第23話 目的
『話がきちんと伝わっていないようだ。そもそもの問題として、その友達とやらは、どこから調達をしてくるつもりなんだ。何人必要になると想定している? 申し込みが殺到したり、チェンジを要求されたり、トラブルに発展したり、考えれば考えるほどに問題しか出てこないのはわかる? まだ交換の希望が来ていないという話が本当なのであれば、今のうちに撤回するべきだ。言い訳はいくらでも用意してやるから安心しなさい』
愚か者め、なんて強情なんだ。先週に叩きつけた怒りの鉄槌によって、私に歯向かう気持ちなど粉微塵になって飛んでいったと思っていた。なかなかどうして折れない。執拗に食い下がってくる。サービス提供者は私ではないのだから、私に止めさせる権限など無いだと!? この暴君め……やりたい放題やったところで、誰にも相手にされなくなる未来しかないんだぞ、って、うーん。もう返事が来たか、早いな。どれ、読んでやろうか――
「問題は無いです。スタートアップメンバーの人数と同数、友達候補となる人物は揃っています。候補者はキチンと状況を理解しています。むしろこれまで友達がいなくて、ほしくてしょうがなくて今回の話に乗って来たのです。ダメでもともと、イベントとして楽しめれば、それだけでもうれしいとのことです。まんがいち、ポイントを交換された方にたいして粗相があったら、頂いたポイントは返却いたします」
くっ、愚かなことを……すぐに返信だ!
『ポイントを返すから許してね、というのは最悪の対応だ。だいたい期限ギリギリの期間限定ポイントを返されたところで何になる? 一度失敗した交換品なんて、二度と申し込むものか! 失効してしまうのは目に見えている。しょっぱなからそんなリスクを抱えてどうするんだ。もっと無難に攻めろ。この際、ウーパールーパーのマスコットでも構わない。アレは意外とかわいいから、ぬいぐるみにすれば案外ウケるかもしれない。私だったら交換する! 1500ポイントだとしても使ってやる!』
「それはそれでいい案ですけれども、ぬいぐるみを作ってもらう伝手がありません。ボクは手先が不器用なので、ぬいぐるみは作れません。まずは友達で通させてください。トラブったら後日ぬいぐるみをお送りしてお詫びとする、という形ならどうでしょうか?」
『なぜそこまで友達にこだわる? その交換品を提供する目的はなんだ? 私がそれを最初に聞いたのに、はぐらかしたのは気付いているぞ。今度はちゃんと答えろ! まともに答えられないのなら、こんなポイントプログラムなんかぶっ潰してやる! しかるべきところに通報して、必ず終わらせてやる! 覚悟しろ!!』
「友達がほしいって、それだけなんです。ポイントを頂くからには、誠心誠意つくすとのことです。なんでそんなに嫌がるんですか? 交換したくない人は、しなくてもいいのに」
「あっ」
「交換しないでってワケじゃなくて」
「その」
「ごめんなさい」
「交換してくれるとうれしいなって、ただそれだけで」
「あなたにはお世話になっていますので、ぜひ交換して欲しいです!」
「お願いします!」
「交換してくれたら1000ポイントあげます!」
『おい』
「もちろん期間限定じゃないヤツです!!」
『おちつけ!』
『私を特別扱いしなくていい。公私混同し始めたら終わりだぞ。別に嫌なわけじゃない。ただ常識からかけ離れすぎていて、私も困っているだけだ。交換するかどうかは、ちょっと考えさせて欲しい』
「わかりました。お返事待ってます」
……ああ、追い込まれてしまった。こんなはずでは……
【ポイントプログラム】
利用可能ポイント: 1609
うち期間限定ポイント: 1500
有効期限: 2023-02-28




