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アヤカシの末裔3~人喰い羅刹~  作者: 遠野まみみ


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14/27

14・童子切安綱(どうじきりやすつな)

早池峰はやちねとそちらへ向かう』と多嘉良からメールが来た時に

美和は驚いたと同時に、こっちで会えると思わなかったので嬉しかった。


「いらっしゃい。早池峰さんまで、本当に来れたの?苦しくなかった?」

「マスクのおかげで大丈夫」と、早池峰が口元を指さした。

黒マスクの多嘉良と早池峰を迎えたついでに

沙織に早池峰が来てるよ。とメールしようと思ったが、危険な事になったら

マズいと思い、やめておいた。


「あら、いらっしゃい。とりあえず空気清浄機の側に座って」

美和の母が手招きして、お茶を入れるためにキッチンへ移った。

「…二人とも電車で来たの?前から思ってたけど、お金は?」

「知らないのか?山から金が出るんだよ。売るための身分証はまあ…

今回は穂高さんの図画工作」

「は?」       「あの狸さんは何でも作るから」

「身分証…偽…偽造…?」   「図画工作です!」

美和の疑問に多嘉良は強引に言いくるめた。

うんうんと母と早池峰が頷く。


「あ、いつもじゃないからな。大抵は村にいる末裔さんとか、

街で働いてる末裔たちに手伝ってもらってるよ。それでスマホも契約する」


「あとこれ、穂高さんから」 例の長い包みを早池峰が美和に渡す。

「ありがとう。なんだろう? …え…ええ?」

包みを開けると刀が出てきた。『童子切安綱どうじきりやすつな』とメモが貼ってあった。


「ちょっ…。マジなの!? 鬼斬りの刀じゃない」母が慌てる。

「なんちゃってだよ。この前の蜘蛛の部品で似せて造ったんだと。

よく斬れて丈夫で軽いから美和にぴったりだって、

愛鷹あしたかのお墨付きだそうだ」


「あんのぉ烏野郎。造らせたな」 

「ふん」と笑う愛鷹の顔が浮かんで、母の握り拳がふるふるする。


「うあ、凄い。きれい。」

「銃刀法があるから、使い終わったら俺が持って帰るよ」

「うん。ありがとう」


刀は鞘から抜くと見事な輝きを見せて、その場にいた者たちは

見とれて思わずため息をついた。

ベルトに固定しても軽くて動きやすい。

「さすが穂高さん」


「ね…、美和は戦闘参加が決定なわけ?」

「念のため。刀はあくまで護身用だよ。何もなくて何もできないよりは

マシだって、藤子だったわかってンだろ!?」

少々頭が痛いが、多嘉良の言う事は否定できない。

「…まぁね。で、紙の解読はできたの?」

 

「わかった部分は、人喰い。皮。霧島。共に戦う。日。くらいだ」

「霧島が人喰いと戦ったってことかな?

古来より、人喰いの鬼の弱点は太陽の日差しと柊の葉っぱの棘って

言われていたけど、本当だったのかな…皮は何だろう?」


考える藤子に、早池峰が独り言のように言った。

「太陽の日差しが苦手だば、皮かぶるべが?」

「あ、十中八九、それだ」

「…太陽を避けるために人間の皮をかぶるの?」

美和が嫌悪感を丸出しの顔をした。


「それかな?美和の身体が合うのかな?サイズや体質から

何から何まで。だから美和の皮を欲しがったの?

…いや、待って、霊体なら必要ないはずよね。他に目的がある?」

母の言葉に、美和は吐きそうになって座り込んでしまった。


「とりあえず、除霊に行くか?美和、案内してほしいんだが、行けるか?」

「う…うん」

「わたしも行くわよ」

「藤子さんも?」  「お母さんも?」


「当然でしょう。マスク予備ないの? 最近アレルギーで」

多嘉良が予備を渡すと、一番先に家を出た。


「お母さん、やる気満々?」

「すげー怒ってるから、あんまり触らない方がいい」

「さすが幼馴染。わかってるんだね」


               *


霧島の家の前に立つと、やはり緊張した。

「殴り込みに来たみたい」と、美和が言うと

「ご挨拶よ。 ご あ い さ つ 」

母が言い切った。


「霊がうろうろしている。これ全部除霊するのか?俺が」

「中に登山服姿の男の人が二人いるから、優先してお願いします」

「はいよ」


呼び鈴を鳴らすが、何の反応もない。

「早池峰くん、ぶっ壊しちゃえ」

「おうよっ」と壊そうとしたら、門が開いた。


門の向こうから、禍々しい気が流れ出ていた。


読んでいただき、ありがとうございます。

引き続き、読んでいただけますと嬉しいです。


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