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転生先は婚約破棄の真っ最中!?〜聖女は王子と結ばれて、今度はあーしが婚約するらしい?〜  作者: おやまみかげ(・8・)


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第十四話 不釣り合いだ。


「どうしたユイ。まだ体調が悪いか?」

「いや、そういうわけじゃなくて……」

「なら、何故そんな強張った顔をしている。お前は普段、もう少し頭の悪そうな顔をしているだろ」

「いやナチュラルにディスんのやめてくれる!?」


 タイガが連れてきてくれたお店は、本当に学園のすぐ近くにあった。

 そう、本当にすぐ近くにあった。

 それはつまり、学園の生徒がいてもおかしくないわけで……。


「あの子誰? どうしてタイガ様と一緒にいるのかしら」

「見たことない令嬢だわ。どういったご関係かしらね」

「まさか婚約者とか……!?」

「ありえないわよ、あのタイガ様があんな子選ぶわけないでしょう?」


 ——はい、婚約者ですけど。


 つーか全部聞こえてっからなー。

 まぁ、あーしのことそんな風に思ったってしゃーないけどさ。

 ……こいつ、顔だけはいいし。


 向かいに座るタイガを見ると、心配そうな顔であーしを見ていた。


「ユイ、本当は体調が悪いんだろ。もう帰ろう」

「え? いや悪くないよ!?」

「ダメだ、早く帰って休もう」

「でもほら! まだケーキ来てないし!」

「それなら買って帰ればいい。夕食を軽くして、食後に食べればいいだろ」


 そう言うと、二人分のカバンを持ってタイガは立ち上がる。


 ……いやいや、過保護かよ。


 てか、ちょっと待って!?

 その発言ここでしたらさ……。


 周りを見渡すと、ものすごい顔であーしを見ている令嬢たちと目が合った。


 ……ですよね。

 その発言聞いたらそうなりますよね……。


 グサグサと不釣り合いだという視線が刺さる。

 彼女たちの視線に気づいたのか、タイガが守るかのようにあーしの前に立った。


「やはり学園近くの店に来るべきではなかったな。ユイ、もう帰るぞ」

「うん……ごめんタイガ」


 連れてきてもらったのに、台無しにしちゃった。

 せっかくタイガが誘ってくれたのに……。


 顔を見れずに下を向いていると、頭に何かが触れた。

 思わず顔を上げると、ちょっと優しい顔をしてるタイガと目が合う。

 そして彼の手は、あーしの頭に置かれていた。


「時間はたくさんある、また出かければいい。学園が休みなら、少し遠くまで行けるしな」

「そう、だね……」

「こんな奴らのことは気にするな。お前は俺の婚約者だろ?」


 今それ言っちゃう?

 あーし、この子たちのうちの誰かに刺されるかもよ?


 なんて、そんなことは思ったけど嬉しかった。

 またタイガの新しい顔が見れたし。

 それに、こんな堂々と婚約者だって言ってくれるんだもん。


「うん、あーしはタイガの婚約者だ」

「なら、もう帰るぞ。ケーキはカミヌスたちの分も買っていくか……」

「いいじゃん! みんなで食べた方が美味しいもんね!」

「人数が増えたところで味は変わらないが。お前は何を言っているんだ」

「いや味覚的な話じゃないんだわ……」


 なんかこう、ズレてんだよなぁ……。

 まぁ、それがタイガのいいところなのかも?


 再び彼の顔を見ると、既にいつもの不機嫌そうな顔。

 でも、カバン持ってくれてるし、立ち上がりやすいように手も差し出してくれてる。


「ありがと、タイガ」

「礼はいい、さっさと立て」


 重ねた手が、少し強めに引かれる。

 最初はムカついたけど、今はなんだか安心する手だ。


 手を引かれながらお店の出口を目指していると、タイガがふいに口を開いた。


「……次の休み、どこか行きたいところはあるか?」

「うーん、考えといた方がいい?」

「なら、やりたいことはあるか?」

「やりたいこと……」


 そんな急に言われてもなぁ……。

 やりたいことねぇ。

 こっちの世界でもできそうなこと、じゃないとなぁ……。


 あ! そうだ!


「お弁当持って、ピクニックしたい」

「ピクニック? そんなのでいいのか!?」


 あーしの言葉が意外だったのか、立ち止まってあーしの目を見て問うタイガ。


 ……そんなに変なこと言ったかな?


「あ、もしかしてダメだった?」

「いや、ダメではないが……」

「が?」

「そんな金のかからないことでいいのか? 装飾品を買いに行きたいとかドレスが欲しいとか——」

「あー、そゆのはいらない! ピアスもタイガが買ってくれたお気に入りのあるし」

「だが、それは安物だろ。新しい物を贈ったっていいんだ」


 そんなこと言われても、これ気に入ってるからなぁ。

 

 タイガは『婚約者にお金を使わないといけない』みたいな教育でもされたの?

 それともあーしがお金好きそうに見えるんかな……。


 返事をできずにいると、タイガが先に口を開いた。


「……次の休みはピクニックでいいんだな」

「え、あ、うん! ピクニックがいい! あーしがお弁当作るよ」

「お前、料理できるのか?」

「失礼だな! できるよ!!」

「そうか、それは楽しみだな」

「タイガの好物入れるから、後で教えてね!」


 話をしながら、再び手を引かれ出口へと向かう。

 そんなあーしたちのことを、じっと見ている令嬢がいた。


 


 ケーキ食べたい(・8・)



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