第20話 考察
「あのバイク、ウーパールーパーの人が運転してるのかなあ」
ふわあーっとアクビをしながら、ふと視界の隅に入ってきたバイクを眺めつつ、なんとなくそう思った。日曜の午後のこのぐうたらタイムは既に私の身に沁みついた。季節柄寒いのがちょっといただけないところではあるものの、防寒着をしっかり着込んでいれば問題は無い。屋根もあるから、ちょっと天気が悪いくらいでも気にならない。さすがに台風とか来たらダメだろうけどね。
「それにしても、100円で1ポイント切り捨てとか、まともに貯まるのかアレ」
消費先が無いから気にする必要はないだろうか。そんなことより、目先の問題は有効期限が迫っていることだろう。なぜ消費する当てがないポイントの有効期限を設定してしまったのだろうか。やってしまった本人は、そのことに全く気がついていなかった。アホすぎて話にならない。宿題として1000ポイント程度の消費先を自分で考えろと言ってあるものの、何が出てくるかわからないのが怖いところだ。
「まあ、スタートアップメンバーはかなり人数を絞っていたみたいだし、その点だけは評価できる」
私みたいな目に遭っている哀れな住人は、ほとんどいないとのことだ。ポイントサービスが軌道に乗るまでは一般公開はしない、という約束を偉い人としていたみたいで、さすがは偉い人、よくわかっていらっしゃる。アレは控えめに言ってアウトだ。悪意も実害も無かったのが唯一の救いだ。現金と絡めると法律だのなんだので面倒なことになるだろうから、あくまで昔からよくあるスタンプカード的な扱いに留めろ、とまずは私からも釘を刺しておいた。
「そもそも素人がどうこうできるサービスじゃないんだよなあ」
下手に導入して下手を打った会社は昔からよく見てきた。つい最近もそういうのがあった。セキュリティで問題を起こしたりなんてしたら目も当てられない。仮想通貨だなんだと言い出したら、もはやわけがわからなくなる。長く続いているポイントなら、まあいきなり変なことになったりはしないんじゃないか――いや、そうとも言い切れないかも――ポイントは恐ろしい。
「それにくらべて、ここは本当に平和だ」
こうしてのんびりするのも、もう四回目になるか――私がこんな時間を一週間のルーチンに取り入れることになるなんて、昔なら全く想像ができなかった。のんびりするといえば、自宅でパソコンをだらだらと操作し続けることであり、その目的を果たすべく寛げるインテリアを揃えることに精を出していた。ゲーミングチェアとかそういう類の話である。
「それはそれで良いものではある――しかし、これもこれで良い」
帰るころには、ちょっと体が痛くなっていたりするのだろう。公園のベンチに究極の快適さを求めてはいけない。ちょっと座らせてもらっているだけだ。帰り際に歩くことで、その軽い怠さもほぐれるのだから、問題はない。むしろ居心地が良すぎたら帰れなくなるではないか。そろそろ帰る良い頃合いだよ、と教えてくれる機能を持っているのだ。なかなか奥が深い――
「ちょっと頭を働かせすぎた気がするから、またしばらくボーッとするか……」
【ポイントプログラム】
利用可能ポイント: 1609
うち期間限定ポイント: 1500
有効期限: 2023-02-28




