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転生先は婚約破棄の真っ最中!?〜聖女は王子と結ばれて、今度はあーしが婚約するらしい?〜  作者: おやまみかげ(・8・)


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第六話 婚約者だから。


「これかわいい! あ、こっちもかわいい!」

「……何が違うんだ?」

「なにがって、全然違くない?」

「具体的にはどのあたりが違うんだ?」

「ここの模様」


 タイガに連れていってもらったお店でケーキを食べた後、近くにあったハンドメイドのお店を覗いていた。

「こんな小さな店でいいのか?」と言われたけど、手作りには手作りにしかないよさがある。


「……わからない」

「え? こんなに違うじゃん、よく見てよ」

「よく見ている。しかし、わからない」

「そっか。男の人って、あんまりこういうの興味ないもんね〜」

「装飾品など、使わないからな」

「でもさ、大切な人に贈ることがあるかもしれないじゃん?」


 異世界では、あんまり贈り物ってしないのかな?

 でもあーしが読んでたラノベでは、贈り物してたなぁ。

 やっぱり人によるんかな? 現実でもそうだしなぁ。


「……ユイはどちらが好みだ?」

「うん? どっちもかわいいと思うよ?」

「いや、そういう意味ではなくてだな……」


 はい? じゃあどういう意味だよ。

 なんかソワソワしてるし。


「だから、その……」

「うん、どうした?」

「……買ってやると言ってるんだ」

「いや、大丈夫!」

「……は? かわいいと言っていただろう」

「うん、かわいいと思うよ!」


 あーしの言葉に、タイガは首を傾げてる。

 

 いや、めっちゃかわいいとは思う!

 でも欲しいか? って聞かれたら違うんだよねぇ。


「……本当に意味のわからない女だ」

「そう? てかどしたん急に」

「……婚約者なんだから、贈るのは当然だろ」


 あー、そゆことね。義務的なやつもあるんだ。

 なんか大変だね、こっちの男の人って。


 つか、めちゃ眉間に皺寄ってるけど……怒ってる?


「あーし、そういうのいらないから大丈夫!」

「いや、大丈夫とかではなくてだな」

「それに欲しいのあったら自分で買うし!」

「いや、だからそれでは……」

「ダメなの?」

「ダメというか、婚約者に贈り物もできない家だと思われるのは困る。俺も一応、爵位を継ぐことになっているからな」


 あー、なるほどね。

 それだと買ってもらった方がいいときもあるんだ。

 でもなぁ、買って! って言うのも違うしなぁ。


「じゃあどうしたらいい?」

「……どちらか選んでくれると助かる」

「なるほど、じゃあこっち!」

「買ってくるからそこで待っていろ」

「ほーい」

「すみません、これを——」




 *


「タイガ、ピアスありがと!」

「礼を言われるほどの物じゃない。安物だしな」

「安いかどうかって関係なくない? あーしがかわいいと思った物を、タイガが買ってくれた。だからありがとうじゃん?」

「よくわからない理屈だ」

「いや理屈じゃないっしょ……」


 でも買ってもらっちゃった!

 そいえば、現実でも男子から物もらったことなかったな。

 彼氏だって、別に断る理由ないから付き合ってただけだし。

 まぁそれも引っ越すときに切れた縁だけど〜。


「嬉しそうだな」

「嬉しいよ! あーし、男の人に物もらうの初めて!」

「それは意外だ」

「タイガもあーしが遊んでると思った感じ!? 失礼だなー」

「いや。ユイは明るいから、男が放っておかないだろうと」


 ……は? こいつ、真顔でなに言ってんの?


「いやいや、急になに言ってんの!?」

「お前は鳥頭でバカだが、明るくていい奴だと思う」

「……なんかほぼディスってね?」


 別にいいんだけどさ。もう慣れたよこいつのディスり。

 

「お前はまた、意味のわからない言葉を……。令嬢教育が必要だな」

「令嬢教育?」

「あぁ。テーブルマナーや言葉遣い、そういったものの教育だ。ユイは今日から家に来るわけだが、明日からでも——」

「ちょっと待って!」

「なんだ?」

「今、今日から家に来るって言った……?」


 いや、言ってない。言ってないな。

 聞き間違いだよ! そうそう!


「当たり前だろ。お前は婚約者なんだからな」

「いやおかしいでしょ!! 婚約だって、さっき決まったことじゃん!? なんでもう一緒に住むことになってんの!?」

「婚約者だからだろ」


 その真顔やめてくんないかな!?

 ……婚約者だから、って言えば全部許される世界なん?

 

 つか親とかさ、知りもしない女連れてきたらびっくりしない!?

 するよね!? します!! 絶対しますよ!?


「いやだってさ、あーしタイガのご両親とか知らないし」

「安心しろ。親はほぼ不在だ」

「いや余計おかしいね!! 男女が一つ屋根の下だよ!?」

「当たり前だろ?」

「婚約者だからね!! そう言うんしょ!?」


 いやね、住むとこどうしよう思ってたよ!?

 いつまでも王宮の救護室いられないしね!!

 でもさ、リーンの家とかニアの家とかあるじゃん!?


「何をそんなに気にしているんだ?」

「いや気にするでしょ。今日初めましてだよ? タイガは嫌じゃないの?」

「嫌ではないが。ユイは嫌なのか?」

「いや、嫌なわけじゃないけどさ……」


 いやそういう問題じゃなくない……?

 それともこっちではこれが普通なの? 常識なの?


「なら、問題はないな。明日からも共に通学するが、家の馬車を出す」

「いや、別に馬車じゃなくていいんだけど……」

「それから俺は、リーン様の護衛騎士から外れることになる」

「え? なんで?」

「ユイと婚約しているからな。それにリーン様は王太子妃になるお方、王宮直属の護衛騎士が派遣されるはずだ」


 ……なにそれ。

 それって、あーしのせいでタイガは護衛騎士外されるってこと?


「タイガはそれでいいの?」

「何がだ?」

「リーンの護衛騎士、外されてもいいの?」

「構わない。元々幼馴染だから指名されていただけだ。それに……」

「それに?」

「……他人の婚約者より、自らの婚約者を護るのは当たり前だろ」


 ——こいつ、こういうこと平気で言うのかよ。


 


 婚約者ギャグになっとる



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