↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生先は婚約破棄の真っ最中!?〜聖女は王子と結ばれて、今度はあーしが婚約するらしい?〜  作者: おやまみかげ(・8・)


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/16

第十三話 本当にただの幼なじみ?


 終業の鐘が鳴り響くのと同時に、こっちに近づいてくる足音。

 そんなものを気にも留めず、隣に座るリーンは帰宅の準備を進める。


 ……放課後になっちゃったよ。


 急にあんなことされるもんだから、正直授業どころじゃなかった。


「ユイ様、帰りましょうか!」

「……あ、あのさリーン」

「どうされました?」


 言わなきゃ、タイガに誘われてるって。

 

 だってほら、タイガは一応婚約者だし。

 行くも行かないも返事してないし……。


「ユイ様?」


 リーンが心配そうに顔を覗き込んでくる。

 ちょっと暴走気味だけど、彼女は悪い子じゃない。


 ……あーし、ずっと心配かけてるな。


「あのね、今日なんだけど——」

「リーン様、ユイは俺と約束しているので」


 誘われてることを伝えようとしたタイミングで、タイガが話に割り込んできた。

 それを聞いて、リーンがあからさまに不満そうな顔をする。


「タイガとですか? 本当に?」

「本当です。そうだろ、ユイ」

「え、あ、まぁ……そうだね」


 約束したわけじゃないけど、誘われはしたし……。


「ふーん……そうですか、わかりました。帰りは何時頃になる予定ですか? ユイ様がお帰りになるまでに、お部屋の用意を済ませておきますので」

「ですからユイは俺の家でみます。リーン様はどうぞ、お気になさらず」

「気にしているのではなく、帰宅時間を確認しているのですよ?」

「それが不要だと申しております。カンパニュラ家には帰りませんので」


 ひぇぇ、怖いんですけど……。

 

 てか二人って一応、主従? なんだよね?

 でも幼なじみでもあるから、言葉がていねいなだけで遠慮がないな。


 ギャーギャー言い合いしてると思ったら、なぜか二人がこっちを見ている。


 ……なになに? 一体なによ!?


「ユイ様はわたくしと生活したいですよね!? ね!?」

「ユイ、俺の家に何か不満でもあるのか?」

「不満はもちろんありますよね? 相手はタイガですから」

「おい、じゃあ何故俺を婚約者に指名したんだ。他の男にすれば良かっただろ」

「他に手頃な男性がいなかっただけですが?」

「手頃……」


 すみません、どっちも素が出てきてますけど大丈夫ですか?

 まぁ、教室にほぼ生徒もいないし問題ないか。


 ……でもなんかいいなぁ。幼なじみって感じで。

 護衛騎士になるまでは、こんな感じだったのかな?


「……ユイ、何笑っている」

「ごめんごめん! 幼なじみっていいなぁって思ってさ!」

「何も良くありません。ただの腐れ縁です」

「リーンの言う通りだ」

「あの、わたくし聖女ですからね? 様を付けてください、様を。ユイ様とシルヴェスター様以外、呼び捨てを許した覚えはありません」

「別にいいだろ……。もう俺はお前の護衛騎士でもないんだからな」


 そうなんだ。じゃあ正式に外れたのかな?

 ……それで、いいのかな。こんなに仲良さそうなのに。


「ユイ、どうした?」

「タイガはさ、リーンの護衛騎士じゃなくなっても本当にいいの?」

「前にも伝えたが、幼馴染だからやっていただけだ」

「本当にそれだけ?」

「そうだが?」


 質問の意味がわからない、とでも言いたげな顔だな。

 ……でもさ、こんなに仲良いのに? 本当にそれだけ?


 思わず眉間にシワが寄る。

 そんなあーしを見て、リーンが吹き出した。


「ふふっ、大丈夫ですよユイ様。本当にただの幼馴染ですから」

「え!? いや、あーしは別になにも……」

「……何の話をしている?」

「別になんでもない!!」

「何でもない反応じゃないだろ」

「なんでもないってば!!」


 聞いてこようとするタイガの身体を押しやる。


 そんなあーしたちのやりとりを見ていたリーンが、クスクスと肩を揺らしながら口を開いた。


「どうやら余計なお世話だったみたいですね。タイガ、ユイ様を頼みましたよ」

「当たり前だ。ユイは俺の婚約者だからな」

「出た! またそれだ」

「はぁ? お前は俺の婚約者だろ」

「そうだね、あーしはタイガの婚約者だ」

「わかったなら行くぞ」


 自然と手を差し出される。

 おまけにあーしのカバン、空いてる手で持ってくれてるし。


「カバンも持ってくれるの?」

「当たり前だろ」

「婚約者だから?」

「そうだ」

 

 教室を出て、並んで馬車までの道を歩く。

 歩幅はタイガが合わせてくれてる。


「どこにケーキ食べに行くの? 昨日のお店?」

「……美味しいと評判の店が近くにあるらしい。だから、そこなんてどうだ?」

「いいじゃん! もしかして、探してくれたの?」

「……女が喜ぶ場所なんて俺は知らないから、ソキウスに聞いた」

「へぇ、そうなんだ。ありがとう!」


 タイガがくれる優しさは全部、あーしが婚約者だからだ。

 

 でも、それも悪くないかもしんないな。

 なんて、少しだけ思えるようになった。


 


 幼なじみ(・8・)



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。