第75話 確定
「そんなにメキシコが良いの?」
「もちろんっす!」
「ハワイとノリがちょっと被ってるかもよ」
「なに言ってるんすか! わかってないっすねー」
「へ? なんのこと?」
「メキシコと言えばアレじゃないっすか!」
「アレ?」
「そう、アレっす」
「……プロレス?」
「そうなんすか? よく知らないっす」
「いや私もよく知らないけど……」
「そういうのもいいかもしれないっすけど! ボクが言いたいのは違うっす!」
「なんだよ。さっさと言えよ」
「ノリ悪いっすねー。言いまっすよ、タコスっす。タ、コ、ス、っす!」
「蛸煤?」
「……わざと言ってるっすよね?」
「タコスそんなに好きなの?」
「え? いやー、特に大好きってほどでもないんすけど、本場のタコス食べたいじゃないっすか!」
「カナダにだってなんかあるでしょ? サーモンとかおいしんじゃないの?」
「カナダの方に行きたいんすか?」
「いや、そういうわけじゃないけど」
「じゃーメキシコにしましょー」
「へいへい。んで、かなりの強行スケジュールだと思うんだけど、平気そう?」
「たぶんイケるんじゃないっすかねー。借りる機体の性能だと、丸二日あれば地球を一周できるみたいっすよ!」
「……そう」
「海の向こうとかほとんど行ったことないっていうか、行きたい動機とかが無かったんすよね。一周するなんて発想が無かったっすから、楽しみで仕方ないっす!」
「それはよかった」
「ホントなんで今まで気がつかなかったんだろー♪」
「……気が向いてするようなもんじゃないだろ、普通は」
「そうっすかねぇ」
「まず飛行機を自分で飛ばして世界を一周するって発想をしない」
「えー楽しいっすよ絶対」
「疲れるだろ絶対」
「ハンドル握っている間は無敵なんす!」
「……そんなかんじっすねー」
「……いいんすか? ボクが操縦しないと旅行は成り立たないんすよ?」
「じゃー泊まるトコ予約するの止めとくわー」
「……冗談っす」
「まあくだらない話はこのくらいにして、一つ確認しておきたいんだけど」
「なんすか?」
「現地でなにか食べ物を調達するとして、ウーパールーパーのシステムを使えるって言ってたけど、普通に注文するわけじゃないんだよね」
「そうっすね。注文しちゃうと、お仕事中の人が配達してきてくれちゃうっす」
「んで、お前がそのシステム使うんだろうけど、行ったことないお店とか、場所わかるもんなの? 道に迷ったりしない?」
「あー多分なんとかなるんじゃないっすかねぇ。ナビみたいなことをしてくれたりもするっすから」
「外国で言葉が通じないとかそういう心配はない?」
「前にちょっと海外に行ったときは、ちゃんと日本語で使えたっすよ」
「なら平気そうか」
「お任せくださいっす!」
「じゃあ来週の今日はもう出かけるわけだな……意外と早いもんだ」
「あの……ちょっと気になってることがあるんすけど」
「なに?」
「五泊目はどこに泊まるんすか? もう戻ってきてるんすよね?」
「あーそれはお楽しみってことで」
「場所わからないと連れていけないっすよ?」
「借りる機体に搭載されている車には自動運転機能があるんだろ? それ使うから平気」
「えー! 自分で運転したいっす」
「一日くらいちょっとは休めよ。休み明けすぐまた仕事で運転するんだろ。少しはメリハリを付けなさい」
「ブー」
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