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淑女教育は大荒れです②

結局、なんとかダンスは相手の足を踏まなくなった。容姿がいいし体感はチートパワーで鍛えられているし動きもキレがあるから、足を踏みさえしなければ本番もきっと大丈夫だ。

「私の足を何回いためたら気が済むんでしょうね、レイティーン様は」

「オホホホ。ごめんなさいね」

まだ十回に一回くらいは踏むが、まぁキーシーと王太子に耐えてもらおう。

リリとカラメロにそう言ったら、

「そうですよ、お嬢様が合わせる必要だなんてございません!」

「キーシーと王子、かわいそーだな」

なんか正反対の答えを言われたけど、とりあえずこれしかできないのだからぁ仕方ない。




「では、次にお茶会の開き方についてお教えいたします。

お茶会は貴族令嬢の戦場です。どれだけこちらが有利な状況に招待出来るかで、生死はきまりますわ!!」

え!?そんな怖いものだったの!?

なんかキーシーの背後に龍がみえます…

「まずは茶菓子の調達についてです」

下町で買ってきたようなものはダメだの、なるべくならお抱えのシェフのものを提供して相手に家の格を見せつけるべきだの、もし下町で買うことになっても有名店のブランドつきのものにしろだの、とにかく見た目の繊細さにこだわれだの、相手の苦手なものはどんなに身分が低くてもださないように、きちんと身辺調査をしておけだの、少なくとも来客者が全員3個以上は食べれる量準備しとけだの、だけどあまり多すぎると、大食いですわよね?という失礼によほど仲が良くない限りあたるので気をつけろだの、とにかく細かくいわれた………

「ぷしゅー」

「どうされました…?」

「キャパオーバーですっ!」

「そうですか、それではここのものたちが茶菓子の見本です」

って話聞いてんのかぁ!

「見てくださいまし」 

「んん?…うわぁ!!!!」




宝石のように繊細で美しい、前世でも見たことがない可愛らしい菓子達が並んでいた。

「…食べていい?」

「ダメです」

「…」

もうヤダヤダ冬眠したい。

「お茶会のマナーを覚えたら、いいですよ」

「よっし!頑張りますわ!」

それから招待状の書式、会話の振り方、メンバーを選ぶ際の注意、とにかく細かく教わった。基本所作を記憶を取り戻す前に覚えておけたのが大きい。全部理解した自信はないが、いい感じじゃないだろうか!




「では、最後に確認です。会話を振るときに、どうしても知りたい情報があれば?」

「相手と世間話やその相手の趣味に関する話をして菓子をすすめ、緊張をほどいたところで遠まわしに伺う。」

「素晴らしい。その調子なら大丈夫でしょう。どうぞ」

「うわぁ~!!!」

しかし、キーシーの目をみて気がつく。これを食べるのもテストのうちだ。淑女教育をはやく終わらせるためには、気をつけないと!!



美味しすぎる菓子に我を失ってガツガツ食べたレイティーンは、その後+5時間もう一度お茶会について習いました…。





「お茶会についてはなんとかなったことにして、社交界の掌握について本日からお教えいたします」

「掌握…?」

なんとかっこいい響きだろうか。

「コツはお茶会とほとんど共通ですが…一番は、絶対に一貫した姿勢、信念、態度を貫きつづけることです」

「…というと?」

「そんな立派なものじゃなくても構いません。ですが、芯のある人間が強い。それはどこでも同じです。私の前じゃ考えづらいでしょうから、今日の宿題は自分を客観視して意識作りを正確にすること。時間をかけてほしいので、今日はお開きにしますわ」

「はい」



キーシーがでていった扉を見つめながら考える。

自分を客観視、か…。

まず、口調から一貫しよう。心の中の声は前世と同じようなノリでいいとして、リールのときは軍人風、レイティーンのときは令嬢風に、だな。

ポリシーは……

一人でも多く笑顔でいられる人々を増やす。

それは令嬢としてでも、冒険者としてでも。

うわぁ、言ったそばからちょっと恥ずかしくなってきたけど、この思いにかわりはない。チートを使っている主人公のなかで、私があこがれたのはこういう人たちだ。せっかくチートを手に入れたのだから、使い惜しんでいられない。

「結局、どんなのにしたの?」

いつのまにいたの!カラメロ

「ひ、秘密!」




「宿題はやってきましたか?」

「はい、私は…ひと」

「ポリシーを貴族相手に教えるのは、手口を晒すことになります。私はこれで貴方の先生は終わりなのですから、教えてはいけませんよ」

「キーシー先生…」

「そのポリシーは貴方の心のうちだけに抱いて、強く生きていってください」

「はいっ!」

「それでは、今まで短い間でしたがありがとうございました。貴方のお陰で少し活力を取り戻せましたよ。

いつかまたお会いしましょう。私のかわいい教え子」

「ええ、ありがとうございました。私の自慢の先生」

涙と鼻水でぐちょぐちょになるのも、これからはダメなんだな。なんて思ってなんとかこらえ、キーシーを見送った。





「感傷に浸られているところ悪いのですが、明日からは婚約式に向けてドレスやアクセサリーをともに選び、会場のセッティングをアドバイスしてくださる方が来ます。」

「わかりましたわ」





「本日は足をお運びくださり誠にありがとうございます〜!?」

「実はこっちの役も私でした〜!リリちゃんも共犯よ♡」

明るくなったのはいい、いいが…

「まだまだ大変な日々が続きそうですね…」

てか、自慢の先生、だとか恥ずかしいこと言っちゃったじゃないか!その勇気を返せ〜!!!!!

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