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アヤカシの末裔3~人喰い羅刹~  作者: 遠野まみみ


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13/15

13・破壊の手

「お母さん、『癒しの手』って壊すこともできるの?」

「うん、生物ならね。それ、誰に聞いたの?」

「…霧島…」

「なんで?彼に会ったの?接点はどこに?」


美和は仕方なく正直に、今日あった事を話したが

母は叱ることなく話しを聞いていた。


「あのね、治すって行為は血管や神経や細胞を正常にするの。

逆にそれらを異常な状態にすれば…どうなるかわかるでしょ?」

「最悪…殺せる…?」

「そういう事。でも治せても壊せる比十ひとは少ない…っていうか、

ほとんどいない」

「お母さんはできる…?」


「うん。霧島の肩はそれで壊した。

お母さんの娘である美和も、可能性がないわけじゃない」


「霧島が美和の身体が合うから必要だって言ってた。何と合うのか

さっぱりだけど」


「わたし…どうしたらいい?クラスメイトが危ない目にあって、

多分人も殺されてる。霧島の家に霊がいて助けを求めてたの」

「そこから縛られて動けない状態?」

「そんな感じだった」


   ユラ…リ…


空気が動いて、霧島がそこにいた。


「ヤツが寝ている時だけ、なんとか出られます」

「ヤツって?」

「人喰い羅刹。はるか昔大陸から来て、

いろいろな時代に出現の記録を残す鬼です。

平安時代にはすでに存在し、鎌倉から南北朝時代のあたりで

一度退治されています。ヤツは…皮を…気を付け…」

フッっと何の予兆もなく霧島は消えた。


「乗っ取られているのかな?」

「多嘉良さんは憑依か生霊って言ってた。

そういえば、前に沙織の親友の子の身体に猫又が憑いて、

死んでいたはずなのにずっと生きてたって話しを聞いた事がある」

「それと似てるかもね。でも霧島くんは生きてそうね」


「お母さん、羅刹って知ってる?」

「有名よ。検索すると出てくるけど、そいつは改心したらしいから、

また別のヤツかもね。…霧島が最後に言ってた皮ってなんだろう?

あとは永介たちが解読している文章が頼りかな」


               *


「これ、使えると思います」

多嘉良の神社で狸族の穂高が差し出したのは黒いマスクで

先日の蜘蛛の糸を編んで、フィルターにしたものを中に挟んだという。

「粘り気が都会の空気の汚染物をからめ取ってくれて、呼吸ができるかと」


「これがあれば美和のところでも動けるわけか。

除霊して欲しいそうだからオレは行くけど、他に誰か行く?」

「うぃっす。行きます」と早池峰が答えた。

「でしょうねー」と多嘉良が笑う。


「大丈夫ですか?」

「まあ、様子を見るだけにするので、何とかなるでしょう」

戸隠の心配に、多嘉良が答えた。


「あと、これを美和に」

穂高が70cmに満たないくらいの棒のような包みを渡した。

「愛鷹のお墨付きです」と穂高がドヤ顔をしたので、

中身がだいたい想像できた。


読んでくださってありがとうございました。

次回もよろしくお願いいたします。

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