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婚約披露(疲労?)パーティー③

先週忙しくて更新できなくて‥‥‥。ほんとごめんなさい!今回は長めに書きました。

入り口近くに佇む、堂々とした大きな黒い生物。レイティーンに護身用に一通り魔物の知識は入っているけれど……あんな魔物見たことない。知らない。怖い。強い。

「あ、あああああ」

でも、前の慌てて泡を吹きそうなベッキーと婚約者様として守ろうとはしてくれてるけどガタガタ手が震えている殿下を見ていたらそんなの気にならなくなってきた。




「賓客の皆様、お下がりください!」

あれは確か…この国の騎士団長。

30歳くらいで、剣の技術がすこぶる優れているとか。殿下の師らしい。

しかし、この世界では非常時用の外階段なんてあるはずもなく、逃げられはしない。

さすがは貴族だからこんな時でもみんなしゃんとしているけれど……。

パーティーだというのに構えていた剣をスッと抜く。

両手で包み込むように構えて、右足を引く。

どの動作も洗練されていて完璧だ。あの魔物も強そうだけど、こりゃすぐ討伐されるな。

「たああっ!!!」

切先が喉元に向けられる。

ずぶっ

剣が沈み込んで、魔物は倒れ…ない!?

周りが霞んだかと思うと…

一回りほど大きくなって、咆哮する。

「っ!」

あんなの今までの魔物じゃない。比にならない。

多分だけど、ゲームとかでよくいる攻撃を吸収してどんどん強くなるやつだ。

この世界の常識からは考えられないだろうけど……

下手な強さの攻撃を加えたらかえって邪魔になる。




団長はしばらく困惑していたが、もう一度向かっていく。

「下がって、騎士団長!!!!」

「!?」

周りに使えそうな武器はない。足場もない。先ほどよりも大きくなってしまったからな…。見た目は熊とかに近い。

「だったら…」




魔力を集めて脚力強化からの魔物の足を蹴って飛び上がる。

それでもまだ首には足りないから、次は腕。

おっと、逆の手で掴もうっとしたってスピードは私の方が何倍も上だぞ。

そして熊もどきと目が合う高さになった時、スマイルをあげた。

クマがポカンとしているうちに全速力のパンチをくびへ!

魔力で固く重く、素早くされた私の腕は、そんじょそこらの(団長さんの)剣なんかの何倍も殺傷能力が高い。




スパッと切断された首が床へ転がる。

不思議なことに、血が一切でない。

手を伸ばそうとしたらスーっと周りの空気に馴染むように溶けて消えた。

今までどの魔物を倒してきてもこんなことはなかった。

摩訶不思議だ、本当に。

でも、今はそんなことよりも考えなければならないことがあるらしかった。

後ろがざわついている……

てへっ(*´ω`*)





何呑気な顔してるんですかああああああああああああ!

キーシーは心の中で叫んでいた。

元から悪人顔なので、今レイティーンとその従者たち、そしてキーシーの家族以外が見れば全力で睨んでるように見えるだろう。

満足気な顔なので多分私が言ったように信念を貫いた結果なんでしょうし、彼女がいなければ私達と騎士団長はめでたいはずのパーティーの場を墓場にしていたでしょうが……

淑やかな令嬢精神はどこいった!!!

それにしても強い。騎士団長より強いだなんて…

思ったより凄い生徒を持ってしまったようですぅ…。





ーーつ、よい…。強い。強い強い強い強い!

俺は強さ信仰者だ。親しいものには筋肉バカだと、家族からは脳筋だとしょっちゅう言われている。

筋肉に勝るものなし。

取り敢えず何事にも力をぶつけろ。

それが俺のポリシー。

これによって騎士団長になれて、両手の指じゃ数え切れない女性にフラレた。

今はいる妻も、仕方ない人だなぁと俺のことを思っているらしい。

そんな俺が、この、劇のような強さを見せつけられて何も感じないことがあろうか!!!

「感服しました!レイティーン嬢!!」






「あはっははは。凄いですわー騎士団長の剣捌きのおかげで、軽ーくパンチしただけであの魔物がいなくなりましたよー」

いささか棒読みなのはご愛嬌。

「・・・・・・・・」

流石に無理があったかな!?なんか感服されちゃたし、どしよどしよ!!

「本当ですわ!まあ、凄いわね、騎士団長ー!」

上座でじっと見つめていた女王まで乗ってくれた。

これで、不服に思っているものがいても反論することはできない。

「でも、おね…んじゃなかった、公女の活躍も大きくてよ」

余計なことを言うなっ!知力1の私に話をフルなっ!

「このようなことが起こった原因の解明と、ただの一般貴族で騎士団などに所属していないにも関わらず尽力してくれた公女への褒賞は後日。さあ、パーティーの再開です!」

どうしてこんなことになったのか、とか、まだ恐怖が残っているから邸で休みたい、と言う感情を抱えているものは多くいても、女王の言葉には逆らえない。

みんな無理やり笑顔を作って、また、ぎこちなく談笑しだす。




「あ、あの。ありがとうございました。」

おおっ、悪役顔だけど、はにかむと可愛い!

でもきっとこの顔のせいで誤解されることとかも多いんだろうなぁ。

「気にしないで、ベッキー。あなたが無事でよかった。」

なかなかイケメンなセリフを言えたんじゃないだろうか。

ベッキーが真っ赤になっている。

ーー人って、本当に赤くなるんだ。

そんなどーでもいい悟りを私が開いていると、すっかり存在を忘れていた殿下が横で何かぶつぶつ呟きだした。

「あんな強そうな魔物を一瞬で‥‥?やっぱり僕の婚約者、ただものじゃないんじゃないか?しかもなんださっきのベッキーへのあのセリフ。かっこよすぎだろ‥。できれば僕に言って欲しかったぁぁ」

口に出ている自覚があるのかないのか、何やら結構怖いこと言ってる気がする。




「あ、あの‥‥殿下?大丈夫ですか?無事で良かったです。」

「かっこいいぃぃぃぃぃぃぃ!!!はあはあはあ。君は僕を殺すきかい‥‥?」

「ふぇえ!?そんなことないですっ!私何かしました!?」

「いや、いいんだ」

「ごめんなさいぃぃ」

「ふふっ」

「何?ベッキー」

「いいえ、別に。きっと謝る必要ございませんよ、公女。」

「そうなの?っていうか、公女って何?美味しいの?」

「公女もわからずに社交に出てきたの!?公爵令嬢って意味だよ」

いつの間にか後ろにいたリリと、その方の上に乗ったカラメロに怒られる。

んなもん知らんし。

ってかリリ今日ドレスだぁぁ、きゃわー!

「お嬢様は何も知らなくても素晴らしいです!」

‥‥言動を除けばね。リリはね。

「ふーん、公爵令嬢って意味なんだ。じゃあさ、ちょっと硬いわね。ぜひ、レイティーンって呼んでちょうだい!」

「はいっ!レイティーン様!」

そんなこんなで一人の令嬢とお友達になり、パーティーの幕は無事(?)に降りた。






「やったね、レイティーン。いや、斎藤凛音。一回めの神の子としての任務、クリアだ。」

総括神プリシアムは、水の女神フェリーネに水面鏡を使って映し出してもらったこの光景を見ながらいう。

「頑張ってね〜。きっと、きっとあなたなら、

「この世界を救えるさ♪」ホレルも、

「この世界を救えるから〜」テティーロも、

「この世界を救えるから」プリシアムも、

「この世界を救えるで」ナリウェルも、

「この世界を救えるわよ」ライーラも、

「この世界を救える」キレーメも、

「この世界を救えます」フェリーネも、

みんな3種3様に祈ってる。心からの願いを込めて。希望を一人の少女に託して。

神たちの祈りは、レイティーンには届かないけれど、でも、託されている。

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