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婚約披露パーティー②

ウソだ…。

今日見たあの令嬢はあまりにも噂と違った。

とにかく美しいというのはあっていたものの、屈託のない笑顔で従者とお茶をし、僕の言葉に挑戦的に挑んできた。

ーー面白いな。

身体能力勝負だなんて馬鹿げたことを言っていたが、多分僕があっさり勝ってリキャリニス家を派閥に取り込めるだろう。

ーーでも、あの威勢のいい少女を思い出すと少し期待してしまいそうになる。今まで負けを経験したことのない完璧王子に、どう来るんだろうか






ー簡単にいうと、容赦なかった。

いや、本当に遠慮とか皆無だったな!でも、この勝負ではっきりとわかった。彼女は権力目当てで僕にごまをする人たちとは違う。今まであった人の中で誰よりもまっすぐ、素直にあの薄紫の高貴な瞳で見つめてくるんだ。ちょっと興味持って王族命令と可哀想なこと言っちゃったかな。でも、彼女はあそこまで強い。k国としても将来を考えて野放しにしておくわけにはいかないんだ。そんな言い訳をしながら、彼女との未来を楽しみにしている僕がいる。




ーいや、かわいすぎないか!?

これがおもちゃから恋にレティーの存在が変わった瞬間だった。

「た、助けてくれてありがとうございます!」

うるうるの目で、緊張したのか声をうわずらせながらの上目遣いだと!?その瞳は一途に僕の心を射抜いて……

*クラッセル個人の感想です*

しかもあんなに強い彼女から言われるから尚特別感が…。

もしや、彼女ももうすでに僕のことを好きに……?

そういえば言った後頬を赤らめていたよな……

*お客様により、感じ方には個人差があります*

ああああ。あそこで逃げるとかよっぽど根性ないやつみたいだったよな。でもかわいさに悶絶して逃げ出したなんてカッコ悪いし……。

トントン

あ、母上。

「ひどいですよ、クル!お姉様が不味いことをしたかと不安がられていました!!」

なんでお姉様呼びなのかわからないが、とにかく不味いことをしたな……。ごめん!婚約式ではちゃんとした姿を見せるからな!





「そして今日が婚約披露パーティー本番だ!レティーの美しい晴れ姿を見た瞬間、僕は昔メイドが話していた独占欲とかいう言葉の意味を正しく理解した!レティー、愛してるよ」

熱が入りすぎて途中からレティーのことを見ていなかったな。

「レティー、……レティ!?」

すやすや

思わずこちらまで眠くなってくるくらい幸せそうな顔でレティーが眠っていた。うんうん、昨日は支度で疲れたよな。

じゃなくって!!!!

「寝るな〜〜〜〜〜!!!!!!」

「むにゃ?」

寝起きだけど服は乱れてないし顔も腫れぼったくなってない、そして何より「むにゃ?」が可愛かったので僕の大事な愛の告白を聞いていなかったのは許す!許しちゃう!






「むにゃ?」

折角クラッセルが断罪回避の平穏な公爵令嬢&チート冒険者ライフのヒントになりそうなこと言ってたのに、昨日の疲れ(精神的にのみ)のせいで寝てしまっただと!?やばいやばいやばい



「もうすぐだよ」

そうこうしているうちにもう城に着いてしまったようだ。

「綺麗なお城……」

本来パーティーの類は夜にやるものだが、今回は主役が子供であるという点から夕方から始めることにしたようだ。

淡い橙色に照らされて、誰もが城と言ったら必ず思い浮かべるような正統派の美しい荘厳な城に思わず感嘆する。

「急に不安になってきました…」

「大丈夫、君は世界一綺麗だよ」

不安の種の大半はあなたです!







「本日の主役、レイティーン公女とクラッセル殿下のご入場です!!!!」

「もう中に揃っていらっしゃるのですよね?」

「そうだよ。そんな緊張することはない。この正式なお披露目を終えたら、君は準王族だ。」

「準王族!?初耳ですよ!?」

「でも、僕の婚約者だからね。当然だ」

作中では準王族なんかじゃなかったから、多分これもこの王子のゴリ押しだ……。

本当にどこを好きになったのおおおおお!!!!

ギイイイイイイイ

重厚な扉が音を立てて開く。扉の向こうにはたくさんの貴族たちがいた。

数十…いや数百はいる。扉近くにはmy parentsがいた。あえて英語なのは、ちょっと親としてどうかと思う性格だからだ。

全員が一斉に揃った拍手をする。なんか小中の校長先生の話とか思い出すなあ。

私はなんだかんだ言って本番には強いのだ。クラッセルにエスコートされて堂々と進んでいく。

あれ?式の段取りって、なんだっけ?

昨日キーシーが言っていた気もするのだが、疲れすぎて覚えてないぞ!

「ほら、最初は僕らのダンスからだよ」

小さい声でカバーしてくれる殿下ありがとう!

ワルツが流れ出す。

足を軽やかに動かす。

王子の瞳をまっすぐに見つめる。

足を踏む。

「った!」

「頑張ってください!」

「はあはあ。この足の痛みはレティーからの愛の重さと比例している……」

もはや気持ち悪いところまで来ている気がする。

なんとか踊りきった。ふう。精神的な疲労だけだな。

「次は賓客からの挨拶を並んで受ける番だよ。あそこのソファーだ」

フッかふかの真っ赤で周囲が金糸で縁取られたソファーを指差す。おおお、さすが王族だ!





大人を捌き終わり、将来側近候補となるかもしれない高位貴族の令嬢、子息とも会った。次は…

「グランディディエライト子爵家の、ベキリーブルーガーネットと申します。どうぞベッキーとお呼びください」

少し釣り気味の薄茶色の瞳に、両サイドの焦茶の髪をクルクルと縦巻きのツインテールにしている同い年の少女。悪役顔だ。

「ええ、よろしくねベッキー」

彼女が頭を下げたその時、

「誰か衛兵を呼んできて!魔物よ!魔物が現れたわっ!!!!」

え……

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