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アヤカシの末裔3~人喰い羅刹~  作者: 遠野まみみ


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17/27

17・歓迎

母親の遺骨を墓に納めた後、霧島は多嘉良と村へやって来た。

「君が持っていた太刀は美和の刀と一緒に穂高さんに預けるから

手入れしてくれるはずだよ」

「はい。…俺の刀ですか。使えるようになるのか…いや、なりたいです」

「君次第だね。さあ、みんなに挨拶しに行こうか」

多嘉良に連れられて、霧島は村人の集まる広場を目指した。


               *


「霧島くん。やうと村へようこそ」にっこり笑って戸隠とがくしはじめ、皆が出迎える。


「戸隠さん、炎を飛ばさないでね。愛鷹あしたかは刀を抜かない。

てか、なんで帯刀してんの? 大江先生と早池峰はやちねは指ポキポキしないで。

早瀬さんと梓ちゃんは水を引っ込めて。 あと源さんたちは猟銃を構えないっ」

多嘉良は大慌てだった。


「あの…みなさん。ごめんなさい。とても大変な事をしてしまって…」


「なんてね。大丈夫ですよ。ちょっと悪ふざけが過ぎました」

ほほ笑む戸隠に霧島はうつむいて、その笑顔が怖いです。

と、冷や汗をかく。


愛鷹が霧島の顎を持って上を向かせて青い方の瞳を覗く。

「千里眼か。今も見えてるか?」

「それが、使い方がわからなくて」

「知り合いの顔を思い浮かべてからその場で回ってみろ。

一番感じた方向にその人はいるから、そこへ集中して」


霧島は言われた通りにその場でゆっくり回ると、

一か所で引っ張られるような感じがして、その方向へ集中してみると

目の前にモニター画面が現れたかのように人が映し出された。

「あ…美和が学校で数学の授業中だ。」

「できたな。それでいい」


「…あなたが愛鷹さんですか?美和の剣術の師匠。

羅刹が考えているのがわかりました。『この女、手ごわい。何者か?』って。

俺にも剣を教えてもらえませんか?」

「何のために?」

「再び羅刹が襲ってきた時に、彼女と一緒に戦えるように」


「そこは君、『美和を守れるように』ではないのぉ?」

霧島の尻をポンポン叩いて、不満そうに梓が言う。

「…その…俺は、今はまだ守られる方だと思う」

「!!!素直―。君のことちょっと気に入った」梓が大笑いした。


霧島の腕を掴んだ愛鷹は

「この筋肉じゃ問題外だな。美和は一見華奢に見えるが

きっちり筋肉を付けている。とりあえず、その辺の山を毎日5時間ほど

登ってこい」と告げた。

「…は?」


「美和は6つの頃からやって、基礎体力と筋力をつけている」

「変態アスリートですか!?」


「今のセリフは内緒にしといてあげる」と

梓がぷぷっと吹きだす。


「鬼の末裔なら力業だが、その瞳は烏天狗の血も入ってるな。

特訓次第で化けるかもな」

「が…頑張りますっ」


そうして霧島はしばらくの間、村で多嘉良と暮らして

早朝から毎日の山登り5時間に田んぼや畑の手伝い。木の切り出し。猟。

あらゆる仕事を手伝って、鍛えられていくと同時に

気持ちを落ち着かせていった。



               *


「大和は強い子だな。でもたまに弱音を吐くもの悪くないんだぞ」と

多嘉良に声をかけられて、縁側でぼんやり外を見ていた霧島は身体を硬直させた。


「…俺は…」

「長い間おかしな状態にあったんだろ?普通になれって言ったって

まぁ、いきなりは無理だよな」

泣きたいような、笑ったような顔をして大和は多嘉良の言葉に頷いた。

「でも、みんな親切で優しくしてくれて助かってます」



「…多嘉良さん、俺の父方の先祖は霧島山の近くに住んでいたみたいです。

戸籍を取り寄せたら、天保の時代まで遡れて住所が霧島山の近くに

になっていました」

「そうか。自分のルーツを知りたいと思うか?」

「そうですね…。でも今はいいかな。ここで静かに暮らしていければ。

多嘉良さんのごはんも美味しいし」

「何を年寄りみたいな事言ってんだよ。帰って学校へ行って勉強しなさい」


「そうですね。あはは」と笑った。

「ここはとってもいいところです。落ち着いて、穏やかで平和で」

「末裔たちはみんなそう言って帰ってくるよ。特に都会は向いてないってね。

でも帰って来るのは今じゃなくてもいい」

「はい」


ゆっくりと息をして、霧島大和は村の心地いい風を感じていた。

読んでいただき、ありがとうございます。

引き続き、読んでいただけますと嬉しいです。


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