第11話 ごみ収集車
ピーッ、ピーッ、と音がする。いつもの収集車だ。近くで見ると迫力があるし、音がウルサイ――うん、来ちゃった。
「あ、どうも。いつもお世話になっています……」
「……どうも」
「最近越してきたわけではないんですけど、なんか迷い込んじゃったみたいで」
「困っている事とか、ありますか?」
「いえ! むしろ、こうやって回収してくださっていて、本当に助かっています。お礼を言いたくて、来ちゃいました」
「仕事ですから。いいんですよ、お気になさらず――ああ」
ん? 私が出したゴミの袋を見ている。
「どうかされましたか?」
「できればなんですけど、プラの回収にご協力いただけるのでしたら、プラだけにしていただけると助かります」
「え? 他のが混じっちゃってました?」
ヤバ! うっかりしてたか……!?
「うーんと、おそらく分別を意識されているとは思うんです。他の日と比べても、その傾向はありますので」
「え、ええ。一応は……」
「ただ例えば、このお弁当の入れ物なんかは、生ごみがついちゃってます」
「あ……」
「洗って乾かしてから、まとめてくださるのがベストです。落としきれないものは、燃えるごみとして出しちゃってください」
「そういうルールだったんですね――よく確認していなくて、申し訳ありません」
「いえ、こういうルールは余所では違いがあったりしますし。私もちゃんとお伝えしていなかったので、落ち度はこちらにあります。今後ご協力いただければ嬉しいというだけですので」
なんというイケメン。見た目だけじゃないとか奇跡かよ……
「もちろん協力させていただきます! 他にも改善した方が良いことがあったら指摘してください!」
「そうですね――でしたら、あとはペットボトルでしょうか」
「潰した方が良いという事でしょうか」
「それもありますが、ペットボトルの回収は別の日にやっていますので……」
なにーっ!?
「そ、それは知りませんでした……ちなみに何曜日でしょうか? お教えいただけるとタスカリマス……」
「月曜日です。ペットボトルの他に、びん、缶なども、その日に回収しています。明日の回収の時にパンフレットを持ってきますよ。お宅をお教えいただくか、またここでお会いするのでも構いません」
「あ、お教えしますので、郵便受けにでも入れておいてください! 何から何まで助けていただいて、感謝のしようもございません……」
「困ったときは、お互い様です。それでは明日から、よろしくお願いします」
「こちらこそ、今後ともどうぞよろしくお願いいたします」
ああ、久しぶりに生で人と会話した。何か月ぶりだろう。喋る練習をしていて本当に良かった。イケメンを目の前にして、うー、あー、とかなってたら通報されてしまうところだった。お近づきになりたいとかそういう事ではなく、不審者として認識されたくなかったのだ。
しかし、やってしまっていた。分別、ちゃんとできていると思ってたんだけど――洗わなきゃダメなのか。メンドクサイ。コップも洗わなきゃいけないなら、もうプラのコップを使い捨てにする生活は止めようか。SDGsに貢献する日が来たという事にして、まずは普通のコップを買うか――この前たしか、割れないコップをネットで見たな。あれをさっそく注文するか。届くまでは、どうしようか。
「残りのコップを洗って捨てるしかないか」
あ、あと、洗った生ごみが流しから配管に流れていくと詰まったりしてヤバそうだから、そこら辺の対策も必要か――そういうの嫌だから、みんなまとめてプラごみとしてポイってしてたんだよね――ダメなのかー! うわーん!!




