第76話 秘密
「あー、うん。来週はミーティング無しでいいよ。旅行楽しんでおいで」
「機体を貸していただけるようで、ありがとうございます」
「いいのいいの。あれホントに誰も使ってくれないんだもん。そのまま錆びちゃったら泣いちゃうから」
「見境なく作るからそうなるんですよ」
「うおっ隙あらば出てくるな? 反抗期め」
「誰が反抗期ですか」
「あ、どうもこんにちは」
「こんにちは。旅行に行くんですって? ノンキなもんですね」
「はあ、どうも……」
「君も仕事のついでに観光したっていいんだよ」
「ちょっ、何を――余計な事を言うのは止めてもらえます?」
「えー? 別に隠さなくたっていいんじゃないの? もう同僚みたいなもんでしょ?」
「?」
「それ以上余計な事を言うと、しゃべる機能を停止させますよ――」
「わ、わかったよ! 用事ないならあっち行け、シッシッ」
「言われなくても!」
「……まったく、最近の若い子はわからん!」
「大変そうですね……」
「そうなんだよ! 前は素直でいい子だったのに……グスン」
「そうやって弄っていると、また襲ってきますよ」
「君までやってきたのか。暇だからって遊びに来なくてもいいんだよ」
「なにやら穏やかでない様子だったので――まあ危険は去ったようですが」
「僕の手にかかれば、なんてことは無かったさ!」
「……」
「じ、冗談だよ! ……君、せっかくだから連れて行ってくれる?」
「仕方ないですね」
「ちょっと! 今回は私は悪くないでしょ!」
いつぞやのように、ふたりで仲良く去っていった。
「ええと、何の話をしていたんだっけ……ああそうそう、世界を一周するって聞いたんだけど、南極には行かないよね?」
「行きませんよ」
「ならよかった。ちょっとあそこには仕掛けがあるから、うっかり足を踏み入れるとビックリしちゃうと思ってね」
「UFOでも埋まってるんですか?」
「まあそんなところかな?」
「……」
「いやさ、そういうの楽しいでしょ?って話をしたら『何考えているんですか』だの『バカじゃないの』だの『具体的なメリットを述べろ』だの酷い言われようだったから、その場では降参したフリをしてコッソリ独自に創り上げたのよ! 秘密基地を!!」
「なにやってるんですか……」
「ハッ! 君までそんな反応を……!」
「バレたら怒られそうですね」
「もうバレてる! ていうか、あっちの世界で陰謀論で破滅しかかってた人を試しにその基地に誘導してみたら、その人は喜んでくれてそのままお帰りになってめでたしめでたしってなったんだけど、その過程でさっきの子にバレちゃったんだよね。なんかその人をもともとマークしてたみたいで」
「そうですか……」
「で、そういうケースで上手く使えるでしょ?ってなんとか言いくるめて今に至る!」
「よかったですね……」
「まあめったに稼働してないから、遊びたくなったらいつでも言ってね!」
「考えておきます……」
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