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いつか最強になるその日まで  作者: 彩京 一木
第2章 新たな人生の幕開け
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5話『甘えん坊なルナ』

今回は、ルナがメインになってます。

可愛くなってるかなぁ。

 ――ザァー………ドォン!!


 セツナの家に入ってから数時間。どしゃ降りの雨に加え、近くに雷まで落ちたようだ。


「ひゃう!?ゆーくん!!」


「よしよし、大丈夫だからなー。」


 雷の音に怯えたルナが幽希に抱きついた。その様子は、友達というより、兄妹の方がしっくりくる。


「雨が降るかもとは思っていたけど、これは予想外だね。態々この雨の中を歩いて帰るくらいなら、泊まっていったらどうだい?シェドには私が連絡するからさ。」


 偶に聞こえてくる雷の音で怯えるルナを撫でながら、少し考えてみる幽希。


「でも、迷惑をおかけする訳には――」


「ゆーくん、帰っちゃうの?」


 悪いと思って幽希が断ろうとしたのだが、途中でルナに遮られた。そして、ユニも賛成らしい。


「いいじゃない、泊まっていったら?夕食も一人分増えたって作る手間は変わらないし。」


 ユニがそう言うと、「そうそう」なんて頷いているセツナ。しかし、「作るのは私なんだけど?」とつっこまれて頭を掻いている。


 ここまで言われたら、断る方が失礼だろう。


「じゃあ、お言葉に甘えて。」


「ゆーくん、お泊まり?……やったー!」


 ルナが首を傾げて聞いてきたので、頷く幽希。抱きつかれたまま大きな声を出されたせいで、かなりのダメージだ。


「そういえば、2人共濡れてなかったかい?」


「あ、ホントね。お風呂沸かしてくるから入って来なさい。」


 確かに、外で鬼ごっこをしている時に突然雨に降られたので、結構濡れている。最初からどしゃ降りだと、そういう事にもなるだろう。


 そういえば、鬼ごっこだが、中々馬鹿に出来なかった。敏捷が同じくらいだったのでいい勝負にはなったのだが、その速度は地球の子供より速かった。100mなら14秒で行けるかもしれない。

 そして、全力で走ったのもあって、幽希のステータスは少し伸びた。ルナと遊ぶのも十分いい運動になる。


 それはともかく、お風呂の順番を考える幽希。


「それなら、ルナを先に入れた方が良いですよね。風邪を引いたら困りますし。」


「そう?じゃあ、セツナ。入れてき――」


「やだ!」


 言い終わる前に拒否したルナに、セツナが話しかける。


「どうしたんだい?ルナ」


「ゆーくんも一緒!」


「……随分懐いたわね。まあ、精神的にも歳上だし、頼れるお兄ちゃんって所かしら?」


「いや、でも、さすがにお風呂は……」


 いくら子供とはいえ、女の子であり、更に言うなら美幼女なルナだ。幽希的には犯罪臭がする。別々に入りたい所だ。


 しかし、そうは問屋が卸さない。


「そう言っても、ルナが離れないのだし、それしかないと思うよ。そのままでいても、2人が風邪を引いてしまうんじゃないかい?」


 一見普通の事を言っているように感じるが、子供を引き剥がすのは難しくはないだろう。つまり、面白がっているだけなのだ。


「分かりましたよ。やればいいんでしょう?」


「あ、そうだ。洗おうとしても嫌がらないはずだけど、ちゃんとやってあげて。」


 幽希の味方は居なかった。

 当然、風呂に入るのだから体も洗わなければならない。だが、4歳の子供に出来るかと言われれば、難しいだろう。それを幽希がやるのだ。


「それじゃ、すぐに沸かして来るわね。」



 ―――――――――切り取り線―――――――――



 結局、仲良く2人で風呂に向かった。

 今は、背を向けて座るルナの髪を洗っている所だ。


「痒い所はあるか?」


「ううん、だいじょーぶ!」


 耳を触る度に反応するのは気になったが、しっかり洗う幽希。手触りのいい髪なので、洗うのも苦にならない。


「次は、体……」


 本当に、良いのだろうか。

 そう悩む幽希に更なる試練が。


「ゴシゴシするのいや!手がいい!」


 ルナ曰く、「擦られると痛い」との事。垢擦りを触ってみると、かなり硬めなので、女性が使うのには適していないだろう。

 実際、ルナとユニは手で洗っている。


「ちょっと待て、俺の手で……?」


「ゆーくん、洗ってー?」


 こうなればやるしかない。

 ゆっくりと深呼吸をして、気合いを入れる。


「ふー……よし。」


 まずは、首周りから。


「んぅ……ふふっ……んっ……」


 どうやらくすぐったいようで、頻繁に声が聞こえる。その度に、「ロリコンじゃない」と自分に言い聞かせながら進めて行く。

 首が終われば肩、腕、脇、背中、尻尾。

 脇も弱く、体をくねくねさせていたが、無事に終了。

 尻尾は……更に弱かったらしい。

 見た目は太く見えるが、実際には毛が殆ど。


 本体も洗うべく軽く握ったのだが、


「ゆー、くん……ん、ふぅ」


 軽く擦っているだけなのに、ビクビクとしているせいで、悪い事をしている気がする。

 だが、声は聞こえないものとしてガッツリ洗った。

 終わった後も息が乱れていたが、とりあえずは問題ない。


 そこで一旦、止まってしまう。


「どう、したの?」


 洗うのをやめた幽希を振り返るルナ。

 残っているのは、前と下半身。

 どう足掻いてもアウトではないだろうか。


「いや、子供を洗うだけだ。見た目なんて関係ない。」


「?そっち向く?」


 その言葉に慌てて止めようとする幽希だが、気づいてしまった。

 足を洗うには、こちらに前を向けてもらわなければ不可能であると。

 洗うのが大人であれば、後ろからでも届いただろうが、今の幽希は6歳。圧倒的に腕が短い。


 そして、ルナがこちらを向いた。


「よし、速攻で終わらせる!」


 素早く足を洗い、感触は出来るだけ気にしないようにする。そして、足が終わるとすぐに後ろを向いてもらった。


 その後は前を洗い、お湯で流す。


「先に入ってな。」


 そう言って自分の体を洗い終えると、幽希もお湯に浸かる。ミッションコンプリートだ。


「あったかい……」


「お湯なのか、俺の事なのか……」


 幽希の膝の間に収まるルナ。

 先程は動揺していた幽希だが、あんな事さえなければそこまで慌てる必要もなかった。


「そういえば、いつもはお父さんとお母さんに洗ってもらうのか?」


「うん。でも、パパは頭と背中だけ。」


「……え?えっと、じゃあ何で俺には全部やらせたんだ?」


「ゆーくんだから!」


 特に意味は無い。

 そういう風に受け取っておく幽希。

 というか、自分で出来るならそう言って欲しい。


「また、いっしょに入ろ?」


「ああ、うん、今度な。」


 今回みたいな事はそうそうないはずなので、これが最後だろうとは思うが、余計な事は言わない。


 出る時はささっと拭いて、服を着る。


「お帰り。髪を乾かして来なさい、すぐに出来るから。」


「温風機ならそっちにあるよ。」


「はい。ありがとうございます。」


 温風機と呼ばれるドライヤーもどき。

 その名前だと別の物をイメージするだろうが、この世界での温風機はドライヤーなのである。


「ゆーくん、乾かしてー!」


 目の前には温ぷ……ドライヤーを両手で持って幽希に差し出すルナの姿が。

 幽希がやるのは当然の事らしい。


 タオルで拭いて、乾かす時間を減らす。

 ドライヤーを使うが、魔力で動いているので機械音はしない。


「よし、こんなもんだろ。」


「ありがとー!」


 ふわさらな髪が出来上がった。

 さて、自分の髪も乾かそうか。そう思っていた幽希だが、ドライヤーを取られた。


「今度は私がやる!」


 じゃあ、最初から自分でやれば良かったのでは?なんて考えてはいけない。


「髪さらさらー」


「そうか?イマイチ分からないけど。」


 他人の髪を触ったことは、数える程度しかない。

 なので、比較する事も出来ないのだ。


 そして、髪が乾かし終わったすぐ後にユニの声が聞こえてくる。準備が出来たとの事だ。

 椅子に座り、いただきますの挨拶は無しで食事が始まる。


「お風呂、どうだったの? 」


「気持ちよかったですよ。」


 ユニには、「そういうことじゃない」と言われたが、曖昧な返事をしておく。

 しかし、ルナに聞けば1発だ。


「えっとね、ゆーくんに全部洗ってもらった!」


 その言葉を聞いたユニは、同情の眼差しを向けてくる。


「ああ、そういう……なんというか、ユウキ、お疲れ様。」


「私の時は、頭と背中しか洗わせてくれないんだけどなぁ。本当に、ユウキ君への懐きようが凄まじいね。」


 セツナの言う通り、ルナの懐き方は異常だ。

 これは、別に幽希が何かをした訳ではない。ただ、昔から動物に好かれやすいだけだ。

 そして、妖狐……というより、何かしらの動物の要素がある種族は、幼少期の時だけ動物の部分が強く出る。


 それ故に、幽希がどれだけ優しく、どれだけ悪意が無いのか。それをルナは、知らない内に理解していた。


「ルナ、ユウキ君の事は好きかい?」


「うん!大好き!」


「そうか、俺もルナの事は好きだぞ。」


 見事なくらいのルナの即答である。

 しかし、子供の好きは、友達に言ったり親に言うものであり、恋愛感情で無いことは幽希も分かっている。

 その為、慌てる事も無く自然に返せる。


 だが、ユニは少しだけ気になっている事がある。ナイフを動かす手を止めて、料理を幽希に切ってもらうルナを見た。


「明日、大丈夫かしら……」


 それは、幽希が帰っても平気なのかという事。

 懐いているのはいい事だが、ここまで来ると、ルナが駄々を捏ねて泣いてしまうかもしれない。


「あーん!」


「えぇ?仕方ないな……ほら、あーん。」


 幽希に食べさせてもらうルナを見て、こう思う。いつもより甘えん坊になっているのはどういう事だ、と。


 そして……


「ゆーくんも、お口開けて」


「あ、あーん……」


 後10年もすれば、お義母さんと呼ばれる日が来るかもしれない、と。

 幸い、セツナからのお墨付きなので心配は要らないのだ。



 ――――――――――切り取り線――――――――――



「手伝ってくれなくても良かったのよ?」


「いえ、何もしないというのは悪いですから。」


 現在、幽希とユニの2人は後片付けをしている。

 ユニからすれば、客人で、弟子でもある幽希にはゆっくりしてもらうつもりだったのだ。

 まあ、幽希が手伝うと言ってしまったので、こうなった訳だが。


「そういえば、寝る時ってどうすればいいですか?」


「空いてる部屋にベッドがあるわ。それより、問題はルナの方よ。多分、また同じ事になるんじゃないかしら?」


 恐らく、一緒がいい!と言われるだろう。


「いや、さすがにそんな事は……」


 否定出来ない。

 寝る時だけは違う、なんて事はないだろう。


 そして、就寝前。

 おやすみなさいと言って部屋に行こうとする幽希だが、ルナは何も言わない。

 普通にセツナ達と寝るのかもしれないと、幽希が後ろを振り返れば、そこにはルナがいた。


「?」


 幽希が振り返ったことに対して首を傾げるのみで、一緒に寝る事は当たり前らしい。


「うん、もう諦めよう。」


 ドアを開けて、そのままベッドに入る。

 それに続いてルナも入り込む。

 大きさは、大人が2人入っても余裕がある程。


「なのに、何でくっ付く?」


「なんとなくー?」


 こうして、幽希は眠る。

 明日は、晴れるだろうか?なんて、考えながら。

子供って、何故かベッタリになることありません?自分経験があります。

ちなみに、2人の歳は30前くらいです。一応。

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