敵に喧嘩を売るよお(愛華視点)
なっちゃんと別れたあと、まずは、授業に向かう。
京香ちゃんが心配で心配で心配で、すぐさまあの女たちを問い詰めに行きたい気持ちはあるし、あんまり勉強は好きではないけれど、我慢する。
私は、あんまり女の子受けがよくないのを自分でも分かっている。
男の子や男の先生には気に入られても、女の子や女の先生たちには受けが悪かった。
だって、どう考えても、私は典型的なぶりっ子だもんねえ。
……今までは女の子たちに嫌われても何とも思わなかった。
女の子は、綺麗な同姓を嫌う。
女の子は、何にでも優劣をつけたがる。
女の子は、陰口を言う。
女の子は、好きな男のためなら何でもする。
女の子は、友だちのものをチェックする。
女の子は、すぐに仲間外れにする。
女の子は、すぐに裏切る。
どれだけ仲良くしてても安心できない。
それが女の子。
だから私は男の子だけでいい。
男の子は、やさしくしてくれる。
男の子は、ちやほやしてくれる。
男の子は、女の子たちから守ってくれる。
……そう思っていた。
でも、今は、京香ちゃんもなっちゃんもいる。
私の評価が、京香ちゃんやなっちゃんの評価にもつながると知ってから、なるべく優等生になるよう努力した。
今もそう。
長期的に考えて、授業はさぼれない。
気になるけれど、センパイたちのところには放課後に行くことにした。
嫌いな授業が終わって、センパイたちのところに行くことにする。
まずは、長澤センパイのいるだろう弓道部から!
山崎センパイのほうが怪しいけど、山崎センパイはどこにいるか掴みにくいんだよね。
長澤センパイ怒らせて、案内してもらおう。
きっと、長澤センパイには、罠仕掛けるような頭はないよね?
あるとしたら、山崎センパイの入れ知恵だろうしね。
いた!
ラッキーなことに、入り口近くにいたので、直接声をかける。
「すいませえん。わたしい、レンくんに用事があるんですがあ。」
「レンくんに用事?何の用?」
「それはあ、レンくんに直接はなしまあす!」
「私は、彼女だもの!聞く権利があるわ!」
「……彼女お?そうなのお?レンくん?」
「ちがう。勝手に言っているだけだ。」
「だよねえ~。」
「レンくうん。いくら恥ずかしいからってえ、そんなこと言われるとお、私悲しいぃ~。」
「僕の彼女にしたいのは京香ちゃんだけだ。」
「また無理矢理言わされてるのお?可愛そうなレンくん!私がちゃんと抗議しておくから!」
「うふふふふっっっっっ!!!おかしい~~~!!!」
「何がよっ!?」
「うふふっっっ。分かりましたあ。じゃあ、長澤センパイでいいので、来てくださあい。あっ!彼女としてじゃなく、部長としてですからあ!」
「なんでえ?」
「だってえ、長澤センパイのってえ、ただの妄想なんですもん。」
「妄想!?」
「はい~。高校生にもなって、廚2って痛々しいですよお?そろそろお、自分がレンくんに嫌がられてるって気付いたらどおですかあ?」
「あんたっっっ!!!」
「はあい?お話はあっちで聞くので、移動してくださいねえ。」
まったくう~!
レンくんの言い方ったらあますぎい~!
きっと京香ちゃんしか頭にないからあ、ほかの女共のことが分からないのよねえ。
百合の花ってのは、飾っておくと見た目は綺麗だけどお、近くは花粉で汚れるのよねえ。
あらかじめ、ちゃあんと雄しべが近くに来ないようにしておかなきゃあ。
それにい、根も案外丈夫なのよね~。
ちゃあんと、根も引き抜いてえ、二度と花が咲かないようにしなくっちゃあ♪
「センパイもお、そう思いません~?」
「あんたっ!」
「何ですかあ?」
「許さないからっ!!!あんたもあの性悪女もっっっ!!!!!」
ただでさえ低かった機嫌が、更に低くなるのが分かる。
身体は芯から、スーっと冷えていく。
「……許さない?」
ああ、甘い甘い声以外を出すのは久しぶりだ。
あの子が私を認めてくれたから、私を友達と言ってくれたから、私を親友にしてくれたから。
「許さないのはこっち。」
「情けをかける必要がなくてえ、安心しましたあ。」
いつもの甘い甘い声に戻し、自分にできる最高の笑顔を作る。
もう怒っちゃお!だって、喧嘩を売ってるのは私なのに、京香ちゃんのことまで言うんだよ?
……これだけ言えば、山崎センパイのとこに行くだろうから、二人に思いっきり喧嘩売ってえ、叩きのめしちゃお♪




