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入学式がさっすが筋肉!

「ええ〜まずは入学おめでとう。今年もこの地に新たな筋肉がたくさんやってきたこと、喜ばしく思うよ。俺の名はデズマンド。デズマンド・ド・ウィリーだ。知っての通り、この学園には入学試験がない。だがな、筋肉への愛と筋肉の質が足りないと判断されたものに教えるこたぁ何もねぇ。学年を三学期に分けてあるのは知ってるよな?学期ごとの試験でバンバン落としてくから、覚悟しとけ。」

校長は騎士団長の弟だそうだ。団長職と校長は兼任が厳しい、と校長を務めてきた彼が騎士団長に任命された時にこぼし、同じく実力のあるデズマンドが校長、ザリギドルは教師となったようだ。

結構実力主義の場所だから、コネで入ってきた幼い王族とその婚約者なんてすぐに落とされるぞ、というのが多分さっきの嘲りの視線。

周りは見渡す限りの銀世界…ではなく筋肉マッチョ……

「面白くなってきましたね、殿下!」

「あぁ」




校長先生のお話というのは、どこの世界でも長いものだと思っていたがあれしかなかった!これだけでデズマンドの価値が爆上がりしたのは言うまでもない。

「はい、じゃぁ各教室へ行ってこい。一番力がないへなちょこなお前たちは地下一階が教室だからな。」



「レティー、なぜ地下一階がへなちょこの教室なのだと思いますか?」

下へ続く暗い階段を降りながら尋ねられる

「あんまり力がある人たちを地下においたら地盤が傾くからに決まってますよ!」

「さすがレイティーン。脳筋の理解は脳筋に任せろってことだね」

褒めてんのか貶してんのかどっちだよ!?

「ってうわぁ!」

あまりにも周りの人との身長差が大きくて視界が狭いせいでつまずいてしまった。

「あ?あぁすまん」

まわりから「ふんっ」という鼻息が聞こえそう。

やっぱ舐められてんなぁ〜



「お前らも知ってるだろうが、俺の名はザギリドルだ。校長の兄であるという立場を利用し、徹底的に厳しく鍛えてやるから覚悟しとけ!」

『はいっ!!!』

「あ、あの‥‥‥先生、一ついいっすか」

「なんだ?グリードン・ギーマン。」

「ああっ!あの先生が俺の名前を覚えてくれているだなんて‥‥‥。先生、俺はあんたに教わるためにわざわざ入学年を二年もずらして先生が担任になるのを待ってたんすよ」

へえ、人望が厚い人なんだな。

「だから力ありそうなのに18歳だったんだな。嬉しいよ、グリードン」

「‥‥‥けど、一つ気に入らないことがあるっす」

「なんだ」

「どうしてこの最上位クラスにこのコネ組がいるんすか?俺は力以外認めねぇっす。完璧王子は‥‥まだいいんすけど‥この嬢ちゃんはなんすか?見るからに弱そうじゃないすか」

「その小娘は‥‥俺より強い」

うん!?なんとなく生徒と先生の友情をのほほんと眺めてたら、不穏な流れに‥‥‥

「‥そう校長にいってこの嬢ちゃんをここに入れたらしいすけど、これからの儀式、この嬢ちゃん耐えられるんすかねぇ」

心配半分、面白半分の顔で、席を立って近づいてきたグリードンに覗き込まれる。

よく焼けた肌に服がはち切れそうな上腕二頭筋、後ろになでつけた男子にしては長めの髪は深めの赤だ。深緑の瞳がお人好しそうだけど、敵に回したり裏切ったりしたら怖そうな威圧感も秘めている。

ん?ってちょっと待って、儀式って何!?なんなの!?

「安心しろ。力はありすぎるくらいだ」

「なら、いいすけど。まぁ何か言ったら言ってくれっす、銀髪の嬢ちゃん」

この学園では地位も何も関係ない。一番大事な「力」だけがものをいう。だから名簿によると子爵家らしい彼が私にこんな言葉遣いでもなんも問題ないんだけど、逆になんかガチ目に心配してくれて、申し訳ないな‥‥‥



私の席は一番前の真ん中の廊下側だ。ちなみにクルは同じく一番前の真ん中の窓側。前世だったら『内職ができない‥‥!』って騒ぐところだが、この学園に座学はそもそも多くない。し、暇時間が多いのでするつもりも毛頭ない!つまり、no problem!

「‥‥だから、今から寮の裏でやるわけだが‥‥って、聞いてるか?レイティーン」

「ふぇ!?あ、はい。もちろんもちろん」

学生あるある、寝てはないんだけど意識飛んでて先生の話聞いてない。ってかこの位置、それバレまくりじゃん!全然問題なくないじゃん!

「じゃあ、何をどこで今からやるか言ってみろ」

「え?それは〜そのーあのぉ、えっと‥‥‥」

つんつん

膝を叩かれる。と言っても騎士学校の入学に謎に豪華なドレスできちゃったからパニエが揺れている気がするだけだが。それで左を見ると‥クルが小さな紙切れを渡してきた。

『にゅうがく式の続きで、実力を披露する毎年恒例の通過儀礼を寮の裏でやります』

「え、あ。入学式の続きで、実力を披露する毎年恒例の通過儀礼を寮の裏でやります」

「ああ、そうだ。じゃあついてこい。このクラスは最上位クラスだから、最後にやる。他の4クラスのもしっかり見て、まねしたっていいし反面教師にしてもいいからな」

他の新入生を反面教師ってどうなんだろうと思いつつ、それが許される実力至上主義の場所へ来てしまったのだと実感する。




ぞろぞろと歩きながら、クルに小声でお礼を言う。

「さっきはありがとうございます!めちゃくちゃ怒られるところだった‥‥」

「気にしないでください。レイティーンのために先生の話は全て書き留めてありますよ」

何それ優秀!そういえば前世でもメモ魔の友達によく見せてもらってたっけ‥‥‥

「ほら、ついたぞ!あれを見てみろ!!」

そこにあったのはーーー

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