第13話 今後
「あー……なんか太陽の向きが違うような……」
ぐっすり眠ってしまっていたようだ。防寒対策をしっかりしていたら、わりと穏やかだったので、うつらうつらしていたところまでは、なんとなく覚えている。気がついたらこんなところでグッタリ座っているなんて、夢でも見ているのだろうか? ここは緑あふれる公園のテラスだぞ。
「ピクニックをして一旦家にゴミを持ち帰ってから、ペットボトルだけ持ってここに来たよね。覚えてるよ」
こんなところでグーグー寝ているとか、油断するにも程がある。身につけている貴重品といえば家の鍵くらいではあるものの、自分の身だって、それなりには貴重だろう。この世界にいるのは私一人ではないということは、おととい確実に判明したではないか。現実離れしたイケメンであったとはいえ、人であることには変わらない。いきなりイケメンが襲ってきたらどうする。
「……ただしイケメンに限る? さすがにそれはないだろう」
なぜかこちらが悪いことにされたら大変だ。家の外で気を緩めまくるのは程々にしておかないと、いつどんなモンスターに遭遇するか、わからない。この世界がおかしくなっていることは確かなのだ。今のところは可笑しいだけだが、いつまでも奇跡が続くと勝手に思い込んでしまうのは良くない。良いことがあれば悪いこともあるものだ。
「まあ、これまで悪いことが続いていたから、ちょっとくらいは良いことがあってもいいんだよね……?」
無人島でサバイバル生活とかできるわけないし、チート能力なんて微塵も無いからファンタジーの世界でスローライフを送れる気もしない。私にとって最低限必要なことがなぜか上手く回っていて、それでいて静かな生活を送ることができるこの世界は、まさに私にとってかけがえのない世界だ。これはもう間違いない。私はここで生きていきたい。
「でもよくよく考えると、銀行の窓口に行かなきゃいけなくなったり、役所の手続きとか必要になったら、どうすればいいんだろ……」
普段は全然関係を持たないで済みそうではある。でもなにかトラブったりしたら詰みそうな気がする。口座を凍結されたりとか、なんかまた特殊な政策が始まったりとか、そうでなくても選挙が近づいてきたらどうするんだ……誰が立候補するんだ……私は嫌だよ……? あのイケメンさんが立候補するんなら、頼まれなくても投票してあげよう。
「やっぱりいろいろ問題が出てきそうではあるよなあ」
まあでも、困ったときはゴミの回収を出待ちして、ちょっと相談してみればいいよね。他にも話が通じそうな人に出会えれば、その人と相談するのでもいいし。ていうか、あのイケメンはイケメン過ぎて気が引けるから、もうちょっと接しやすい人がいるといいなあ。ウザいのは軽くスルーするけどね。語尾に「ッス」とか付けてきたら一発アウトだ。何故かは聞くな。
「さて、そろそろ帰るか。明日はペットボトルの日だけど……これだけ出すのもなんだし、来週にまとめて出せばいっか」




