第27話 結果
風が心地いい。少し冷たい空気が顔に当たって、いまだ変な回転を続けている私の頭をケアしてくれている。一人でいられるというのはやはり、かけがえのない環境である。たまに体をよじらせてウガーと鳴いても、許してくれる人はいない。そういう人は優しい人だということは、わかっている。しかしそういう人に、私を見られたくはない。恥ずかしさと申し訳なさで消えたくなってしまうのだ。
昨日、何があったのか――思い出したくないわけではなく、思い出せない。断片的になら、なんとかなる。まず、金曜にポイントを交換したら、すぐSNSのアカウントに相手からDMが来て、少しやり取りをした。結果、翌日の午後に会おうと約束した。それで軽い昼食をとってからトイレなどもろもろ済ませて、何も問題が起きない状態であることを確認し、必要そうなアイテムを装備して、いざ向かったのだ――大型ショッピングセンターへと。
フードコートで待ち合わせをしていた。着いたら先客がいた。私より幾分、若いくらいの人が。なんだか柱の周りをグルグルしていたので、不審者かと思ってしばらくコッソリと様子を見た。待ち合わせの時間が迫って来たので仕方なくDMを送ったら――反応があった。やはりアイツか――意を決してそちらに向かい声をかけると返事があった。『ど、どうも。本日はよろしくお願いしまっす!』
「語尾が惜しかった――『ッス』なら私がブチ切れて、その場で終わらせられたのに」
その後のことは、よく覚えていない。フードコートのテーブルを一つ勝手に占領して、コンビニのお菓子やドリンクを少々広げて、いわゆる「お茶」みたいなことをしたはずだ。本来はマナー違反であり、許されざる行為であると思う。でも誰もいないのだから構わないだろう。終わった後でそれなりに掃除をしたし、せっかくの快適な空間なんだし、そもそもそのフードコートでは何も買えないではないか。たまにはそうやって使ってもバチは当たらないはずだ。
あと覚えていることといえば、自宅に戻ってウーパールーパーの出前を受け取った時のことくらいだ。水曜か木曜か――どっちか忘れたが、サイトをあさっていたら、たまたま土曜にクーポンで安くなる掘り出し物を見つけた。それだけが生きる希望となって、なんとかショッピングセンターでのクエストを耐え抜いたのだ。自分へのご褒美というモノは必要なんだと実感しつつ、SNSに配達完了の通知が届いてすぐ、ドアを開けたのだ。
「なぜ――どうして――」
「毎度おなじみウーパールーパーのお届け物でっす! これ美味しいんっすよねー。ボクも自分の分を注文して持ってきたので、一緒に食べましょー」
「え――は?」
「今日はこれで上がりなんっす。あとで帰るときに容器は回収するっすー」
「……」
その後のことは何も覚えていない。気がついたら、いつものように公園のベンチに座っていた。日曜だからね。
【ポイントプログラム】
利用可能ポイント: 618
うち期間限定ポイント: 500
有効期限: 2023-02-28




