一歳になっても魔力は分かりません
――あれから、九か月が経った。
俺は一歳になった。
この一年で、いろいろなことが変わった。
首は自由に動かせるようになった。
寝返りもできる。
最近では、つかまり立ちまでできるようになった。
まだ歩くことはできないが、少しずつ行動範囲も広がっている。
兄のカイルは五歳になり、姉のアリシアは三歳になった。
二人は相変わらず母さんのところへよくやって来る。
そして、俺にも構ってくれる。
「レオン、こっち!」
「いっしょに遊ぼう!」
二人にだっこされたり、おもちゃを渡されたり。
以前よりもずっと、家族と過ごす時間が増えた。
そんな日々の中で、俺にはずっと続けていることがあった。
魔力を感じること。
前世の知識にあった「丹田」というものを思い出してから、おへその下あたりを意識してみたり、呼吸に集中してみたり。
暇があれば、何度も試してきた。
「……今日も何も分からない」
座ったまま、俺はゆっくりと息をする。
お腹に意識を向ける。
特別な感覚があるわけじゃない。
何かが見えるわけでもない。
ただ、自分が呼吸していることを意識できるだけだ。
それを何度繰り返しても、魔力が感じられるようにはならなかった。
「……やっぱり分からないな」
この一年、何度も試した。
けれど、魔力らしいものを感じたことは一度もない。
たった一度もだ。
「そもそも、これで合ってるのか?」
前世で見たり読んだりした知識を頼りにしているだけだ。
この世界で同じ方法が使えるという保証はない。
それでも、今の俺には他に方法がない。
でも――。
「一歳じゃ、まだ早いのかもな」
そう考えることにした。
身体は少しずつ成長している。
歩けるようになれば、できることはもっと増える。
言葉を話せるようになれば、人から魔法について聞くこともできる。
今は無理に答えを出す必要はない。




