↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
8/27

この世界のことが少しずつ分かってきた

 この世界で暮らし始めて一年。


 最近になって、少しずつ分かってきたことがある。


 まだ知らないことのほうが圧倒的に多い。


 それでも、一年前と比べればかなり違う。


 毎日のように周囲の会話を聞いているうちに、この国のことや、俺の家のことが少しずつ見えてきた。


   ◇


 まず、この国について。


 俺が今いる国の名前は――アルバニア王国。


 これは、屋敷の中で何度も聞いているので間違いない。


「王都からの知らせです」


「王都では――」


 そんな会話を使用人たちがしている。


 どうやら、この国には王様がいるらしい。


 そして、王都には王宮があり、国の中心になっている。


 父さんも王都へ仕事に行くことが多い。


「旦那様は本日も王都へ?」


「ああ。戻りは夕方になるそうだ」


 そんな会話もよく聞く。


 王都以外にも、町や村があるらしい。


 ただ、俺はまだこの屋敷の外をほとんど知らない。


 だから、国がどれくらい広いのかも分からない。


 王都がどれくらい大きいのかも分からない。


 魔法がどれくらい一般的なのかも分からない。


 知らないことばかりだ。


   ◇


 次に、俺の家。


 アークライト家。


 この一年で、ここが貴族の家だということは、もう理解している。


 屋敷は大きい。


 部屋も多い。


 使用人も何人もいる。


 父さんは「旦那様」。


 母さんは「奥様」。


 俺たち子供にも、それぞれ世話をしてくれる人がいる。


 前世の普通の家庭とは、まったく違う。


 父さんの名前は、グレン・アークライト。


 母さんの名前は、クラリス・アークライト。


 普段はみんな「旦那様」や「奥様」と呼んでいるので、名前を知ったのは、屋敷の中で交わされる会話を聞いていたからだ。


 そして、父さんには爵位がある。


 ――子爵。


 つまり、アークライト家は子爵家だ。


「子爵……」


 前世でも、その言葉自体は知っていた。


 貴族には爵位がある。


 そんな程度の知識だけはある。


 ただ、この世界で子爵が具体的にどれくらいの立場なのかまでは分からない。


 そして、アークライト家にはもう一つ特徴がある。


 領地を持っていない。


 自分たちで治めている町や村があるわけではないらしい。


「領地を持たない子爵家か……」


 それが今の俺の家だ。


 父さんは王都で仕事をしている。


 屋敷には母さんと俺たち子供がいて、使用人たちが家を支えている。


 少しずつ、この家の形が見えてきた。


   ◇


 そして――。


 俺が一番気になっているもの。


 ステータスに表示されていたものだ。


 俺は今でも、ときどきステータスを開いている。


【名前】レオン・アークライト

【年齢】1歳

【性別】男

【種族】人間

【スキル】召喚魔法


 何度見ても、この表示は変わらない。


 ただ、最初に見たときから気になっていることがある。


 ――「スキル」という言葉だ。


 俺は、この世界で一度もこの言葉を聞いたことがなかった。


 前世の記憶にはある。


 ゲームや漫画、小説なんかでは見たことがある。


 でも、それはあくまで前世の知識だ。


 この世界で誰かが「スキル」という言葉を使っているのを聞いたことはない。


「……スキルって、こっちの世界じゃ何なんだ?」


 俺には分からない。


 ステータスにはそう表示されている。


 だから、俺の中では「何か特別な能力のようなものなのだろう」と考えているだけだ。


 そして、その欄にあるのが――召喚魔法。


 分からないことだらけだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。