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アヤカシの末裔3~人喰い羅刹~  作者: 遠野まみみ


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15/27

15・斬り結ぶ

「挨拶に来いって言ったけど、来てやったわよ」


「…お母さんって、昔からああいう風だったの?」

「わりと。怒らせちゃダメなやつだ」

「ヤンキーですか?」

「いや、そんな生易しいもんじゃない。もっと怖い」

美和と多嘉良の会話に、チラッと二人を見た藤子の目は

意外とにっこりしていた。


「アレが怖いんだよ」と多嘉良が視線をそらした。


               *


玄関先に、あの男たちがいた。

「約束を果たしに来ました」

美和の言葉に男たちは喜んで寄って来る。

「彼らか、任せなさい」


ガチャガチャガチャ。 

階段の横の壁にドアがあって、ドアノブを回すが開かない。

早池峰はやちねくん、このドア蹴破って」   「うぃっす」


多嘉良が除霊をしているうちに、藤子は壊してもらったドアの中に

地下への階段を見つけた。


ビリビリリ…


禍々しいモノはここから来ていて、

美和は緊張で空気が皮膚を切るような感覚がした。


「こんなところに階段」

「この下にいる。美和、永介とここにいて」

「ううん。行く」  「ダメよ。ここにいなさい」と

置かれていってしまった。


それでも母が心配で、後を追うように一段一段下りて行くと

階段の下は天井の明かりがほんのりと点いていて薄暗く、

広めのホールのようになっていた。


「おーい、聞こえてるでしょ?柱は木なんだね。

比十が治す他に壊せるって知ってるよね!?

でも何を壊せるか知らないでしょう?教えてあげるわ」

藤子は木の柱に触れた。


メキ  メキメキ…。


木が音をたてて分解されて、木くずになって降り積もっていく。

「木だって元は生き物だから、組織を壊すとこうなる。

なんだったら屋敷全部をしてみせようか?

うちの娘にちょっかいかけてくれたお礼をしたいわ」

階段の途中で美和は見たことが信じられなくて、口をぱくぱくさせている。


ギイィ


奥にあった扉が開いて、太刀を持った霧島がこちらにやってきて

数メートル前で立ち止まった。

「藤子さん、下がって。ここは俺が」と早池峰が前に出る。

美和も刀を抜いて構えた。


「肩はすっかり治ったのね。 もうちょい壊しとけばよかったかな。

で、ずいぶん昔の剣だわね。君は鬼と戦ったんじゃなかったの?」

「あんたに関係ないだろ?それより有無も言わさずいきなり

人の家を壊すとか、信じらんない」

霧島が呆れて言った。

「いきなり人の家にきて、娘をよこせって言ってきたのはそっち。

最初にケンカを売ったのはそっちよ。後悔しなさい。」


ふと、霧島の手が震えているのが見えた。

腕が思うように動かないような、何かに逆らっているような感じだ。

「くっそ…。今さら抵抗…」


そんな霧島の懐に飛び込んで、早池峰が腹のあたりを殴ろうとしたが

左肩を斬られてしまった。

早池峰はかなりの重傷だ。


「早池峰くん」藤子が急いで治療に当たる。

その間にも霧島はこちらに斬りかかってこようとしている。


ガキイィィン…。

金属が当たる音がして、美和が霧島の刃を止めた。


ここで引いたら、お母さんと早池峰さんがやられる。負けられない。

そう思いながら、美和は一心で刀を振るった。

     

キンッ   キン   キィィン


刃が当たる音がホールに響く。

「藤子さん、美和すげえ。互角どころか、押してる」

「愛鷹や戸隠くんたちが鍛えたからね。腕は信用してる。

でも親としては心配なのよ」


傷が塞がって、動けるようになった早池峰に

「この天井、崩せる?上が玄関だから壊せば明るくなるし、

太陽の日が苦手なら有利だわ。わたしは柱を崩すから、壁をお願い」   

「了解っす」と

早池峰は天井を支える壁を破壊しはじめた。


ドンッ ドンッ    バキバキ ドドド…。


天井に大穴が開いて、落ちてきた瓦礫をよけて

美和と霧島がバランスを崩すが、美和の方が体制を立て直すのが早かった。

走りながら霧島の足を斬って霧島を動けなくした。


「え?まだそこまで壊してない…はず」早池峰が困惑していると

「はやちゃぁん」と、穴から沙織が覗いた。

「なんで?」  

「位置情報見たの。会いに来ちゃった。えへ」


「このお嬢さん、強烈です」多嘉良が顔を出して苦笑いした。

「愛の力だぁ」と美和が笑った。


「はやちゃん、無事でよかった」穴から飛び降りた沙織を

早池峰が受け止める。

「さーちゃんは危ないコトしないで」


「はいはい。イチャコラはあとでやって」

そう言いながら藤子が動けなくなった霧島に歩み寄ると

霧島はニヤリと笑って太刀を自分に向け、そのまま己の胸を突いた。


読んでいただき、ありがとうございます。

引き続き、次回も読んでいただけますと嬉しいです。



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