4話『魔導技師の弟子になる』
今回は、真面目な話をするので、セツナの娘とはあまり絡みません。
次回にご期待下さいね?
親から受け継いだであろう狐の耳と尻尾。そして、セツナとは違う金髪。
大体、4歳くらいだろうか。
(聞いてねぇぇー!!)
「どうしたの?」
幽希が返事をしなかった為、首を傾げる幼女。
「あ、ごめんな。俺はユウキ。」
「ゆーき?……じゃあ、ゆーくん!」
それに思わず苦笑してしまう幽希。
前世の母親が、いつもそう呼んでいたせいである。しかし、幼女は別の意味だと考えた。
「ゆーくんは、や?」
「そんな事ないよ。ゆーくんっていい呼び方だな。ありがとう。」
「やったー!あ、わたしは、ルナっていうの。よろしくね、ゆーくん!」
「ああ、よろしく、ルナ。」
ルナはとにかく元気な女の子だ。
幼い今でも可愛いと思うのだから、きっとモテるだろうな。なんて考える幽希。
「どうやら、仲良くなれそうだね。ルナは金狐なのもあってあまり外に出せないから、偶に遊んであげてほしい。 」
「えっと、金狐ってなんですか?」
確かにルナは金髪だが、何故外に出せないのか分からない幽希。分かるはずもない。
すると、ルナに聞かれたくなかったセツナは、幽希の耳元で説明する。
「私達妖狐という種族は、元々魔力の扱いに長けているんだ。でも、金色の毛を持って産まれた妖狐は、魔法系統の才能値が高く、最大魔力、魔攻、魔耐の数値が凄く高い。だからこそ、金狐と呼ばれ、高値で取引されることも多いんだ。」
可哀想な話である。
なりたくてなった訳でもないのに、知らない人から狙われ、自由に遊ぶことも出来ないのだ。
しかし、幽希は1つ思いついた。
「もしかして、俺を鍛えてくれるって言ってたのは、ルナのためだったりしません?」
特に理由もなく鍛えようとするのはおかしいと思った幽希。それは当たりだったらしい。
「おや、バレてしまったか。そうだね、歳の近い君が傍にいれば、学院に居る時も安心だと思ったんだ。まあ、本当は、自然な流れで守ってくれるようにするつもりだったんだけど……」
「そりゃ、理由もなく鍛えるとか言われたら疑問に思いますよ。まあ、そういう事なら引き受けますけど。」
鍛えてくれる人に宛もなかった幽希は、それくらいならお安い御用だと思った様子。
ちなみに、学院というのは魔法や戦闘技術を教えてくれる場所である。他にも選択科目のようなものもあるが、そこまでは幽希も知らない。
セリナから聞いて、行きたいと思っていた程度だ。
そんな事を話していると、幽希の服を引っ張る幼女が1人。
「2人のお話、よく分かんない……」
放置されていたルナは、形のいい眉を寄せてつまらなそうにしていた。可愛い。
「ああ、ごめん……な?」
最後が途切れているのは、変なものを見つけてしまったからだ。それは、扉から覗く女性。
幽希の視線を辿って、セツナも扉を見る。
「おや?そんな所で何をしているんだい?ユニ。」
「もう、やっと気づいたの?ルナが出た時からここで待ってたのに。しょうがないわね、セツナは。」
ずっとスタンバっていたらしい。
赤い髪に、やはり狐の耳と尻尾。そして、気の強そうな台詞。口調も挑発的である。
「私がセツナの妻で、ユニよ。よろしくね、ユウキ。」
「あ、こちらこそよろしくお願いします。」
自己紹介が終わると、幽希をじっと見つめるユニ。しばらくすると、ひとつ頷く。
「うん、悪くないわね。ルナと仲良くする代わりに、魔道具の作り方とか覚えてみない?」
「……えっと、急にどうしたんですか?」
魔道具というのは、魔力を流して使用する機械のようなもの。武具だったり生活用品だったり、大型の物では、決闘での安全装置なんかがあるそうだ。
幽希も、コンロもどきや、お風呂のお湯を沸かす魔道具を家で見ていた。
何が悪くなくて、どうして魔道具の話が出てくるのか全く分からない幽希に、ユニが説明をしてくれた。
「前から、セツナはあなたにルナを任せるって言ってたのよ。話を聞いてても大丈夫そうだと思ったし、その目が気に入ったから弟子にしたいわ。」
「さすがユウキ君。何百人と弟子入りを断ってきたユニを、目だけで落とすとは。」
真面目な顔で話していたユニを、セツナがちゃかしつつ、凄いことを言っていた。
「ちょっ、セツナさん?ユニさんって、そんなに凄い人なんですか?」
「そうだね、天才魔導技師として子供の頃から有名だったくらいさ。」
「言い過ぎよ……そういうセツナだって、あらゆる武器を使いこなす武神って言われてるじゃない。」
「私のは器用貧乏だから、1つを極めた人には勝てないと思うよ。実際に負けたこともあるだろう?」
世間話でもするように、とんでもない事を話している2人。幽希は、芸能人と話しているような気分になりつつも、凄い人に教えてもらえる事を喜んだ。
「弟子っていうのは問題無いんですけど、セツナさんに鍛えてもらうのと両立出来ますかね?」
「ええ、大丈夫よ。無理矢理にでもやらせるから。」
「それはさすがに可哀想だよ……あ、そうだ、ユウキ君。表示板を見せてくれるかい?」
少し震えながら表示板を見せる幽希。
どれ程キツイのか分からない状態だが、無理矢理にでもやらせると言われれば、怖くもなる。
「言っておくけど、体力的に限界の時はやらせたりしないから。少し疲れてるからパスとか、遊ぶことを優先とかはダメって事。……ルナが遊んで欲しいって言った時は例外にしておくわ。」
「それなら平気です。努力するのは好きですから。」
幽希が返した言葉に対して、「教え甲斐があるわ」と言って頬を緩めるユニ。
すると、静かに待っていたルナが喋った。
「これ、凄いの?」
指をさしたのは幽希の表示板。
先程からセツナが見ていたのだが、気になったらしい。
そして、顔を上げたセツナはこう言った。
「こっちも、鍛え甲斐がありそうだね。」
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名前:ユウキ・アステラード 種族:人間
ステータス Lv1
自然回復力 : F
最大魔力 : 579
最大体力 : 210
筋力 : 78
魔効 : 167
敏捷 : 42
物耐 : 21
魔耐 : 135
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「何よ、これ……?最大魔力と魔効、魔耐が高すぎるわ……他の数値だって、Lv1の人間とは思えない高さよ。」
ユニから、「本当は人間じゃないとか?」等と言われる幽希だが、そんな事は無い。
ステータス強化シリーズを、全て3まで上げたのだ。なお、筋力は最初に5まで上げている。
上から順に強化した方法を説明する。
自然回復力は、怪我をしないとダメだと思っていたが、筋肉痛でも上げられる。
最大魔力は、魔力の消費か、体内の魔力を動かすことによって魔力回路を傷つければいい。
最大体力は、普通に疲れればいいだけ。
筋力は、運動をすればいい。
魔効は、魔力操作を続ける事で、魔力の質が上がり、それが魔効という訳だ。
敏捷は、走ったり足を鍛えればいいのだが、家の中では難しかった為、大して上がっていない。
物耐は、怪我をしなければ無理のようだった。筋肉痛は不可。
魔耐は、魔力操作でいつの間にか上がっていた。詳しくは知らないので、そのうち検証してみたい。
家の中で出来る事。そう限定されると、魔力操作を練習する時間が増えるのは必然。
ある程度経つと、普段の生活をしながらでも練習出来るようになり、1日の練習時間も増えた。
現在、魔力操作も5になっている。
それだけやっていれば、才能値が5の筋力よりも魔力関係が高いのは仕方ない事なのだ。
「まあ、色々あるんですよ。」
「何よそれ……いえ、魔力が高いのは好都合だし、構わないわ。」
「ゆーくん、すごーい!」
ユニが詮索をしない事を決めた所で、ルナが幽希を褒めた。多分、話の内容は大して分かっていないだろうが。
「今すぐにでもユウキ君を鍛えてあげたいところだけど、それよりも、ルナが遊んでほしそうだね。」
「え?ああ、確かに。」
幽希がルナの方を見ると、落ち着きがなくソワソワしていた。初めて歳の近い友達(見た目は)が出来て、遊びたくなったのだろう。
「ルナ、一緒に遊ぶか?」
「うん、遊ぶ!」
この後、十数年ぶりに鬼ごっこをした幽希だが、ステータスの恩恵が身に染みて分かった。
シェドのステータスはそこまで高くありません。というか、人間は基本的に低いです。
そのうち、セツナのステータスとかも出したいとは思うんですけど、どのくらいにするべきか迷いますね。
次回もお楽しみに!




