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パーティーっ!

「おお〜」

冒険者の時とも普段の公爵令嬢としてとの服装とも違い、黒のスラックスに水色のベストにシャツという、シンプルではあるが生地も上質な為品が良いという装いにしてもらった。

「お似合いです、お嬢様!」

「ありがとうリリ。案外時間立ったね‥もう行くよ」

「うん、でも一人で大丈夫?道に迷わない??」

「いや小学校初日のお母さんかっ!」

「しょう‥ガッコ?」

「あーいや、なんでもない。じゃあ、行ってきます」

よいしょっと扉を押すと、これまた結構重い。

こんな風に、この学校はいたるところに体を鍛えるための工夫がされているようだ。

ーーさらに生活が楽しみになってきた!



‥‥‥十分後

「あ〜れ〜〜〜〜〜〜!?」

我は道に迷っている。

そう、道に迷っているのだっ!

カラメロは未来予知の能力があるかもしれない‥

ーいや、別に学校の作りに文句をつけたいわけではない。

 ないが、あまりにも質実剛健という印象で、廊下には飾りなど一切なく、扉に書かれた番号だけが位置

 情報となる。

そして残念なことに私は方向音痴なのだ。

私の部屋は44号室だった。

11の倍数だと喜んだのも束の間。

因みに、一クラス5人、一学年25人、全部で150人で、÷2で、75。余裕を持って80部屋ある。

ここから割り出される答えは‥真ん中だからどっちにいけばこの寮を出られるのかわからなくて、物凄く迷うということ!!

普通に数字が小さい方へ進めばいいと思っていたのだがそういう訳でもないようで、所々枝分かれして、89がきたら次に34だったりする。

本当に迷宮のような樹形図のようなつくりだ。

ーーまずい!

  このままじゃ夕飯に遅れてしまうっ!

「はああああ〜」

今日のパーティーはおそらく、新入生歓迎会に加え、クリスタルを壊せた私を祝う意味もあるはずだ。

それなのに脳まで筋肉な坊主たちは私がいないことに気がつかないのだろうか‥。






どれくらいの時間そうしていただろう。

気絶のせいで運ばれた道も記憶にないからわからない。

最近忘れかけているけれど知力レベル1、の人間には扉が並ぶ規則から割り出して正しい方向に進むだなんてできない。

途方にくれて茫然自失としていた私に、一人の女性の声が響いた。

「あなたは‥レイティーン嬢、だろうか?」

ベルベットのような、低く滑らかで艶のある声。

「え‥?」

「私はビート・デューク。デューク公爵家の次女で、先ほどの通過儀礼も見ていた。同じ学級らしいし、これからよろしく」

ーーおお!なんという僥倖だろうか!

とふざけるのはおいておいて、同じ公爵家の者同士、礼儀を尽くした接し方をするべきだろう。

「初めましてビート様。これからよろしくお願いいたしますわ」

「そう固くならないでいただきたい。‥ところで、何をしておられたのです?」

「ええっと、かくかくしかじかで‥」

道に迷った経緯を説明する。

「ふふっ。あんなものを壊してしまわれるのに、案外お可愛らしいところもあるのだな」

笑った!笑ったよ!

『案外お可愛らしい』は間違えなく彼女の方だ。

堅い軍人のような口調で、少しつり目気味、キリッとした眉、化粧っ気などないがとても整った顔。

そして愛想笑いなど知らないような挨拶の時の表情。

綺麗な瞳が細められて軽く微笑むと、本当に魅力的だった。

しかも、笑うときに前髪を少しいじるくせがあるようだ。

これは女性受け間違いなし!

っと、彼女は女性だった‥‥。

「そのようなことなら、私もちょうど今から食堂に向かうところなので案内しよう」

「まあ!ありがとうございます」

本当によかったよ‥。





「‥‥‥」

「あ、あのぉ。ご無理なさらないでくださいまし」

「なぜだ、なぜなんだ。ここをこう行くから次は右?いや、左にしか分岐できないな‥」

迷える子羊が二匹に増えただけで、我々はまた道に迷っていた‥。

いやぁね、完璧なのに方向音痴とかも萌えポイントだと思うけれどね!

このままじゃご飯、全部食べられちゃうよ‥。

「あれ、お前たち何してるんだ?食堂はあっちだぞ」

ほわああああ

ザリギドルの背後から後光がさしてまるで救世主のように私の目には写った。

「あー、もしかして道に迷ったのか?まぁ結構複雑だから、なれるまでは見回りの先生をつけといてやる。早く行ってこい」

「「ありがとうございます!」」




小走りに食堂の方へ向かっていると、

「‥すまなかった」

「え?」

「あの、その‥。道を案内するとか言っていたのに、あんな不甲斐ない姿を見せてしまって‥」

一瞬何を言われたのかわからなかったが、彼女が言いたかったことがわかった。

「お気になさらないでください!というか、あんな風に華麗な技を使われる方にも、あのような一面があるのだとしれてむしろ安心しましたわ」

「安心‥?」

「ええ、安心です。だって、完全無欠でも人間味がなくて怖いでしょう?」

冗談めかして笑いかけてみる。

「そうか、そんな風に考えるものもいるのだな‥。なんだか楽になったよ、ありがとう」

笑みというくくりに入るけれど、その中の最上位種のような、リラックスしきった柔らかい表情を向けてくれた。

「どういたしまして。さあ、急ぎましょう!ご飯が食べられてしまいますわ!!」

そういって彼女の手をとる。身長的に肩の横くらいにある。

「あっ、ちょっと!」

今夜のパーティーはまだ始まったばかり。

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