表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アヤカシの末裔3~人喰い羅刹~  作者: 遠野まみみ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
12/15

12・救出

「おっきいなぁここって、空き家だったよね?」

沙織がぽかんと見上げるくらい、霧島の家はお屋敷だった。

「うん。中学の時はお化け屋敷って呼ばれてたよね」



門が開いてインターホンから「いらっしゃ」と霧島の声がした。

美和は背中のゾワゾワを不快に感じながら、玄関に向かった。



              *


『視えるスイッチ』を入れっぱなしだったので、玄関で若い男が二人視えた。

…どこかで見たような?

そうか、キャンプの時に襲ってきた男だ。


「キャンプの時にいた男の人がいる。二人ともいる」

「わたしには見えないよ。ってことは霊?」

「だね」

男は美和に気が付いて、手を伸ばしてきた。


「あ…あ…。助け…」

「悪いけど、成仏させる方法をわたしは知らないの。

ここへ来た女の子を知らない?教えてくれたら、何とかしてあげる」

「何とかできるの?」

「多嘉良さんに聞いてみるよ」


男たちは階段を指さして、「突き当り」と言った。


階段を上がると廊下になっていて、左が窓で右側に部屋がいくつかあった。

突き当りのドアを開けるとそこに──


長テーブルを前に、椅子に座る虚ろな目の嵯峨野がいた。


               *


「嵯峨野さん!」…側にいるおばあちゃんが「気を付けて」と言った。

「沙織下がって、気を付けて」


「いいカンしてるな。さっきも下で何かと話してたよね?何か視えてる?

もしかして比十の末裔?」

霧島の声がして、隣の部屋から霧島が現れた。右腕を吊って痛そうだ。


霧島はなぜか二重に視える。 霧島が二人?

一人は薄くて顔が苦痛に歪んでいる。 薄い方が本物?


「穂積美和さん、母さまは君が欲しいんだって。

君が残るなら嵯峨野さんは返すよ。どうする?」


「…うちに来たのはあなた?」

話しをしながら、美和は手を後ろに回して沙織に合図を送る。

指で長方形を作って、『テーブルをひっくり返して』

二本指を交互に動かして『逃げよう』


「行ったよ。それでこの通り。君のお母さん、凶悪だよね?

『癒しの手』って、優秀だと治すだけじゃなくて壊すこともできるんだって?

もしかしてそれか?」


「知らないけど、凶悪なのは…母譲りかも」

合図を送ると沙織が片手でテーブルの端を掴んで持ち上げて、

霧島めがけて投げた。

霧島がテーブルを避ける隙に沙織は嵯峨野を担いで逃げて行く。


追いかけようとする霧島の左腕を掴んで回して転ばせた。

習った合気道が生きている。

「ごめん」と言って、はずれた右肩に蹴りを入れると

「うあああああ」と悲鳴をあげて、霧島は動けなくなった。


               *


「はあ、はあ、はあ。これからどうしよう」

「とりあえず、嵯峨野さんに起きてもらわなきゃ」


「嵯峨野さん、しっかり」

ベンチに座らせて、頬を叩くと嵯峨野は目を開けた。

「あ…」

「大丈夫?何があったか覚えてる?」

美和の顔を見ると、嵯峨野は「おばあちゃん…夢で見た」と言った。

「夢の中で怒られた。美和さんに謝りなさいって。

霧島くんに関わってはいけないよ。って…なんで?」


「それがおばあちゃんの気持ちなんじゃない?

夢でなら死んだ人の言いたい事が伝わるって、聞いた事がある。

気を付けて帰って。 それじゃ」

「わたし、嵯峨野さんと方向が同じだから送るよ。じゃあね、美和」


「うん。沙織、ありがとう」

嵯峨野の後ろに、頭を下げる祖母の姿が視えた。


そして「癒しの手は治すけれど、壊すこともできる」という

霧島の言葉が気になった。


読んでいただき、ありがとうございます。

引き続き、読んでいただけますと嬉しいです。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ