第30話 依存
「それで週末の注文は決まり、ってことでいいっすか~?」
うーむ、おそらく勘違いをしているな――なぜ私の個人的な注文の確認を配達人が行っているのか。注文はサイト越しに行うことができ、その結果はSNSのアカウントに通知が来るように設定ができるようになっている。配達の進捗についてもSNSに通知が来るようになった。こちらはおそらく配達人がノリでやっている。プライベートのアカウントから当然のように送ってきているからな――さて、返信の内容は、どうしようか?
『その品なら興味はある。注文するかどうかは別途、個人の裁量で決める。その品を当日に配達してくれた場合には感謝する。配達後、速やかに退散していただけると期待する。以上』
こんなところか。無機質かつ最低限の礼儀は弁え、こちらの要求を多少のユーモアを交えて突き付ける――知恵ある相手であれば空気を読んでくれると思うのだが、この難敵に効果があるのかどうか――来たな。
「つれないっす泣
ボクが情報提供をしたのに泣
いっしょに食べたらおいしさ倍増!っすよ!!!!!」
『絵文字を使うのを止めろ。環境依存文字って概念を知っているか? まだまだそういうシステムが利用されている世の中なんだ。わきまえろ』
「ブー」
なにがブーだ! このコミュニケーションがブーだ! 対面の会話でないだけ、私にも幾ばくかの余裕ができて、なんとか普段通りの対処ができているものの、予断を許さない状況が続いている――スルーして逃げたいところだが、逃げたら負けな気がする。ミュートをしてしまうと今後のネットショッピングに悪影響が出そうだ――チェンジ! チェンジしたい! 偉い人助けて!!
「お家に入れてくれないとお届け物の配達が完了しないっすからね~。お腹の中まで届いたのを確認して、ようやくお仕事が完了するっす!」
連投してきやがった――しかもなんか上手い事を言ったと自画自賛をしている雰囲気が漂ってくる――ここは一つマジレスを返すのが良いだろう。
『文末に毎回「っす」を付けるのってどんな気持ち?』
どうだ!
「……親しみが出るかと思ったんっす……イヤならやめるっす……」
素でヘコんできやがった――
『好きでやってるんなら別にいいさ』
「なら続けるっす!」
『「ッス」ならブロックして終わりに出来たんだがな、残念だ』
「なんすかそれ!?」
『気にするな。いつでも打ってくれて構わないぞ(ニヤリ)』
「死亡フラグを立てる趣味はないっす~」
『チッ』
「で、注文は結局どうするんっすか~?」
『ああもう、注文はちゃんとサイトを通すから!』
「二つでお願いしまっす! お金はあとでちゃんと払いまっす! あ、個人間送金の方がいいっすか?」
『なんで二つなんだよ。お前の分にしても、お前が注文すればいいだろ。先週やったみたいに。先週突然乗り込んできた時みたいに!』
「合わせて注文すればポイントもそれだけ多く付くっす~。ボクはポイントは要らないので、貰えるものは貰っちゃってほしいっす!」
『……いいだろう。そういうことであれば二つ注文してやる。お前の分の料金についてはそうだな、その個人間送金のサービスを使うのが良さそうだ。説明は読んだことがあるが、サービスの利用開始はこれからだ。土曜までには解決しておくから、来た時にでも送ってくれ』
「了解でありまっす!」
『……痛いところを突いてきやがって……くやしい……』
「ビクンビクンでありまっすか?☺」
『:yosano_akiko_is_always_watching_you:』
【ポイントプログラム】
利用可能ポイント: 618




