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鍵師のおしごと  作者: ちさここはる
EP4:王族の地下迷路金庫開け依頼編
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第48話 異世界転移者の後悔とその先へ

 ダンジョンの番人と名乗った竜族ジラゴは、高い身長をオレたちの背丈に合わせて小さく変わった。

 

 抜け殻となってしまった巨大な竜の遺骸も塵となって消えた。

 おかげで本来の目的である第三の金庫も見つかる。


 中身も玉座である為か、オレたちの背丈以上もある大きさと存在感だ。



「さぁ。クボヤ鍵師、仕事をしろ」

 

「はいっ」

 

「何じゃ。金庫とはカギというもので開けられるんじゃないのか? まぁ、……これだけ錆ていれば無理なのかもしれんな」

 


 二人の声を耳にしながら、オレは金庫に何か攻撃術式を確認をする。

 

 結果として、何も施されていなかったことに安堵の息を吐いたときだ。


 両隣で二人がオレに話しかけてきた。



「古い金庫じゃ。すでに施された術など解けてなくなっておろう。当然だろうが」

 

「一目見たら分かるだろう、クボヤ鍵師」



 二人から煽られ、言われる言葉を聞こえないように受け流した。ないならないって、はなっから言ってくれたらいいでしょうが。

 怒りや恥ずかしさで頭が沸騰しているよ。



 ガチャリと【第三の金庫】を開錠した。



「開いたっ」



 オレの言葉に二人が身体を前に躍り出て、弾かれてしまったオレは、地面にへたりと座り込んで見上げる格好になる。


 ジラゴが細い腕で扉を勢いよく開けてくれたおかげで、中身である玉座も目の当たりにすることが出来た。


 装飾の素晴らしさも圧巻だが、黄金に輝く玉座は神々しく見惚けてしまう。ダンジョンの内部を照らす灯りが美しさに拍車をかけているな。

 

 腰を浮かせて無意識で玉座に触れようとしたが。


 ジラゴの尻尾に手の甲を弾き飛ばされた。



「汚い手で触れるな」

 

「すいません」

 

「私の汚い手で申し訳ないが、玉座は鳥かごの中に入れさせてもらうぜ。いいよなぁ?」

 


 ジョイは鳥かごを横に浮かせている。小さなサイズが、嘘かと思うくらいに巨大になっていることに驚いた。口の扉も開かれていて、今にも全てを飲み込めそうだな。



「その中に神器が入っているのじゃろう。仕方ない、許可する」


「有難き光栄。では、失礼をさせてもらいましょう。……飲み込めっ!」



 中から赤い舌のようなものが伸び出てきて、中身である玉座を中へと掴み入れて扉を閉じると、宙に浮かび上がって消えた。一瞬の出来事で、もう終わり? とすら気も抜けてしまう。



「終わった、んですか? 終わったんですよね?」

 

「ああ。お疲れ様だな、クボヤ鍵師」

 

「金庫はこれで最後だ。何を寝ぼけたことを言うんじゃ」



 はぁ。また腰が地面に落ちて、全身から気も抜けてしまった。倦怠感に、筋肉痛に見舞われている。放心状態で思うのことは、異世界は店仕舞いだということだ。



「地下ダンジョンに入ってどれぐらい、時間も経ってますか?」


「ああ。今日が戴冠式だな、……式までは三時間はある。睡眠も十分ではないがとれるな」


 

 今、彼はオレになんて言ったんだ? 聞き間違いをしたのか。朝だったはずが、もう次の日で早朝だとは驚き桃ノ木だよ。



「とりあえず地上に戻るぞ。もちろん、クボヤ鍵師の能力でだ。いいよな」

 

「それはもちろんっ! ……えぇっと。ジラゴさんも、地下ダンジョンの後継者である番人として戴冠式に参加の上、新王の前に行った方がいいんじゃないでしょうか」

 

「当然だろうな。ぅんじゃ、行こうぜ」



 オレと彼の話し合いのまとまりに「(アタクシ)も、外に出ろというのか?」と怪訝な表情で顔を交互に警戒して見ている。後ずさりする様子に、ジョイがジラゴに手を差し向けた。

 

 

「眩しい世界に行こうぜ」



 彼の言葉に唇を噛み締めるしかない。

 そんな世界を、オレは意固地になって目を瞑っていたんだ。


 とても恥ずかしい気持ちすら沸き起こる。

 


「…………(異世界を拒絶なんかしないで、きちんと受け入れて見るべきだったんだな)」

 

 心が堪らなく痛い。

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