第77話 精査
『え、もう借りたの? 早すぎない?』
「どうせ他に誰も使わないからって貸してくれたんす。今日はボクは休みっすから、ひさしぶりに操縦して勘を取り戻してたっす」
『その機体、前にも操縦したことあるの?』
「これ自体は今日が初めてだったっす。でもまぁなんとか今日で慣れたっすから、当日はちゃんと安定して飛べるっすよ!」
『……今日、乗っていなくて、本当に良かった』
「別に墜落とかしてないっすからね? ちょっとジェットコースターみたいになっちゃったりしただけっすよ!」
『飛行機に乗っててそんな状況になったら泣くから』
「もう大丈夫っす! コップの飲み物もこぼさないっす!」
『車もそうだったけどさー。それでも生きた心地がしなかったのは、なぜなんだろう』
「みんなそう言うんすよね。ビビらないのリムジンに乗って中で寛ぐ人くらいっすよ。なんなんすかね?」
『それはコッチが聞きたい』
「まぁ飛行機なら景色の流れも緩やかっすから、高所恐怖症とかじゃなければ平気なんじゃないっすかね」
『ダメだったら地獄の一週間となるな……』
「最悪ラウンジで寛いでいればなんとかなるっす!」
『それはそれで何日も持ちそうにないが……逃げ道はあるに越したことは無いか』
「それで、泊まるところはもう決めたんすか?」
『あーそれなら今、二泊目の宿の候補を数件までに絞り込んだところ。基本的にどこの飛行場でも着陸できるから、どこでも大丈夫なんだよね?』
「そうっすねー。飛行場から離れすぎてると辿り着くのに時間かかって大変かもしれない、ってくらいっす」
『片道一時間くらいまでなら平気そう?』
「そのくらいならいくらでも調整できそうっす!」
『……できるだけ近場にしようっと』
「ずいぶん大変そうっすね。ポイントのサイトで泊まれるところをお手軽に拾えるようになったんじゃなかったんすか?」
『まあそうなんだけどさ。出来るだけ良いところを安くっていうのを追求すると、なかなかね。歯ごたえあって、やりがいがある』
「料金でソートできなかったっすか?」
『甘いなあチミは。そうやってリストアップしたものを低額なものから順に、公式サイトや各種旅行サイトをあたって、格安の料金で売りに出ていないか細かくチェックした上で、最終的な料金設定を洗い出し、それをもって比較して最良の一つを選び抜くのではないか!』
「えっポイントサイト通さないんすか?」
『だってそこで手に入るポイント少ないんだもん。それより単純に値下げしてくれてるとこ選んだ方がお得なのよ』
「……なんか見るだけ見に来て他で買われるお店の店員の気持ちが、なんとなくわかった気がするっす」
『別に紹介料貰ってるとか、仲介することをメインにしてるわけじゃないんだろ。だったら良いじゃないか』
「そうっすけどー。なんか悲しいじゃないっすかー☹」
『気に病んではいけない。これが生きるということなのだ。世知辛い世の中なのだ。受け入れなさい』
「了解でありまっす☹」
『こうして節約を極めるほどに、メキシコでのタコスが豪華になっていくのだ』
「!!!!!」
『どうだ、悪い話ではなかろうて』
「応援するっす!」
ふふふ、チョロいもんだ――だがまあ、多少は奮発してやらねばなるまい。もちろん割り勘だがな!
【ポイントプログラム】
利用可能ポイント: 872




