははっ! キャロもまだまだだってことだなっ!」
「え、どういうことなの?! パパを殴ったと思ったらパパが消えて後ろからパパが!?」
「それと、キャロは如何せん攻撃が単調すぎる。もう少しフェイントや罠、タイミングをずらしたりすることを学びなさい」
「え、えー? う、うん?」
「よし、それじゃあ次は──」
父さんは困惑してるキャロにダメ出しをすると、次に戦う者を探す。すると、ランニングをしているオズが目に入る。
「……ふむ。よしオズっ。一勝負どうだ!」
「えぇ、今度は僕ー? ……僕やる意味あるかな? 力勝負でキャロが勝てないなら僕が勝てるわけないよね……ま、魔法で新技が思いついたから、試すついでで良いならいいけど」
オズ兄は、面倒くさそうにそう言うと、未だ思考をまとめきれていないキャロを端の方に導いてあげて、すぐに戦闘準備に移る。
オズ兄は戦闘準備というと、なにやら地面に丸を描き、その中に六芒星などを書いて、要所要所に文字を描きはじめた……どうやら魔法陣を書いてるようだ。
・・・ってかオズ兄はアレか。面倒くさいとか無意味とか、否定的なことを言った後に結局やってくれる、ツンデレタイプか。
──そして、ある程度描き終わったと思ったところで、父さんも戦闘準備が整った。
「よし! では準備ができ次第始めていいぞ」
「そう。それじゃ──ちゃんと避けてね?」
「む? うむ──」
と、父さんが返事をしようとした直後に、オズ兄が地面に描き終わった魔法陣に魔力を流した。
──そして、次の瞬間には父さんの足元付近から草が生え、更に父さんの目の前に触手のようにうねうねとした蔓が現れる。
「ぬおっ!?」
そして、父さんが触手のような蔓に目がいくと、続いて足元の草に目がいき、その草が自身の足に伸びようとしてることに気づく。
父さんは咄嗟に避けようと足を引く……が、引いた足の後ろに生えていた、もう一つの大きな根っこによって邪魔をされる。
当然、父さんの意識は、その大きな根っこに一瞬だけそれる。
そしてその瞬間を狙い、オズ兄が魔法を放とうとする……が、思いの外あっさりと罠にかかるのを見て、オズ兄がほんの少しだけ、呆然として固まってしまう。
そのほんの1秒未満の停止でオズ兄の魔法発動のタイミングがズレ、父さんはあっさりと罠を抜け出し、魔法を避けてしまう。
・・・もう、父さんには先程の慌てようは見当たらない。そして、父さんはオズ兄の背後に高速で移動すると、肩をポンっと叩く。
「っ! ……はぁ。やっぱりまだ無理だったみたいね。諦めて降参するよ・・・やっぱりおとーさんには敵わないね」
「いやいやいや、そう自分を卑下するな。今回ばかりは私も少し危なかったぞ? ・・・正直、あと少しでも早く攻撃魔法も打たれていたら、一撃食らっていたな」
「あー。……つまりは、あともうちょっとだったってことかな」
「そういう事だ。・・・キャロには言えないが、キャロよりも危なかったぞ」
「え、本当? ……なら良かった、かな。あ、でも今度は絶対当てるからね、おとーさん」
「はっはっはっ! 期待してるぞ」
>スキル《術式理解Ⅰ》を獲得しました。
>スキル《木魔法Ⅰ》を獲得しました。
>スキル《罠技術Ⅰ》を獲得しました。
>スキル《回避Ⅰ》を獲得しました。
>スキル《反撃Ⅰ》を獲得しました。
>スキル熟練度が一定に達しました。スキル《走行術》のランクが上昇しました。
>スキル熟練度が一定に達しました。スキル《加速》のランクが上昇しました。
>スキル熟練度が一定に達しました。スキル《魔導》のランクが上昇しました。
・・・短期戦だったけど、すっげえ戦いだったわ。って言うか、オズ兄が使ってた、あの魔法陣のやつって何っ!? それっぽいの、スキル欄には書かれてなかったのに!!
……ん、書かれてないのに使える……っつーことは、『考察』とか『同時進行』とかと同類ってことか!?
多分、名前的に『術式理解』が魔法陣関連のスキルだろうな。・・・ちょっと、魔法陣について調べよう。
───────────────────
・魔法陣について
魔法陣とは、予め紙や地面、壁などに陣を書いておき、後から魔力を流すだけで使える魔法のことです。
魔法陣は言うなれば、詠唱の代わり扱いです。書く術式や記号によって、詠唱以上の効果を引き出すことも可能です。
───────────────────
ふむ……詠唱代わり、か。元々詠唱を使わない俺には必要な……いや、待てよ? なんで魔法陣学とか魔法陣魔法じゃなくて『術式理解』なんだ?
術式……もしかして、魔法陣だけじゃなくて、(あるかわかんないけど)陰陽術的なやつとか、九字何とかってやつも使えるのか?
えーと、試しに。〝臨兵闘……って、たしかアレって読むだけじゃなくて、印ってのを結ばなきゃ行けないんだっけ?
ってことは、俺のこの、赤子の手じゃ出来ねぇじゃん。つーか印について知らないし、九字ってのも〝臨兵闘者〟以外知らねーわ。
・・・いや、試しに調べたら出てきたわ。なるほど〝臨兵闘者皆陣烈在前〟か。
あと陰陽術、というか、式神の術式とか悪霊退散の術式とかも出てきたわ。
それと『術式理解』について調べた感じ、術式って言っても紙に書くやつだけじゃなくて、術そのものの式が使えるみたいだ。
例えば、変化の術とか、影分身の術とか。
・・・影分身、か。これがあれば、俺の身代わりをここにおいて、どこかに行くってことも出来るのかな……。まぁ今のところは俺自身に力がないからしないけど。
でも、力がついた時に、いつか、ね。
〜閑話休題〜
「では、次は久しぶりにメリー、やるか?」
「うふふ。良いわよー? 私もそのつもりで来たんだもの。あ、でも、出産上がりだからって油断したり手加減しないでくださいねっ」
「う、うむ、望むところだっ!」
・・・少しどもったな。手加減するつもりだったのか?
「はーい、では少し待っててくださいねー。
ジークちゃんはここにいてね。……あ、そうだわ。オズー」
「んー、なーにー? おかーさん」
「戦い終わってすぐで悪いけど、少しの間ジークちゃんの事見ててくれないかしら? 『邪祓結界』をかけるつもりだけど、一応ね」
「ん。ジークはどっかの猪突猛進バカよりも大人しくしてくれるし、全然いいよー」
「うふふ、ありがとうね。けど、自分の兄弟にそんなこと言っちゃダメよ? はい、『邪祓結界』」
母さんが一言そう言うと、俺をオズ兄に受け渡し、俺とオズ兄の周りに、青白いオーラがかかった、結界らしきものを作る。
……ってか、オズ兄口悪いな。・・・こっちが素なのか?
「それじゃ、二人で一緒に見ようか。・・・っ!! キャロは……あ、良かった。ちゃんと隅に行って結界かけてもらってる……」
・・・オズ兄って口が悪いけど、本当は普通に気配りできる優しいお兄ちゃんなんだよなぁ。……なんで口が悪くなったんだろ。
・・・いや、恐らくの原因いたわ。隅で結界かけてもらってるわ。
・・・さて、それじゃあ母さんと父さんの戦闘を見させてもらうとしますかっ!
〜スキル説明〜
今回登場した〈邪祓結界〉について。
───────────────────
〈邪祓結界〉
物理攻撃や魔法攻撃を防ぎ、敵に弱体化効果を付与する結界を作れる。また、魔力を込めることで悪霊やゾンビ、スケルトンなどの死霊系魔物を浄化することが出来る。
───────────────────
敵の基準は、自身や仲間に悪意、敵意、害意を向けるものです。




