第28話 お手伝い
『だめだ。今日なんとかしろ。明日しくじったらタイムオーバーだぞ。期限ギリギリになんとかしようとするのは、小学生の夏休みの宿題くらいに留めておけ。ギリギリで無理やりアイデアをまとめて文章にしたところで、クオリティの低下は避けられ――いや、なんでもない。とにかく、今日中に解決することを前提に知恵を絞るんだ』
このように、書き直せるはずの文章を口頭のセリフであると勘違いしてしまい、うっかり口にして慌てて止めた――という流れで文字数を稼ごうとしてしまうわけだ。ここはあとで練り直しておかないといけないな。しかしメモをしている余裕がない、早く仕上げなければ――おっと、返信が来たようだ。読み上げよう。
「万策尽きました。こうなったら、もはや奥の手を出すしかありません。特別デート権、交換ポイント二万でいきます!」
……また愚かなことを言い出した。これは完全にアウトだろう。
『やめろ! いきなりそんなプランを出されて今日明日で申し込みがあると思うのか!? 友達プランだって結局、私しか利用していないんだろう? だいたい二万ポイントも貯めているメンバーが存在するのか?』
「それなら所持している全ポイントを消費する設定で!」
『そういう問題じゃない! 倫理的にアウトなことは偉い人だって許すわけがないぞ!』
「どうしてこんなことになってしまったんでしょうか泣」
『それはこっちのセリフだ! ようやく気を取り直したらポイントの有効期限が迫っているとか、この悪夢はいつまで続くんだ! どうしてこんなことをした!?』
「ごめんなさい」
『あやまるのは解決してからにしろ! とにかく私としては、期限切れでポイントが無駄になる事態だけは避けたい。いくら勝手についてきたオマケのポイントだからといって、勝手に失効されるわけにはいかない。気分が悪すぎる。そんなポイントサービスなんて、無い方がマシなんだ。この気持ち、わかってくれるか?』
「一昨日そういう話は散々聞きましたので、承知しております……」
『ん? 誰から聞いた?』
「いえ、なんでもないです。ただの風の噂です」
『イケメン許すまじ』
「イケメンがお好きでないタイプなんですか? それは初耳でした」
『今の発言は気にするな。誰にも言うな、いいな』
「了解であります」
『よろしい――話が逸れた。そうだな――いっそのこと、期間限定ポイントの仕組みをいったん白紙にするのはどうか?』
「え、無しにしちゃうんですか?」
『期間限定っていうところだけを無しにして、普通のポイントの扱いにしてしまうんだ。トライアルなんだし、そういう方針の変更は許されるだろう。メンバーが損をする要素もない――あえて言えば、あわてて交換をしてしまった私が1000ポイント損をしたくらいだ』
「ごめんなさい」
『過ぎたことはもういい。期間限定の友達だったということにもできるし、悪い事ばかりではない』
「えっ」
『えっ』
「それはちょっと……相手側の都合もありますし……いったん落ち着いて考え直してほしいのであります」
『そっちの話は今はいいさ――あんまり考えると頭が――うっ』
「と、とにかく、そうですね。今から何か交換品を用意してっていうのも、ネタも無ければ周知も間に合いそうにないので、期間限定ポイントを通常ポイントに変更する作戦でいかせてもらいます!」
『それがよかろう』
「では、さっそく作業と案内文の作成にかかります! いつも貴重なアドバイスをくれてありがとうです! 助かってます!」
『よい。まともに軌道に乗れば、私としてもありがたく使わせてもらうだろうから、私好みな方向に持っていけるのであれば、嬉しいことこの上ない。それだけだ』
「はい! ご期待にそえるように頑張っていきますので、今後ともよろしくお願いします!」
OK、とリアクションをして、今日のお手伝いは完了っと。多少面倒には感じるもののスリルもあって、それなりに楽しめているし、まあいいか。
【ポイントプログラム】
利用可能ポイント: 618




