こちらも罠を仕掛けましょう
どうやら、罠を仕掛けてきたのは、山崎センパイのようです。
愛華さんと夏さんが調べてくださったんです。
お二人が『間違いない』と言われたのですから、絶対確実なことのはずです。
お二人ともありがとうございます!
おかげで、こちらもしっかり山崎センパイ用の罠を仕掛けることができました。
もし何かあっても対処できるように、約束の時間の1時間前に、待ち合わせ場所に行きました。
そして、約束の30分前には、館山さんがやって来ました。
物陰からこっそり観察していると、館山さんの周りには、ちらちらと彼の様子を伺っている女の子や、声をかけようか相談している女の子たちがいました。
実際に声をかけられた大学生風のお姉さまたちもおられましたが、やんわりとお断りしていました。
……幼馴染みたちにはできない芸当ですね。
そうやって、20分ほど観察をしてから、約束の場所に向かいました。
「やあ、京香ちゃん。」
「館山さん、すいません!お待たせしてしまいました!」
「いや、まだ約束の時間の10分前だよ。…僕が、京香ちゃんに会うのが楽しみすぎて、早めに来ちゃっただけなんだ。」
「だったらいいのですが……。」
「それよりも、今日もとっても可愛いね。この間も可愛かったけど、今日の京香ちゃんは少し大人っぽくて、それも可愛い。もちろん、どんな格好したって京香ちゃんは可愛いけどね。」
「館山さんも大人っぽくて、かっこいいです。」
「本当?京香ちゃんにそう感じてもらえたんなら嬉しいな。」
「かっこいいから…隣歩くのに、釣り合わなかったら恥ずかしいし……。」
「もしかして僕のためにおしゃれしてくれたの?…だったら嬉しいな。それに、京香ちゃんが僕に釣り合わないなんてあり得ないよ。僕が京香ちゃんに相応しくないっていうのはあってもね。」
「そんなことっ……。」
「そんなことある。こんなやつが京香に相応しい訳がないだろうが。」
「リュウ!」
打ち合わせ通り、リュウが現れてくれました。
でも!
後ろからぎゅ~っと抱きしめたり、髪の毛に口付けたり、『なあ?京香』と耳元で囁いたりするのは計画にはありませんでしたよね!?
いくら幼馴染み相手といってもやりすぎです!
公衆の面前ですよ!?
注意しなければ!
「リュウ!こういうのは家の中だけにしてください!!!」
リュウはなぜだか、呆気にとられた顔になり、そのあとひとしきり笑ったかと思うと、
「分かった分かった。悪かったよ。」
と謝ってくれました。
ほっとして館山さんのほうを向くと、怒りのオーラが感じられました。
表情は変わらないのですが、静かに怒っている気がします。
「京香ちゃん……もしかして、その人彼氏?」
「違います!幼馴染みなんです!」
「へえ?幼馴染み?じゃあ、申し訳ないけど、君、京香ちゃんから離れてくれないかな?僕、京香ちゃんのことが好きなんだ。ほかの男がくっついていると不愉快なんだ。君だって、男なんだからこの気持ち分かるだろう?」
「ああ、分かるな。」
そういって、館山さんの方へリュウが顔を向けると、館山さんは、一瞬動きを止め、そのあとはみるみるうちに様子が変化していきました。
余裕綽々だった態度は、落ち着きがないものへ。
微笑みを浮かべていた顔は、緩んだ顔へ。
笑っていなかった目は、リュウに釘付けに。
ああ……これは堕ちましたね。
さすがリュウです。
女の子にももちろんもてますが、老若男女がリュウに夢中になるだけはありますね。
今も、館山さんだけでなく、周りの人が足を止めて、リュウに見惚れています。
……一応今も、リュウは私にべったりくっついているのですがね……。
「リュウ、こちらが館山さんです。」
「へえ、お前が『館山さん』?」
リュウが、目を菅めて舘山さんを睨み付けます。
それだけで、館山さんの顔が焦ったものになり、挙動不審になります。
「お前程度が、俺の京香に一目惚れだあ?思い上がんな。俺の京香がお前ごときに心を動かす訳ないだろうが。」
「ちがっっ……!」
ああ、いい感じです。
このまま、白状していただいて、一気に長澤センパイを追い詰めるための証拠になっていただきましょう。




